笑いながら泣いたソチ最終戦

2014年3月にロシアで行われたソチパラリンピックアルペンスキー最終戦の女子大回転。日本代表の村岡桃佳は、攻略が難しいとされたソチの斜面を見事に滑り降り、フィニッシュラインを駆け抜けた。

「桃佳――!」
かけ声が一斉に飛んだ。フィニッシュエリアで日本チーム最年少の村岡選手を待っていたのは、この大会で2つの金メダルを獲得した狩野亮選手、回転種目で表彰台の中央に上った鈴木猛史選手、日本選手団の主将も務めたチームリーダーの森井大輝選手ら世界トップレベルを誇る日本チームの面々。村岡選手は、世界で戦うアスリートとしての心得はもとより、ターンの技術、チェアスキーのセッティングなどもこの偉大な先輩たちから学んだ。そんな先輩たちから満面の笑みで迎えられてほっとしたのだろう、村岡選手は笑いながら泣いた。

初めて挑んだ大舞台は、それほどつらく苦しいものだった。プレッシャーに押しつぶされそうになり、いつもどおりの滑りができない。最初のレース(スーパー大回転)は、旗門不通過によるまさかの「失格」。次の回転でも9位と、自分のふがいなさに打ちひしがれた。

「もしかすると、最後のレースの大回転でも転倒するかもしれないという不安はありました。でも、このままではここに来た意味がない。結果を残すことも大事だけれど、何かを持ち帰りたい。その一心で、自分で納得のいくようにがんばろうと気持ちを切り替えました」

チームメイト、そして応援に駆けつけてくれた家族の存在も支えになった。そして重圧を振り切り、5位に入賞。最後はなんとか笑顔で締めくくることができたが、悔しさの方が大きかった。この悔しさを次の挑戦への糧とすることを誓った。

Back Number