ANAブランド強化による成長戦略
~グローバルマーケットで評価される航空会社を目指して~

(2/3)

HOSPITALITY ~ホスピタリティ~

ホスピタリティ

お客様ニーズへのきめ細かな対応に向けて

 フルサービスキャリアとしての品質向上を目指すために、サービススキルコンテストを客室乗務員部門、空港係員部門それぞれで実施し、目指すべきロールモデルを生み出してフロントラインで共有する仕組みを整えました。このような取り組みが顧客満足に結び付くことはもちろん、部門を越えて社員同士が切磋琢磨し、シームレスなサービスを展開する上でも大いに活かされています。
 また、お客様ニーズへのきめ細かな対応に向けてPDCAを意識した現場からの改善提案も定着しており、お客様や社員からのさまざまな情報をスピーディーに共有して課題の改善を図っています。ANAでは、こうした「小さなことの積み重ね」を大切にし、日々の業務を通じてサービス品質の向上を実現するようにしています。

ANAブランドの競争力向上を実現する「人財」育成

 ANAブランドを体現する上で重要な「人的価値向上によるサービス強化」を図るべく、2014年度(入社ベース)から、客室乗務員の長期社員採用を再開しました。若手社員の成長機会を拡げ、意欲・能力のある社員が活躍できる場を提供することにより、一段と厳しくなる競争環境の中で、模倣困難なサービスを一緒に考えて働くことができる「人財」を育成し活躍を推進していきます。
 サービス品質を向上させるためには、一人ひとりの社員が経験を積み重ねながらキャリアアップを図り、組織全体の成長につながる基盤を整える必要があります。女性社員が多いフロントラインでは、こうした貴重な「人財」が長く働き続けることができる環境を整えることも、マネジメントとしての重要な責務だと認識し、積極的に支援しています。

グローバルカスタマー対応力の強化に向けた、「グローバル推進部」を新設

海外グローバルカスタマー対応力強化に向け、「グローバル推進部」を新設 ANAグループには約7,300名の客室乗務員が在籍していますが、当部は主に海外に拠点を置く客室乗務員の育成や新たな拠点への展開など、客室乗務員部門のグローバル対応強化を推進する役割を担っています。外国人客室乗務員は、中国・韓国・台湾などをはじめ、ヨーロッパ15カ国からなる欧州ベースの客室乗務員も含めると約400名に及びます。中には乗務時間の実績が10,000時間を超える乗務員もおり、“OMOTENASHI”の心を理解したその対応は、日本人のお客様からも高い評価をいただいています。

全日本空輸(株) 客室センター グローバル推進部 海外乗務課リーダー
村松 絵里子

SKYTRAX社「5スター」認定の原動力と見えてきた課題

 SKYTRAX社による「5スター」認定は、私たちの取り組みに対する一つの評価であり、ANAのサービスがグローバルレベルで支持されたという意味で大きな自信になりました。多様な「お客様のニーズ」に沿って徹底的に考え抜いたサービスを展開していること、その帰結として、お客様のご要望に応じた「高いレベルの対応力」を発揮できていることが評価されたものと認識しています。
 その原動力の一つが、「ダイバーシティ」です。国籍・年齢・雇用体系など、客室乗務員や空港係員のバックグラウンドが多様化していることから、現場ではさまざまな視点からアイデアや提案が生まれており、これらの考え方を尊重しながらサービスを実践してきました。また、マネジメント層がスタッフの経験・判断・行動を受け入れることによって生まれる「失敗を恐れずに組織全体で支える職場風土」は、社員一人ひとりが自分自身の判断に自信を持ち、お客様への一歩踏み込んだ対応を可能にしています。まさに日本的な“OMOTENASHI”の精神の具現化が、グローバルレベルでの高い評価につながっているということがいえるのではないかと思います。
 一方で「5スター」の評価を分析する中で、課題も見えてきました。例えば、「グローバルカスタマー対応」においては、語学力の向上は必須であり、引き続き改善に向けた対策を講じています。また「イレギュラー対応力」もさらに強化していく必要があります。通常運航時において一定のレベルのサービスを提供することは、いわば、どのエアラインにでもできることです。悪天候などでイレギュラー運航が発生したときや、お客様が何らかのトラブルに見舞われてお困りのときこそ、フルサービスキャリアとしての実力が如実に現れるとともに、その真価が問われます。

成長戦略を支えるANAブランドの担い手として

 景気の回復に伴い、国際線を利用されるお客様が増加していることをフロントラインでも実感しています。訪日需要の伸びとともに、ANAを利用する外国人のお客様も着実に増加しています。
 私たちは、国内線で最大のマーケットシェアを有すると同時に、アジアを中心としたグローバルマーケットに成長機会を求めるエアライングループです。ビジネスチャンスを活かしながら成長を実現していくためには、常に競争力の高いサービス品質を維持・向上させ、今後も拡大する航空需要をグローバルレベルで取り込んでいかなければなりません。同時に、グループ全社でコスト構造改革に取り組んでいる中、効率性・生産性の向上も合わせて追求していく必要があります。
 こうした目標は、フロントラインだけで達成できるものではなく、商品戦略、ハードとプロダクトの企画・開発、マーケティング活動、ネットワーク構築など、すべての力の結集が必要であると考えています。
 ANAブランドの担い手として、安全かつ快適なフライトの実現と、航空事業の収益性強化に貢献できるよう、これからも日々努力を重ねていきたいと思います。

