第11-57号
平成11年5月31日

「中期経営計画」 (1999〜2002年度)
「財務体質」を抜本改革し「収益性」を大幅に向上させ、 強靭な新生「全日空グループ」を構築します

〜お客様・株主の皆様から更に信頼を頂ける全日空を目指して〜

全日空は、このたび1999〜2002年度の「中期経営計画」を策定いたしました。

引き続き低迷する経済状況下、企業会計・金融制度の変革や競争激化が進み、 ますます厳しさを増す経営環境の中で、当社が真に強靭でグローバルなエアラインとして21世紀へ向け大きく 飛躍するためのビジョンとアクション・プランを具体的にまとめたのが「中期経営計画」です。

個々のアクション・プランのハードルは高く、実現には大きな痛みを伴いますが、 航空会社の存立基盤である安全運航の堅持を大前提に、グループの役員・社員が一丸となって不退転の決意で 「中期経営計画」を実行することにより、財務体質を抜本改革し、収益性を大幅に向上させ、 お客様と株主の皆様から期待と更なる信頼をお寄せ頂ける強靭な新生「全日空グループ」を構築します。

「中期経営計画」の詳細は、別紙をご参照ください。

I.経営の基本目標

お客様、株主の皆様から信頼をいただくことが全日空グループの使命です。

II.経営の基本方針

航空輸送サービスの基本品質(安全性・快適性・定時性・利便性)を
一層向上させ、お客様からの信頼をいただくことを目標とします。


1)全日空グループの最も重要な使命である「安全運航」を堅持します。
2)お客様からご満足いただける高品質なサービスを提供するために、 グループをあげて「お客様第一」主義を実践します。


航空事業を中心とするグループ事業の収益性を抜本的に改善し、株主の
皆様から信頼をいただくことを目標とします。

1)抜本的な費用構造の改革と有利子負債の圧縮により、「収益性と財務体質の改善」を図ります。
2)全日空のリーダーシップのもとで「グループ全体の経営改革」を推進します。
3)航空事業とその他の事業の双方において、ビジネスの「選択と集中」を進めます。
4)販売改革の実践により「競争力向上と増収」を目指します。
5)全日空グループの企業集団としての価値を高め、「継続・安定的に株主の皆様への利益還元」を目指します。

III.全日空の経営目標(定量指標)
  1. 使用総資本事業利益率

    航空事業を中心とする収益性と効率性の向上をはかる指標として設定します。


  2. 使用総資本事業利益率 = ( 営業利益 + 受取利息配当金 )÷ 総資本

    目標値:6%以上

  3. ANA経営資本営業利益率
全日空としての経営改善の結果が純粋に反映される指標として「ANA経営資本営業利益率」 を併せて設定します。

ANA経営資本営業利益率 =
{営業収入_(営業費用_公的負担額)}÷経営資本

目標値:17%以上
  1. 公的負担は空港使用料等、燃料税、航空機の固定資産税負担額。これらを負担する前の費用推移、 営業利益の推移を把握し、全日空としての経営改革の効果だけを抽出して評価することが目的です。


  2. 経営資本は、航空事業の用に供する資産。総資本から投資その他の資産、繰延資産、 および建設仮勘定を差引き、航空機のリース資産相当額を加えて求めています。 本業の効率性を図る基準となります。
  1. 定量指標の推移

年度

使用総資本事業利益率

ANA経営資本

営業利益

 

ANA

運輸業平均

営業利益率

(億円)

1996

2.0%

3.5%

15%

180

1997

0.3%

3.2%

13%

6

1998

▲0.9%

__

11%

▲132

1999

0.8%

__

11%

20

2000

2.4%

__

13%

260

2001

4.2%

__

15%

440

2002

6.1%

__

17%

620

*出典: 産業別財務データハンドブック(1998、日本開発銀行編)

  運輸業: 東京、大阪、名古屋3証券取引所1部、2部上場会社

IV.経営改善計画の骨子(具体的方策)

  1. 全日空グループの経営改革
  2. 1)全日空の経営体制のスリム化

    本計画を円滑に実行するために組織体制の改革が必要であることから、 4月より経営戦略会議を設置し、さらに6月の株主総会以降、常勤役員体制をスリム化(31名→19名) するなど意思決定の迅速化を図る体制といたしました。今後は、全日空の役員、 幹部社員に対してストックオプション制度等、会社の業績が報酬にリンクする制度の導入を検討いたします。

    2)全日空グループの経営体制改革

    グループ企業において、意思決定の迅速化を図るため役員体制のスリム化を行います。 グループ企業間で重複する業務を徹底して洗い出し、全日空グループの経営資源を一元的に有効活用していきます。 これにより全日空グループの業務効率は大きく向上し、コストの大幅な削減を図ります。

