NEWS ANA

第02-042号
2002年5月9日
「ANAグループ基本戦略構想(2002〜03年度)」骨子
〜 お客様のお声に徹底してこだわり、
「品質」「顧客満足」「価値創造」でアジアを代表する企業グループへ 〜


 ANAグループではこの度、2002〜2003年度2ヵ年の経営改革プランと位置づけた、「ANAグループ基本戦略構想」の骨子を取りまとめました。

 ANAグループではこれまで、「中期経営計画(1999〜2002年度)」において、「選択と集中」をキーワードに、財務体質改革や路線の再編、機材の適正配置などに取り組み、順調にその成果を上げて参りました。
 しかしながら、昨年9月の米国テロ事件や、その後のJAL・JAS統合計画など、当グループを取り巻く環境が激変を遂げたことから、当面の2年間に着目し更にスピードをあげて改革に取組むべく、「新創業宣言」ともいうべき戦略構想をまとめたものです。

 「ANAグループ基本戦略構想」策定にあたっては、ANAグループとしての経営理念ならびに経営ビジョンを新たに設けました。この経営理念と経営ビジョンは、今後ANAグループのいわば「憲法」であり、本構想もこれらに基づいて策定されております。

 ANAグループでは、現下の状況を「ピンチ」ではなく「チャンス」と捉え、「お客様のお声に徹底してこだわる」ことにより、「品質」「顧客満足」「価値創造」全てにおいて、アジアを代表する企業グループを目指して参ります。
 
1.ANAグループ経営理念
(i)基本理念   (ii)グループ行動指針6ヵ条
ANAグループは、「安心」と「信頼」を基礎に   (1)「安全」こそ経営の基盤、守り続けます。
(1)価値ある時間と空間を創造します   (2)「お客様」の声に徹底してこだわります。
(2)いつも身近な存在であり続けます   (3)「社会」と共に歩み続けます。
(3)世界の人々に「夢」と「感動」を届けます   (4)常に「挑戦」し続けます。
    (5)「関心」を持って議論し、「自信」を持って決定し、「確信」を持って実行します。
    (6)人を活かし、チームワークを「力」にし、強いANAグループをつくります。
 
2.ANAグループ経営ビジョン
ANAグループは、国内および日本とアジア、そして世界の旅客・貨物輸送を担う航空事業を中核として、「品質」「顧客満足」「価値創造」の3つにおいてアジアを代表する企業グループを目指します。
 
 
 
2002〜2003年度 ANAグループ基本戦略構想骨子

<重点方針>

航空事業を中核として価値創造経営を実践し、株主価値・顧客価値・従業員価値の向上を目指します。

I 経営基盤の強化


<I−1 安全>

 運航の安全は最も重要な経営基盤としてこれを堅持しつつ、テロ事件の発生等で脅かされた航空の安全に対する不安を払拭するべく、ANAグループでは従来にも増して盤石な安全を築いて参ります。


<I−2 定時性>

 ビジネスでご利用頂くお客様を中心に求められている高い定時性への期待にお応えすべく、2002年度中に「オンタイムエアラインANA」を宣言し、ANAグループとしてのお客様に対する企業責任を明確にします。
 また、ダイヤ編成や空港施設要件等における改善を通じて定時性をさらに向上するべく、国内線の定時性の定義に見直し※を加え、「1分以内」をオンタイムとする「定刻出発・到着率」を目標設定すると共に、2002年度の数値目標を設定します。
※現在一般的には「15分以内」をオンタイムとする「定時出発率」が用いられています。

2002年度の定時性目標
<国内線> 目標値
ANA定刻(1分以内)出発率 70% (前年度実績68.1%)
ANA定刻(1分以内)到着率 52% (前年度実績50.5%)
エアーニッポン定刻(1分以内)出発率 63% (前年度実績62.3%)
エアーニッポン定刻(1分以内)到着率 58% (前年度実績57.2%)

<国際線> 目標値
ANA定時(15分以内)出発率 92% (前年度実績91.1%)
ANA定時(15分以内)到着率 85% (前年度実績83.6%)

(参考) 前年度国内線「定時(15分以内)」出発・到着率実績
ANA国内線定時出発率: 97.3% 同、定時到着率: 93.9%
エアーニッポン国内線定時出発率: 94.6% 同、定時到着率: 92.9%


