激しい弾圧のなか、静かに身を潜め続けた信者たちの信仰心は、並大抵のものではなかったはずだ。その一部を垣間見られるのが「堂崎天主堂」。禁教令解禁後、五島に初めて建てられた天主堂で、赤レンガのゴシック様式の天主堂内には、現在資料館として当時の貴重な文献などが展示されている。誰もが知っているであろう「踏み絵」など、貴重な資料を通して、彼らの深い信仰心を感じることができるのだ。

教会破壊、宣教師追放が続き、さらに信徒の処刑といったキリスト教弾圧から逃れるために、信者たちが長崎の大村藩から移り住んだという半泊（はんどまり）。これだけの人数が住み着くにはあまりに狭く、その半数だけがここにとどまったことからその名が付いた。彼らは十字に見立てた椿や、子安観音や慈母観音を聖母マリアに見立てたマリア観音など、表向きは仏教徒を装ったという。それらはすべて信仰を守るため。キリスト教の聖遺物の概念をも超えたさまざまなものが存在したそうだ。

三井楽地域の海沿いに小さな工房がある。「三井楽ステンドグラス工房538」だ。元々あったレンガの倉庫を改築して造られた工房は、実際に三井楽教会のステンドグラスを手がけたという職人たちの創作現場となっている。ここでは彼らに手ほどきを受けながら、オリジナルのステンドグラスを作れるというのだ。色ガラスの断片を繫ぎあわせるステンドグラスは始めのガラス選びが重要。完成をイメージしながら作業を進めると、いつの間にか無心で作っている自分に気付かされた。

組み合わせた色ガラスをはんだで繋げていく。きれいに仕上げる大事な工程だ。