    1. 主要グループ企業の役員数を大幅に圧縮します。
    2. 主要グループ企業の役員に対するストックオプション制度の導入を法整備の状況を見つつ検討します。
    3. グループ内航空会社間で本社部門、技術・生産スタッフ部門、 販売部門における全面的な協業体制を確立し、大幅な業務の効率化を図ります (「グループ本社」「グループ生産センター」「グループ販売センター」を設立します)。 (1999年度より順次)
    4. グループ資金プーリングシステムを導入するとともに、 グループ企業の決算業務などを統合・集約化します。(2000年度_)
    5. 主要な航空関連事業においては、事業の統合・再編を行います。

      再編後は「完全子会社化」を行い、全日空の役員が子会社の役員を兼務することなどで、 責任と権限範囲が明確な部門完結型運営体制を構築します。

    6. 本計画期間中の実施を目標に、全日空グループの一層の経営体制の改革を行うとの観点から、 グループ内航空会社を統括する「持株会社」の設立を検討します。

  3. 財務体質の改革
  4. 設備投融資を圧縮するとともにコスト構造を抜本的に見直すことで収益力を高め、 計画期間内に資産総額で8%、実質負債残高を22%削減します(対98年度比、リース債務含む)。

    1)設備投融資の圧縮

    本計画期間中の航空機導入数を9機削減(19機 → 10機)することなどで、 設備投融資が内部資金を下回る規模(年平均840億円程度)に圧縮します。

    2)有利子負債の削減

    1. 設備投融資の圧縮に伴い、有利子負債を約1,300億円削減し、 2002年度において約6,100億円とします(対98年度比 17%減)。
    2. リース債務については、約1,400億円減少し、2002年度において約3,400億円とします(対98年度比 30%減)。

      リース債務を含めた実質負債残高を、全日空単体で2,700億円削減します(対98年度比、22%減)。

    3. グループの実質負債残高を、3,200億円削減します(対98年度比、20%減)。

  1. 航空事業における「選択と集中」
  2. 「選択と集中」をキーワードに、国内線におけるエアーニッポンとの路線再編、 国際線での高需要路線の拡充と不採算路線からの撤退を進めるなど収益性の高い分野への 絞り込みと資源の集中投入をさらに積極的に進めます。なお、2002年度における生産規模 (座席キロ)は対98年度比95.8%(国内・国際計、自社運航のみ)となる計画です。

    1)国内線では、エアーニッポンとの路線再編や羽田空港発着枠の拡大により、 羽田発着路線を拡充します。エアーニッポンは効率性を高めるため、 機材のダウンサイジングを行います(A320を減機し、オペレーティングリースを中心にB737を増機)。
    2)国際線では不採算路線からの撤退を行うと共に、空港容量増加のタイミングを捉えて、 成田空港発着路線を充実します。
    3)更なる事業性改善を図るため、低コスト体制の新たな運航会社を立ち上げ、 関西空港発着路線を始めとして2000年度より運航を開始することを目指します。

  3. 間接固定費の削減と効率化の推進

間接固定費を2002年度において約10%削減することなどにより、 収入の伸びがない中でも利益を生み出せる経営体質に改革します。 2002年度における経常収入は約150億円減少しますが、 経常費用についてはこれを大幅に上回る約620億円を削減する予定です(対98年度比)。

1)全日空に「業務改革委員会」を設置(本年4月1日付)し、 あらゆる業務を根本的に見直すことで間接固定費の削減に向けた活動を推進します。
2)全日空と主要グループ企業の総人員(28,000人)を本計画期間中に10%削減します。

    1. 全日空では、早期退職制度の拡充と新規採用の大幅な圧縮を中心に1,700人規模(12%)削減します。
    2. 主要グループ企業でも、新規採用の大幅な圧縮やスリム化を進めます。
    3. 全日空からグループへの出向者数(スタッフ部門)について、本計画期間中に現在の540人から、180人程度圧縮します。

3) 人事・福利厚生制度の改革

99年度までに実施した施策をさらに進化させ、人事制度においては、 航空事業における各分野のスペシャリストの育成に重点を置くとともに、 アライアンスの推進を支えうる国際性やグループ運営の視点を持った人材の確保・育成に努めます。 また、そのための環境整備や能力・業績に応じた処遇を行います。なお、福利厚生制度では、 自己責任原則、経済合理性の観点からの見直しを継続します。

<99年度において既に実施した施策>

  • 役員報酬の減額

(社長・副社長:▲25%、専務取締役・常務取締役:▲20%、取締役:▲15%)

    • 管理職の手当減額

( 地上職:▲18,000_28,000円/月、運航乗務職:▲43,000_68,000円/月)

