第 9 − 15号


全 日 空、新 中 期 経 営 計 画 を 策 定
〜 国内線のネットワークを基盤に、国際線のネットワークを拡充し、世界の旅客・貨物の輸送を担うグローバルなエアラインを目ざして 〜


弊社は95年度から97年度に向けて、「継続的・安定的な配当に必要な利益を確保できる収支構造に再構築する」ことを目標に、生産性の向上を柱とした「P−1521プラン」を推進して参りました。その3年目である97年度を新たな起点として、この度2001年度までを展望した新中期経営計画を策定いたしました。この狙いは、

(1) 成田の平行滑走路の完成が視野に入ってきたこと
(2) 日米航空協議の進展
(3) 国内における、価格と参入についての規制緩和
(4) 羽田増枠等による一層の競争激化

といった環境変化に対応し中長期的な視点に立って、国内線のネットワークを基盤に、国際線のネットワークを拡充し、世界の旅客・貨物の輸送を担うグローバルなエアラインを目ざすという当社の進むべき経営の方向性と、経営改革の具体的方策をまとめ、広く指針を示すことにあります。
 この「方向性」と「具体的方策」実行のポイントを、以下の3つとして掲げています。

「国際化の進展」

  • グローバリゼーションの進展の中、航空の担う役割は21世紀においてもますます高まる
  • アジア各地にハブ空港。「大航空時代」の到来。
  • 2000年頃と目される成田オープン。当社のビッグチャンスの到来。
    -> 国際分野の事業拡大を図ることが弊社の進むべき道であると考えます

「競争に打ち勝つ」

  • 米国、アジア等、低コスト外国航空会社との本格的な競争。
  • 幅運賃、新規航空会社、ダブル・トリプル化基準廃止、需給調整規制撤廃など急速に進展する国内航空分野の規制緩和。
    -> 生産性をさらに向上させ、国際競争に耐えうる経営体質へと変換しなければ、競争の時代に生き残ることはできません

「お客様第一」

  • 競争促進による消費者の選択の幅が拡大。
  • 安全運航を第一義に、定時性、快適性、経済性において、高品質なサービスを提供する。
    -> お客様を第一に考え、内外のお客様に信頼され、最初に選ばれる航空会社を目ざします


1.新中期経営計画の概要

  1. 事業規模
    期間中のGDPの伸びは2.5%程度と予測。欧米の経済成長率は2%台、アジアは7%台の 成長力を維持するものと見ています。
     国内線は新規発着枠配分や需給調整規制撤廃の下で需給バランスを勘案しながら、ネットワー クづくりを進め、提供座席キロは年率2〜3%の伸びを計画します。国際線は輸出産業を中心に企業業績が回復することを見込み、期中7〜8%の需要の伸びを予測する中で、当社は積極的な路線展開により座キロで16〜17%の伸びを計画します。これにより、国際線比率(座キロベース)が高まり、現在の30%から2001年には50%近くまで拡大します。
  2. 機材計画
    • 羽田・成田等、主要空港の整備の進展に伴う国内線・国際線事業の拡大の機会を最大限に捉え、 極力時宜を得た航空機導入を図るとともに、機体年齢の古い航空機を徐々に最新鋭機に更新します。
    • 当期間中53機の新規導入、25機の退役を計画し、96年度末の124機から2001年度末には152機体制へと事業規模の拡大に対応します。
    • 最新鋭のA321−100、B777−300を導入するなど最新鋭機への更新と共に客室仕様の充実を図ります。
    • 欧米線の主力機としてB747−400を引き続き増強し、B777をアジア線の主力機として投入します。なお、双発機による長距離運航(ETOPS)の規制緩和や将来の航空航法システム(FANS)による新しい運航方式の確立といった環境の変化に対応した体制を整えます。
  3. 事業計画とネットワーク
    • 国内旅客
       国内線事業分野が当社経営の根幹である事に大きな変化はありません。エアーニッポンと協力し、小型機による新規路線の開拓や他社運航路線への参入を積極的に計画します。自社枠転用の自由、ダブル・トリプル基準の撤廃など航空政策の転換の中で、路線の改廃も含め、最も効率的なネットワークの構築を推進します。
      利用者の皆様の利便を図るため、グループとして、増便の機会を逃すことなくネットワークを拡充します。
    • 国際旅客
       成田オープンは、当社の国際線にとってはようやく空港制約から開放され、自らの経営判断に基づき、自由な路線展開、増便が可能となることを意味します。オープン後は高需要路線、ビジネス路線、他社先行路線、観光路線等のネットワークとその規模の拡充を図ります。また、これまで発着枠を持たないまま開設してきた新規路線の枠に引き当てるために、減便を余儀なくされてきた路線の復便も図ります。 
      従って発着枠配分にあたっては、後発企業と先発企業との競争促進という観点から、思い 切った政策上の配慮をいただきたいと考えております。
       これにより、生産効率を向上させ、早期に固定費の回収を図るとともに、マーケットでの競争力を高めます。
      米国路線 日米航空協定において、公平な競争環境を整える観点から、当社のインカンバント化を目ざします。関空・成田からのホノルル線、米本土線を開設します。
      欧州路線 既存路線のデイリー化を図り、また、需要の見込める新規路線を計画します。
      中国路線 空港制約の緩和にあわせて、北京・上海線の増便を図ります。既存の大連、青島に加えて、天津、瀋陽等への新規乗入れを目ざします。
      アジア・
      オセアニア路線
      今後も堅調な伸びが期待される重要なマーケットであり、既存基幹路線の増便を図ります。インド、ミャンマーへの路線に加え、新規路線を積極的に展開します。
    • 貨物事業他
       貨物事業については、グループ総合力の活用により、国際競争力を強化します。また、堅調な伸びを維持している機内販売、外航受託を中心に附帯事業の増収を図ります。
  4. 人員計画
     国際線を主体とした要員増が必要であり、期間中は採用の継続を予定しています。しかしながら人件費を抑制するため、現有人員の活用、間接部門のスリム化により、現業部門の増強を図りつつ、生産性向上により5年間で座キロ当り人件費をさらに20%削減します。また、柔軟な要員計画を可能とするため、雇用ソースを多様化していきます。
    (年央ベース)
    1996年度 2001年度 伸び率 (%)
    14,660 人 15,810 人 107.8
    (短期契約社員・出向者含む) (座キロの伸び 145.8%)
  5. 収支計画
     国際線を主体に期中平均8%程度増大する事業規模(座キロ)を背景に、2001年度の営業収入は96年度予測(8,800億円強)に比べ、5年間で30%増となる11,500億円を目ざします。
     費用については規制緩和の効果、生産性向上策により、その抑制につとめ、経常収支では300〜350億円程度の利益を確保し、企業の使命である安定的な配当継続を目ざしていきます。

    2.競争力向上と経営改革のプログラム

    1. 収支構造・財務体質の改善
      全部門を挙げて低コスト化を推進し、機材稼働の向上、座キロ当り人件費の削減など生産性の向上を図ります。
    2. グループ経営力の強化
      企業会計制度が国際標準の連結決算を中心としたものに移行していくに当たり、グループにおいてもグローバルスタンダードに基づいた経営への転換を図ります。
    3. 高品質なサービスの推進
      顧客志向について、当社のスタンスを明確にし、各部門のサービス業務の指針となるサービスコンセプトを設定、現業部門の強化と権限委譲による迅速なサービス推進体制を構築します。
    4. 企業風土の改革
      ・自己責任へ向けた意識改革。管理職上位層をスタートラインに年俸制を導入
      ・現業第一線解決型の企業風土を築くため、大幅な権限委譲を行う

    以 上