NEWSANA

第12−001号
平成12年1月4日


2000年社長年頭挨拶


21世紀に向けて新たな企業文化の創造を

〜「竜 驤 麟 振(りゅうじょうりんしん)」―激流の2000年は全日空グループにとって21世紀への登竜門〜

社長 野村 吉三郎


 皆さん、新年あけましておめでとうございます。 この新たなるミレニアムを、皆さん一人ひとり格別な思いと決意で迎えられたことと思います。 昨年は深刻な景気低迷を背景に、国内線では規制緩和による新規航空会社も含めた航空会社間の競争がこれまでになく激化し、国際線でもビジネス需要の低迷が続くなど、単位当たりの旅客収入は減少し、収支状況は依然厳しい内容となりました。
 こうした環境下、4月に経営戦略会議を設置し、経営の意思決定の迅速化を図るとともに、5月には中期経営計画を策定、6月には経営陣を31名から19名へと大幅に刷新しました。しかし、その矢先の7月に当社機がハイジャックされ、ひとりの優秀な社員を失うという痛ましくも、決して許すことのできない事件が発生しました。
今年は、二度とこのような事件を起こさないためにも、まず何よりも私たちの最も重要な使命である安全運航を堅持し、基本品質である安全性・快適性・定時性・利便性を一層向上させ、お客様から信頼される航空会社となることが基本命題となります。

 そして今、私たちがやらなくてはいけないことは、中期経営計画の確実な実行です。昨年5月、グループ経営を含めた抜本的な再建を行うために2002年までの道筋を示したこの計画は、今年3月期から連結決算重視の企業評価に変更されることを踏まえて策定したものです。この会計制度の変更により連結対象会社の範囲は拡大し、全日空グループの連結欠損金はますます増加することが予想され、当社の企業評価に大きく影響を与えることになります。株主・投資家の皆様からも信頼をいただくためには、連結欠損金圧縮の道筋を示していくことが重要課題になります。そのために今年1年は、中期経営計画のメイン課題である航空事業における収益性向上を目指します。

 国際航空の分野では、世界中でグローバル・アライアンスがさらに深化していく勢いを見せています。当社は昨年10月に晴れてスターアライアンスの仲間入りを果たし、航空会社として貨客流動のグローバル化に対応する礎を築くことができました。また、年末には成田空港の暫定滑走路の建設が認可・着工され、ようやく将来に向けてのビジネスチャンスの種が蒔かれました。

 一方、国内では、今年2月に航空法が改正され、運賃の自由化や需給調整規制の撤廃により、国内航空の完全自由化が施行されることになります。さらに7月には羽田空港の新B滑走路の完成に伴い発着枠が拡大され、国内市場での競争はより熾烈さを極めていくことになるでしょう。

 これを逆境と捉えるか、好機と捉えるか。私は後者だと断言します。なぜなら、来るべき21世紀は、他社が追随できるハードよりも、他社の追随を許さないソフトに企業の価値が転移していくと考えるからです。しかし、そのためには皆さんが日頃より、環境の変化を先読みして、業務のスキルアップに精進を重ねていくことが前提です。経営環境の自由度が高まるにつれて、社員の知識や経験が重要となってきます。 また、現在はITが飛躍的に進歩しており、e社会、つまりネットワーク社会に向けての競争力強化が必要ですので、効率的に経営改革を進めるためにも、進化するITを戦略的に活用していきます。
 これまで獲得してきた皆さんの知恵や知識、経験を生産性の向上や新たな技術の開発、斬新なアイデアに変えていけるように、情報を管理し、全社で共有化することをナレッジ・マネジメントと言います。現在は情報技術が飛躍的に進歩していますので、皆さんは会社の置かれている現状を率直に認識し、前向きに改革していくナレッジ・マネジメントを目指してください。それが新たな企業文化、企業ブランドというソフトにつながっていくと、私は確信しています。

 その戦略のひとつとして、2000年1月1日より、昨年日本のプロ野球界で新人王や最多勝利賞などの各賞を総なめにした、西武ライオンズの松坂選手を起用した当社の企業広告を展開しています。これは、2000年を明るく元気にスタートし、ANAは「若々しい」「親しみやすい」「何にでもチャレンジをしていくエアライン」である、という当社のイメージ向上を目指しているものです。お客様一人ひとりのご希望に沿ったサービスを提供できるよう、常に新しい気持ちで、前向きに、お客様第一主義を実践していくことが求められています。

 今年の干支は庚辰(かのえたつ)。「庚」は“更”の意味で、繰り返し変わること、「辰」は竜驤麟振(りゅうじょうりんしん)という言葉通り、竜のように登り麟のように振るうことを意味します。つまり、2000年は変革し、向上していく年です。また、中国の黄河の急流にある竜門という滝を登りきった魚は竜になることができると言います。2000年は当社および当社グループにとって、激流の年になるかもしれませんが、世紀を超えた21世紀への登竜門と考えて、全社員と経営陣が一丸となって一気呵成に登りつめていきたいと思います。
 私自身、全日空、および全日空グループのリーダーとして、皆さんに活力を与え士気を鼓舞していく所存です。現実を直視し、果敢に行動します。皆さんも、一人ひとりが自分の仕事に誇りを持ち、そして世界に通じるプロフェッショナルとなって、明るく活力のある職場を築いてください。そして一致団結して、当社およびグループの新時代を切り開いていきましょう。


以上