第51回(2025年)大会
決勝ラウンド
2日目・総評 レポート

岩﨑亜久竜選手のショットの写真

 決勝2日目 総評

天候:曇り、気温:17.7℃、風向:北北西、風速:7.3m、ギャラリー数:2,263人

プレーオフを制した金谷拓実選手が大会初優勝

第51回目を迎えた今年のANAオープン。初日に強めの雨が降る場面もありましたが、2日目、3日目は晴天に恵まれました。土曜夜には大雨予報が心配されるも最終日は30分遅れで全組無事にティオフ。風が強く気温も下がる中、多くのギャラリーが大会の行方を見守りました。

最終日、単独トップでスタートしたのはトータル16アンダーで大会2勝目、ツアー通算4勝目を狙う大槻智春選手。トップを2打差で追うのは今季アメリカツアーを主戦場としている金谷拓実選手。さらに1打差のトータル13アンダーで石川遼選手と宋永漢選手が追いかけました。

この日、大槻選手は3番ホールをボギーとし、5番のロングホールで1つ取り返すも続く7番ホールでボギー。思うようにスコアを伸ばすことができずに前半を終えます。単独2位でスタートした金谷選手は2番ホールをダブルボギーとして出遅れましたが、その後3番から4連続バーディー、一時首位に並びます。しかし、8番ホールでこの日2つ目となる痛恨のダブルボギー。9番ホールで1つ取り返し、大槻選手と同じ15アンダーで後半へ進みます。

上位2選手が足踏みしている中、着実に伸ばしたのが石川選手と宋選手。石川選手は4番をボギーとしますが、続く5番、6番で2連続バーディー。9番ホールでもバーディーを奪います。宋選手は3番ホールで1つスコアを伸ばしますが、4番ホールでボギー。その後7番、9番でバーディーを奪い、2選手ともトータル15アンダーで前半を終えました。

Position Score Player Total
1 -17 金谷 拓実 271
2 -17 石川 遼 271
3 -16 宋 永漢 272

最終組が9ホールを終えた時点で4選手が首位に並ぶという大混戦。1歩リードしたのは、12番のロングホールでバーディーを奪った石川選手と金谷選手。また13番でバーディーを奪った宋選手がトータル16アンダーで並びます。

後半に入り平行線が続く中、石川選手が16番ホールをバーディーとして単独首位に躍り出ます。しかし、続く17番ロングホールのティショットが林に入り、2打目もラフ、3打目もグリーン右手前のバンカーに。4打目のバンカーショットもグリーン奥に外しピンチと思われましたが、見事なチップインでこのホールをパーで凌ぎます。すると、18番もパーで終え、トータル17アンダーで最終組を待つ展開に。一方、17番でバーディーを奪い、石川選手に並んで最終ホールを迎えたのは金谷選手と宋選手。迎えた18番ホール、宋選手はティショットを左に外し、3打目のアプローチも寄せきれずにこのホールをボギー。一方、危なげないパーセーブでホールアウトした金谷選手が石川選手とのプレーオフに突入します。

プレーオフ1ホール目はどちらもパー。2ホール目のティショットを石川選手が右バンカーへ入れ、2打目はグリーン手前。狙いにいった3打目アプローチは惜しくもピン横を通り過ぎ約2メートル弱のパーパットが残ります。金谷選手はラフからのセカンドショットをピン左奥約4メートルに。先にパーパットを打った石川選手が外したのに対し、パーパットを沈めた金谷選手が本大会初優勝を成し遂げました。

今季2戦目の国内ツアーでプロ・アマ通算8勝目を挙げた金谷選手。国内外で活躍にさらなる期待がかかります。毎年熱い戦いが繰り広げられるANAオープン。来年はどんなドラマが繰り広げられるのか──1年後の輪厚が今から楽しみです。

 決勝2日目
選手コメント

金谷 拓実 
17アンダー(1位)FR 69

CAと並んで優勝カップを持つ岩﨑亜久竜選手の写真

──今日の勝因は何でしょう?

2番ホールで少しトラブルになってダブルボギーになってしまい、良いスタートではなかったのですが、うまく気持ちを切り替えられました。 3番からいいプレイもできましたし、またダブルボギーがあった後も粘り強くできました。特に後半の 14番ぐらいから良いパットができたのが優勝につながったと思います。

──気持ちを切り替えるにあたって、意識されたことはありますか?

今週はキャディーさんがコルフ場の方で、そのキャディさんが良いプレーも悪いプレーも関係なく、平常心でプレーさせてくれたので助けられました。気持ちのコントロールがうまくいかないことが多かったのですが、前向きにプレーさせてもらえましたし、そういったことは今週すごく勉強になったと思います。

──石川プロとのプレーオフになりましたね。

遼さんもすばらしいプレーをされていたし、1ホール目のバーディパットも入ったと思いました。少しの差で勝負は決まったと思います。

──アメリカツアーの経験が活きたことはありましたか?

それはまだないですね。あとアメリカで6試合あるので、より良いプレーができるように、この優勝をきっかけにできたらいいなと思います。

──アメリカツアーで苦労されていることはありますか?