<I−3 IT化の推進>

 安全運航の確保に向けたITの積極活用に加え、先進的な情報セキュリティーへの取り組みなどを進め、IT活用を通じた「安心と信頼」の維持向上をはかります。

 また、「お客様に徹底的にこだわる」ための仕組みとして、あらゆる顧客接点において得られたお客様の声・情報をANAグループとして一元的に統合化し活用する「CRM」(カスタマー・リレーショップ・マネジメント) を積極的に推進するとともに、インターネットを通じた予約・販売など、ご利用のお客様が急増している「eビジネス」を更に深化させます。
 ANAグループとして「情報先進企業グループ」となることを目指し、IT戦略を通じた価値創造経営の実現を図って参ります。



<I−4 環境 ・ 社会貢献>

(1)地球環境の保全
地球温暖化対策を中心とする地球環境保全活動を全社的に推進すると共に、 2002年度内にも 「環境会計」※を導入し、あわせて「環境報告書」の充実を図ります。
※環境会計: 事業活動における環境保全のコストとその活動により得られた効果を可能な限り定量的に測定・分析し、それを公表する仕組みです。


(2)お手伝いが必要なお客様に対する利便性向上
 機内設備・空港諸施設におけるユニバーサルデザインの採用、スカイアシストデスク※をはじめとするフロントラインにおける行き届いたサービス等を通じて、お体の不自由なお客様やご高齢のお客様等に対する航空サービスの付加価値をさらに高めて参ります。
※スカイアシストデスク: お体の不自由なお客様のための航空旅行に関する相談室。フリーダイヤル(0120-029-377)、ファックスのほか、インターネットでも受け付けをし
ています。
 

II グループ経営体制

<II−1 グループ経営>

グループの一体化、スリム化を推進し、スピード経営を実践しやすい体制の整備を行います。

(1)ANAを事業持株会社へと位置づけ
一貫した戦略を機動的に推進するグループ経営戦略を構築するため、ANAを「事業持株会社」と位置づけ、ANAにグループ全体の経営戦略機能と航空事業戦略機能を集約化します。
<グループ経営体制概念図>
グループ経営体制概念図

(2)「ANA」ブランドの統一
グループ内の航空事業についてはエアーニッポン、エアージャパンを含めたANA便名への統一や商品(サービス)の「ANA」ブランドへの統一を2002年度より順次実施していくことによって、お客様に対してより明確で高品質なシームレスサービスを訴求して参ります。

(3)自社流通3社の統合
2002年1月に設立した「(株)エー・エヌ・エー・セールス・ホールディングス」を存続会社として、自社流通3社(全日空スカイホリデー、全日空ワールド、全日空トラベル)を統合すると同時に、従来ANAで果たしてきた販売機能についてもその一部を新会社に委託することによって、グループ全体としての人員効率化と販売会社の機能強化を進めて参ります(2003年4月を目途)。


<II−2 経営指標>
グループ経営をベースとした価値創造を着実に推進していくために目標管理を徹底します。

(1)独自経営指標「事業別AVC※」のグループ全体での本格的運用の開始
事業別AVCをグループ各社共通の価値基準とし、2002年度より事業別AVCの目標管理を開始します。
事業によって生み出した利益(税引後事業利益)が、株主等資本をご提供いただく方から期待されているリターン(資本使用料)をいかに上回っているかという「価値創造」を測るANAグループ独自の経営指標。ANAでは2001年度より既に運用を開始しておりました。
※AVC(ANA'S Value Crection): 事業によって生み出した利益(税引後事業利益)が、株主等資本をご提供いただく方から期待されているリターン(資本使用料)をいかに上回ってい るかという「価値創造」を測るANAグループ独自の経営指標。ANAでは2001年度より既に運 用を開始しておりました。

(2)お客様満足度指標(TQS)の導入
グループの中核事業である航空運送事業については、顧客価値の創造による業績向上を目指し「顧客満足度指標(TQS※)」をAVCと並列して設定します。2003年度以降早期にアジアで1番となることを目標とします。
※TQS( Total Quality Score): ANAの航空輸送サービスを安全性、定時性、快適性、利便
性等の観点からお客様に総合的に評価して頂いたものを客観的に反映させた、AVCの先行指
標と位置づけられる指標です。

<II−3 組織 ・ 業務>
スリムでスピーディな組織運営と業務遂行を可能とする体制の整備を加速します。

(1)経営執行体制の活性化
ANAグループの取締役・執行役員の任期を1年とし、単年度業績目標に対する経営責任をより明確にして、経営執行体制の活性化を図ります。

(2)お客様の満足度を飛躍的に向上させる体制・機能の強化
お客様の声をベースに部門横断的に商品(サービス)を改善・刷新する体制の構築を目的として「CS推進室」を設置すると共に、新たに「CS推進委員会」を設置して組織間の調整機能を補完しながらお客様のニーズを改善に繋げる機能を強化します。

