フランスパンのラスクを看板商品として、日本ではじめて上場を果たした会社が東京でも名古屋でも大阪でもなく、山形にある。ラスクを中心にギフトとして親しまれる洋菓子を全国に向けて製造・販売しつつ、地元では洋菓子店、パン工房、フレンチレストラン、イタリアンカフェ、ダイニング等を展開する株式会社シベール。

創業者であり、代表取締役社長としてシベールを上場まで導いた熊谷眞一は、山形県西村山郡大江町にある和菓子屋の長男として生まれた。
当然のように家業を継ぐものとして育てられた彼。だが小学校5年生の時、校長先生に「お菓子屋になるのはもったいない。」と言われたことで、人生が大きく変わる。
家業や父親までばかにされた気がして、悔しかった。その言葉は逆に「お菓子屋を産業と呼ばれるようにする」と彼の心に火をつけたのだった。

熊谷はその決意を忘れることなく、昭和41年10月、25歳にして県都山形市で洋菓子店として単身独立。それから紆余曲折を経験しつつ、平成6年9月、日本で初めて進物型のフランスパンラスクを開発。平成14年には山形県産業賞を受賞した。

校長先生への答えにはなっただろうか。現在、シベールは年間44億円を超える売上げを記録している。