成長戦略を支えるANAブランドの担い手として

PRODUCTS AND SERVICES ~プロダクト・サービス~

プロダクト・サービス

フルサービスキャリアとしての商品戦略

 客室乗務員や空港係員とともに高品質なサービス提供を実現していく上で、商品戦略部門が担う役割は非常に重要です。将来のプロダクトやサービス開発の方向性について考えることは大変難しい課題であり、私たちは常に「変化を求めていく」必要があります。お客様に機内で快適に過ごしていただくため、シートや機内食、機内エンターテインメントからアメニティグッズに至るまで、常に先を見据えた議論を行い、戦略を立案していかなければなりません。
 私たちが心がけていることは、既存の枠組みにとらわれない発想によって、あるべき理想のANAブランドの構築をリードしていくことです。創り上げたプロダクトを実際に機内や空港でお客様に提供していく過程では、そのコンセプトや価値をしっかりとグループ内外に浸透させることも大切にしています。

航空事業の成長を支えるプロダクト

 ANAが自信を持ってマーケットに訴求できるプロダクトの一つに、国際線ビジネスクラスのプロダクトがあります。2010年から長距離国際線のビジネスクラスにフルフラットタイプのスタッガードシートを順次導入しており、すべてのお客様が直接通路に出入りできる座席配置など、導入以来高い評価をいただいています。2014年度末までには、ほぼすべての欧米線就航機材への導入が完了する予定です。また従来から、機内食の充実、アメニティグッズのクオリティ向上にも力を入れているほか、2014年3月に開始した機内Wi-Fiサービスも、国際線機材で順次提供を拡大していく計画です。
 航空需要は景気に連動する要素が強く、とりわけ業務渡航需要はその傾向が顕著です。こうした高品質なサービスとプロダクトは、ANAの国際線事業の成長を支える大きな強みです。足元ではANAの国際線プロダクトの優位性と景気回復を背景とした需要環境の改善が両輪となって、事業規模が拡大する中で国際線の利用実績が順調に伸びています。
 他方、国内線機材では2012年から軽量・薄型シートの導入を進めています。機内環境の快適性を損なうことなく、機体の軽量化や出発前準備の効率化(定時性の向上)を実現することで、グループ全社で取り組んでいるコスト構造改革にも貢献しています。

“パパママシェフ”によるお子様向け機内食の開発

(株)ANAケータリングサービスでは、実際に小さな子供がいるメンバーで“パパママシェフ”チームを結成しました。全体の栄養バランスを考えながら盛り付けにも工夫を施し、お子様に喜んでいただける楽しいお子様向け機内食メニューの開発に取り組んでいます。これからもANAだからこそ創り出せる、こだわりの商品を提供していきます。

“パパママシェフ”によるお子様向け機内食の開発

多様な顧客ニーズへの対応

 お客様が機内サービスに求めるご要望は大変多岐にわたることから、数多くのお客様にANAを選択していただくために、様々な分野でのチャレンジを続けています。例えば、機内食では、著名シェフとのコラボレーションメニューの提供に取り組むとともに、昨今の世界的な日本食ブームへの対応も進めています。機内で和食メニューを希望されるお客様も増えており、海外出発便で提供する和食メニューの質を高めるために現地のケータリング会社に対し、㈱ANAケータリングサービスによる業務指導を実施しています。こうした取り組みは、今後ますます増えていく訪日外国人旅行者にANAを選んでいただくことにもつながると考えています。
 また、2014年3月から羽田空港内の「ANA SUITE LOUNGE」では、深夜出発の国際線をご利用になるお客様を対象に、機内でゆっくりお休みいただけるよう、出発前にフルコースのお食事をお楽しみいただけるレストラン”DINING h”を新設しました。「顧客経験価値(Customer Experience)」を向上させていく観点から、搭乗前からご旅行後までのお客様とのあらゆる接点をトータルに考え、空港でのサービスと機内のサービスを融合させた新しいコンセプトを追求しています。
 ANAには羽田空港で最大の国際線ネットワークを有しているという強みがあります。この強みを成長に結び付けていくためには、多様なニーズに対応できる「ANAならでは」の選択肢を提供し続けていくことが重要であると考えています。

ANAブランドの価値を将来にわたって維持・向上させるために

 私たちは常に中長期的な視点で将来のサービスとプロダクトを企画・開発をしていかなければなりません。2014年3月には、2027年度までに受領する計70機の航空機調達を決定しました。中長期的な成長の原資となる従来にない大規模かつ戦略的な機材発注を受けて、私たちはすでに次世代の機内プロダクトやサービスについて検討を開始しています。また、全世界で16億人存在するといわれるイスラム圏のお客様に対応した機内食サービスの強化と、ケータリング事業の拡大を目的として、ハラール食の認証取得へ向けた準備も進めています。映画や音楽などの機内エンターテインメントについても、コンテンツ数の増加だけではなく、多言語対応も推進していく予定です。
 今後もさらに拡大するネットワークの優位性を支えに、最高のサービスの提供を目指すフロントラインの努力と、最高のプロダクトを準備する私たち商品開発スタッフの努力が結び付けば、ANAブランドは「5スター」の評価に相応しい、確固たるプレゼンスを将来にわたって維持・向上できると確信しています。