バイオリニストからゴルファーへ
目標を変えさせた母の言葉

幼い頃から「トップアスリートになる」との強い思いを胸に一途に努力を重ねてきた結果、夢をかなえたという選手は少なくない。現在取り組んでいる競技とは異なるものの、生まれ持った運動神経の良さを活かして、スポーツに親しんできたというのもよく聞く話だ。ところが今年、LPGA(全米女子プロゴルフ協会)ツアー、メジャー大会初戦の「ANA INSPIRATION」を含む2勝を挙げ、女子世界ランク1位(2017年7月末現在)を走るユ・ソヨン選手(韓)の経歴は異色だ。

「小学2年生から始めたゴルフは趣味の一つという位置づけでした。本命は5歳から始めたバイオリンで、本気でバイオリニストになるべくレッスンに励んでいました」

バイオリニストの夢を追いかけつつ、ゴルフも楽しむ生活は、14歳まで続いた。ところが転機が訪れる。きっかけは、『あなたは、本当はゴルフの方が好きだと思うけど』という母の言葉だ。幼い頃から一番近くでソヨン選手を見守り、応援し続けてきたからこそ、適性を見抜けたのだろう。この母からの問いかけを機に、ソヨン選手は自分自身について、そして将来について、改めて考えることになった。

「本当に上手なバイオリニストの演奏は魅力的なものですが、人によって奏でる音色はさまざまですし、聴き手によってもその評価は分かれてしまいます。一方のゴルフは、プレーの結果が数字として表れます。私は人によって意見が異なるものより、はっきりと結果が出るものが好きです。そう考えると、母の指摘通り、ゴルフの方が向いているのではと気づき、プロゴルファーを目指すことに決めたのです」

「自分の好きなことしかしたくないし、してこなかった」というソヨン選手は、バイオリンからゴルフクラブへと持ち替え、自ら選んだ新たな道を突き進むことになった。

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