(3)人的競争力の向上
グループ経営体制の構築通じてグループ全体での組織効率を追求すると共に人的競争力の強化に向けて成果主義に基づいた報酬制度を積極的に展開します。
また、「事業別AVC」や「顧客満足度指標(TQS)」の向上をグループ全体で目指すため、これら指標に連動した報酬制度を導入すると共に(ANAでは2002年度から全管理職に導入)、在籍中の貢献度に基づく「ポイント制退職金制度」への移行や管理職人事制度の抜本的見直し(2003年度から)など、業績、成果に基づく人事賃金制度を積極的に展開して参ります。


III 事業戦略

<III−1 航空運送事業>

III−1−a 航空事業戦略
グループ全体の経営効率を最大限に発揮することに主眼をおくと共に、「ネットワークの再編」と「事業領域に適した経営資源の再配置」を大胆に進めます。

(1)事業領域
●ANAは、羽田・成田路線を中心とする主要マーケットを事業領域として、中・大型機(B767/B777/B747)を運航します。
●エアーニッポンは、国内線地方都市マーケットを主な事業領域として、小型機(A320/B737)を運航します。
なお、これに伴い2002年度以降早期に、現在ANAとエアーニッポンが運航しているA320型機をエアーニッポン1社に集約します。
●エアージャパンはアジアならびにリゾート路線を中心とする国際線を事業領域とし、B767型機を運航します。

(2)今後の事業展開
●2003年度中を目途に大阪(伊丹)空港におけるプロペラ機用の発着枠を活用し、新会社の設立を含めた事業展開を検討します。
●「ANAコネクション(成田接続の国内線)」をはじめとするネットワークの補完ならびに低コストスキームへの代替リソースとして他社との提携を活用します。
●中国・アジア路線に軸足を置いた国際線ネットワークを構築し、更にコードシェア提携を通じてネットワークを一層充実させます。
●「スターアライアンス」を国際線ネットワーク戦略上の重要なパートナーと捉え、連携を深めることにより、コードシェアの推進等による増収、施設の相互利用等による共同コスト削減等を進めて参ります。


III−1−b 商品(サービス)戦略

ANAグループでは、お客様に徹底的にこだわることを「ANAらしさ」の基軸とし、独自性や創造性に富んだ商品(サービス)を提供することで、商品競争力の強化を図って参ります。
●競争力のある、さらに利便性の高い運賃を提供します。
●さらに魅力ある「ANAマイレージクラブ(AMC)」プログラムを展開します。
●予約・発券・搭乗システムの機能強化を通じてさらに簡単・便利な予約・発券・チェックインを実現します。
●アジア路線増強に伴い、アジア線に特化した新サービスや中国語対応のできる客室乗務員の導入を図ります。また、国際線客室サービスにつきましては、「くつろぎ」と「先進性」を兼ね備えたシート等高品質な客室環境を提供して参ります。
●インターネット予約における機能強化等を通じて、更なる利便性向上を図ります。
●顧客情報の活用によって多頻度にご利用頂くお客様に徹底して差別化されたサービスを提供します。


III−1−c 貨物事業

(1)貨物専用機の新規導入
日本貨物航空(NCA)との協業体制のもと、中国・アジア市場における競争力向上のために、2002年9月よりB767型貨物専用機を導入します。
(2)新輸送システムの開発
国内貨物事業において、スピードを付加価値とした新たな高付加価値輸送システムの開発に着手します。



<III−2 航空事業以外の関連事業>


グループ経営指標(AVC)に基づいた投資採算性の追求を第一義とし、2003年度までにホテル事業、商社事業、不動産事業等の各事業別AVCの大幅な向上を図ります。
●投資圧縮、資産売却と流動化による資金回収を進め、有利子負債の圧縮を図ります。
●ホテル事業においては、チェーンホテル運営支援機能を担う「エーエヌエー・ホテルズ」におけるホテルマネジメントシステムの構築と各ホテルへの展開、並びに各ホテルの施設商品の強化等により、GOP(Gross Operating Profit:金利償却前利益)の更なる増大を図り、ホテル事業としての価値創造を目指します。また、ホテル資産の流動化(オフバランス)を前進させます。
 
以上