    • 経営管理職の本給カット(▲5%)
    • 99年度ベースアップの凍結
    • 一時金の圧縮  など

  1. グループ企業における改革

徹底して経営改革を行い、連結収支と財務体質の改善を図ります。

1)ホテル事業

従来のホテル経営体制を抜本的に改め、運営機能(オペレーション)と経営機能(オーナーシップ) を明確に分離し、経営改革を強力に推進します(1999年度_)。

  1. オペレーション
  2. 全日空エンタプライズ(株)の社名を「全日空ホテルズ(株)」(仮称) に変更することも検討しつつ、名実ともに“全日空ホテルズチェーン”を統括する本部として再生させ、 機能の改革や業務センター化による間接部門の集約・効率化を推進します。併せて、 各ホテルの運営体制を「GM(総支配人)体制」に改め、重層構造の解消を図ります。

  3. オーナーシップ

全日空は経営の最終責務を担いますが、業績一元管理のための新たな手法の導入等により運営成績の 向上をオペレーションサイドに求め、投下資本の回収を実現します。

2)関連事業における「選択と集中」

将来的に利益が期待できないと判断する事業からは財務体質改善の観点から撤退を計画し、 そのための損失引き当て300億円を計画に盛り込みます。
  1. 販売体制の改革

    抜本的再構築によりグループとして機能的な販売体制を構築し、競争力の向上と増収を目指します。

    1)全日空とエアーニッポンは共同して「グループ販売センター」を設置し、「グループ販売センター」 の間接部門では販売系子会社を含めた販売戦略を共同して立案します。販売直接部門(支店部門)では、 共同して販売活動を行います(2000年度_)。
    2)販売系子会社を旅行業として仕入れ機能のホールセール会社と地域販売会社に機能再編します。 さらに販売直接部門(支店部門)の分社化を検討します。
    3) 国内・海外支店の整理、統廃合、予約機能の効率化などを進め、販売コストの削減を進めます(1999年度〜)。
  1. 空港サービス・運航サポート体制の改革
  2. 全日空ならびにグループ企業間で、高品質・低コスト体制を構築し、 お客様から満足と信頼を頂ける空港サービスの提供を行うとともに、競争力に優れた効率的な運営を目指します。

    空港本部と空港支店に分散した機能と権限の整理・集約を行うことにより、 企画立案機能と現業機能の強化を図ります(1999年度より順次)。

    フライトコントロールセンターを発展・強化して副社長直結の新組織を設立し、 運航関連部門間(運航・整備・客室・空港)の連携を強化するとともに運航に関する情報を 24時間体制で一元管理することで危機管理対応能力を高めます。またこれにより、 日常の運航品質を向上させるとともに、悪天候時などにおける迅速・的確な判断と 柔軟な運航支援業務を推進することでお客様に提供するサービスの基本品質 (安全性・快適性・定時性・利便性)を高めます(1999年度_)。

  3. アライアンスの推進
  4. 本年10月に世界最大規模の航空企業連合「スターアライアンス」 に正式加盟いたします。アライアンスを通じて世界で当社の知名度を飛躍的に向上させ、 マイレージサービスの充実、共同宣伝、戦略的セールス活動により、特にビジネス旅客を対象に増客、 増収を図ります。一方、コスト低減の観点から施設の共有化、共同調達、システムのリンケージなどを行い、 収入と費用両面から全日空の収益力の向上を目指します。

  5. 商品競争力の向上

お客様のご期待にいち早くお応えし、ご満足いただけるエアラインを目指します。

基本品質(安全性・快適性・定時性・利便性)を一層向上させることに加え、予約、 チェック・イン、機内サービスから最終目的地到着に至るまで、お客様に提供する全てのサービスにおいて、 信頼と親しみをおよせ頂けるグローバルなエアラインを目指して「ANAブランド」の構築を行います。

以上

 


【参考資料】

  1. 事業計画

便数計画 注. 自社運航のみ

 

1998年度(便)

2002年度(便)

対1998年度比(%)

国内線

200,650

192,570

96.0

国際線

17,870

17,500

97.9

合計

218,520

210,070

96.1

座席キロ 計画 注. 自社運航のみ

 

1998年度
(百万座キロ)

2002年度
(百万座キロ)

対1998年度比(%)

国内線

54,630

52,940

96.9

国際線

30,490

28,640

93.9

合計

85,120

81,580

95.8

2.収支計画

 

1998年度(億円)

2002年度(億円)

対1998年度比

経常収入

9,634

9,486

98.5%

経常費用

9,628

9,005

93.5%

経常利益

6

481

+ 475億円

当期利益

▲ 66

211

+ 277億円

(前提)期間中のGDP:0%、為替レート:1USD=120円

  1. 機材計画(ジェット機)

運航機材数

 

1998年度

2002年度

増減

ANA

133機

126機

▲7機

ANAグループ

160機

157機

▲3機

計画期間内の導入/退役機材数

 

導入機数

退役機数

ANA

10機

21機

ANAグループ

22機

25機