アイアンショットがPGAの選手と比べるとうまく打てないことですね。少しのミスが大きなミスになってしまうので、そういったところは日々勉強中です。

──14番2打目をバンカーに入れてしまいます。パーパットの距離はどれくらいでしたか。

1.5メートルくらいですね。

──キャディさんが平常心でプレーさせてくれたとのことですが、うまくいかなかったときに声がけなどがあったのでしょうか。

特にありませんが、やはり良いときも悪いときも同じリズムでプレーできるようにしてくれました。ゴルフとは関係ないこともいろいろ話しながらプレーできました。そういったことがこれからもっと難しいところで戦う際には重要だと思いますし、苦手な部分なので、本当に今週は勉強になったと思います。

──いつものキャディさんとは違う発見ですか。

ライオネルも自分を高めてくれる存在なので、これから一緒にアメリカで6試合頑張っていきたいと思います。今回は一緒に優勝できなかったので、それをできるように頑張りたいです。

──ライオネルさんからもらっている言葉などありますか。

ライオネルも自分に厳しいので、たまにそれが自分にも飛び火することもあるんですが、そういった姿勢がより自分を高めてくれると思います。本当にラオネルのことが僕は好きなので、自分をもっともっと成長させて、ライオネルと一緒に優勝できるように頑張ります。

──ライオネルさんの尊敬するところはどのようなところでしょうか。

栄養だったり、リカバリーだったり本当いろんなことをすごく一生懸命やっているので、そういう姿勢が勉強になります。

──アメリカツアーでの移動や環境で苦労したことはありますか。

特にないですね。コースの難しさだったり、フィールドの高さだったり、そういったことはすごく感じます。

──予選落ちが続く中でもポジティブでしたか?

予選落ちが続いたときでも、少しでも成長できるよう心がけて今までやってきているつもりです。そういう積み重ねが今後につながると信じています。

CAと並んで優勝カップを持つ岩﨑 亜久竜秀人選手の写真

──優勝の副賞で日本ハムファイターズ戦での始球式権がありますが、意気込みは?

キャッチボールしておきます。野球をプレーした経験はありませんが、好きなので楽しみにしています。

──広島県のご出身ですが、広島カープファンですか?

はい。ちょうど昨日クライマックスシリーズ進出が消滅しました。小さいころは広島市民球場で観戦していました。

──JTカップへの意気込みを教えてください。

選ばれた選手しか出られない大会ですし、そういった権利も得られたことはすごくうれしいです。優勝をめざして頑張ります。

──プレーオフでティショットをミスしたときの気持ちはどのようなものでしたか?

今週はキャディさんと同じような会話をずっとしていたので平常心でしたね。次からの試合でもいろんな場面があると思うので、同じようにできたらもっと良いプレーができると思います。

──ライオネルさんとは違うルーティンを受け入れながらですか?

そうですね、受け入れて。

──ヨーロピアンツアーとアメリカツアーの違いはありますか?

それほど多くは出てはないですけどヨーロッパのほうが今日のようなすごい悪天候でプレーすることが多いイメージはあります。アメリカはこういう天気だとすぐ中断になり、コースのコンディションはすごくいい状態でやることが多いですね。アメリカの試合のほうが完璧なショットが必要な感じがします。アイアンショットの精度などがより重要になる気がします。

──今週コーヒーは飲んでいますか?

休みのときだけです。結果を出したいので、結果が出るまではそういったものも抑えないとうまくできないと信じているので。アメリカで頑張りたいし、そのために今頑張っています。

──2番でダブルボギーの後、3番は攻めていこうと思いましたか?

特別そういった気持ちはなかったですが、良いショットが打てたと思います。

──17番で2オン。プレッシャーの中、順位を把握して狙っていこうと思ったのですか?

細かく順位はわからなかったですが、バーディを獲らないと優勝は厳しいと思っていました。しっかりグリーンに乗せられて良かったです。

──ドライバーを替えて良かった点はありますか?

学生のときからずっと同じモデルを使っていたので、最新のモデルのほうが飛ぶと思いました。キャリーが出るので。

──今週もっとも活躍したクラブは?

パターです。終盤落とさずにプレーできたことが、プレーオフにつなげられたと思いますし、良かったかなと思います。

──パターは大学1年生くらいから使っていますか?

そうですね。

──パターのどの辺りが気に入っていますか?

打感ですね。

──今年1年間、アメリカで成長した部分はありますか?

難しい環境に身を置くことで、より一層努力をするようになったことですね。自分で言うのも変ですが、ゴルフをする環境しかないのでより考えさせられますし、よりゴルフに向き合うようになったと思います。去年の予選会で資格が取れましたが、今年も最初はずっと予選を通りませんでした。もう何年も予選を通ってなかったので、予選を通ることが 1つのクリアだったと思いますし、トップ10に入るのも 1つのクリアだったと思います。数字で見るよりは1つひとつ前に進んでいる感覚はありますし、頑張り続けることで小さいステップを踏むことができると信じています。

──今日は悪天候で、風が強い難しい状況でのプレーでした。

この1年でこういった難しい状況を受け入れることを学んだと思います。こういう状況でも受け入れてやることは大事だと感じています。

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