ANA Inspiration of Japan

U.S.A.ANA

まるでフランク ロイド ライト建築の美術館!
シカゴ郊外のオークパーク

FEATURES - CHICAGO

アメリカ・シカゴ郊外のオークパークには旧帝国ホテルやニューヨークのグッゲンハイム美術館の設計で知られ、20世紀を代表する建築家の1人と言われるフランク・ロイド・ライトが20年暮らしたフランク・ロイド・ライト邸や事務所として使ったスタジオ、そして初期に手がけた建築が多く残り、まるでライト建築の美術館のようだと言われています。高層建築の建ち並ぶシカゴのダウンタウンから一転、緑豊かな郊外の高級住宅地オークパークへ、フランク・ロイド・ライトの建築を訪ねる小旅行に出かけてみましょう。

Text by
Naoko Sumita
Photo by
Masashi Yoshikawa

ダウンタウンの西約20kmに位置する緑豊かなエリア、オークパーク

オークパークは、シカゴの西約20kmに位置する郊外の閑静な住宅地。ここには、フランク・ロイド・ライトが結婚を機に設計した自らの住まい兼スタジオ「フランク・ロイド・ライト邸」のほか、約25棟のライト設計の建築が残っています。

フランク・ロイド・ライトの住居。1889年の完成から家族が増えるにつれ増築を繰り返した
フランク・ロイド・ライトの住居。1889年の完成から家族が増えるにつれ増築を繰り返した

フランク・ロイド・ライト邸の内部を見るためには、10:00~16:00まで30分ごとに開催されるツアーに参加します。所要60分。当日ミュージアムショップで申し込むことも可能ですが、土・日曜や夏場は混雑するのでネットで予約しておくと安心です。料金は大人17ドル。内部を自分のカメラで撮影したければ、Photo Passがセットになった入場券22ドルを購入しましょう。

当日は15分前までにミュージアムショップに行き、名前と予約番号を告げればOK。ツアー開始までの空いた時間でミュージアムショップを覗いてみましょう。ライトに関する書籍はもちろん、立体模型やマグカップ、Tシャツやアクセサリーなど、フランク・ロイド・ライトグッズが豊富に揃います。シカゴの中でもかなりセンスの良いお土産が揃っているので、建築ファンでなくても喜ばれそうです。

ライトの美しいデザインに感嘆!

ツアーの集合場所は中庭の大きなイチョウの木の下。10分前くらいになると続々と人が集まってきます。参加者の国籍はアメリカ以外にも、フランス、アルゼンチン、中国、ロシアと多彩。フランク・ロイド・ライトの建築が世界中の人々を魅了している証拠です。

敷地内ある大木。自然をなるべく残そうというライトのこだわりが反映されている
敷地内ある大木。自然をなるべく残そうというライトのこだわりが反映されている

ちなみにこのイチョウ、雌木なのでギンナンの季節になるとあの香りに包まれるのだそうです。前述したようにカメラが持ち込めるのはPhotoPass購入者のみ。またリュックサックやショルダーバッグなどを持っている人はロッカーに預ける必要があります。

フランク・ロイド・ライト邸は1889年、キャサリン・トビンとの結婚を機に設計したもの。ライトは1909年まで、20年の間この地に住み、数々の設計を手がけました。深いひさしや低い屋根の水平を強調することによって、アメリカの大平原を彷彿とさせるロイドの代表的な建築様式、プレーリースタイル(prairie style)はこの時期に確立されました。

ライト邸に入りまず感じるのは、木の温もりと外光がほどよく入る得も言われぬ心地よさ。

スタジオのエントランス部分。家具などもライトの設計
スタジオのエントランス部分。家具などもライトの設計

ライトは、日本の文化に興味を持ち、ダイニングルームの天井のすかし彫りなどにふすまのようなデザインを取り入れています。増築を重ねた家は意外なほどこぢんまりとしていますが、1895年に増築された子供たちのためのプレイルームは広々。ライトの子供達に対する愛情を感じます。

ドーム型のデザインが特徴的なプレイルーム。ここは外光がたっぷり入る
ドーム型のデザインが特徴的なプレイルーム。ここは外光がたっぷり入る

ライトが数々の傑作を生んだ製図室は1898年に完成しました。事務所と住宅は切り離され、専用の玄関もあります。八角形の美しい建物は天井から光が差し込み美しい空間となっています。

ライトが150近くもの図面を引いた設計室
ライトが150近くもの図面を引いた設計室

フランク・ロイド・ライトの思想が反映されたフランク・ロイド・ライト邸。これまで建築にそこまで興味がなかったという人でも、この完璧な美しさの前に感銘を受けることでしょう。ツアーは英語になりますが、日本語の解説シートがもらえるので、英語が苦手な方でも安心です。

フランク・ロイド・ライト邸 & スタジオ
Frank Lloyd Wright Home & Studio
住所:951 Chicago Ave. Oak Park
電話:312-994-4000
料金:17ドル
URL:http://flwright.org/

オークパークに点在するフランク・ロイド・ライト建築を巡る

オークパークにはフランク・ロイド・ライト設計の建築が点在しています。ぜひ周辺の散策も楽しんでみましょう。内部は公開されていませんが、フランク・ロイド・ライトがこの地に残した建築を知ることができます。

アーサー・B・ヒュートレイ邸

アーサー・B・ヒュートレイ邸

高さを抑えた建物と落ち着いたレンガの壁、傾斜の緩やかな屋根が周囲の景観に溶け込んだ、初期のプレーリースタイルの代表作。特徴的なのは玄関のアーチ。絶妙に配された塀がプライバシーを確保するよう配慮されています。

アーサー・B・ヒュートレイ邸
住所:318 N.Forest Ave.
竣工:1902年

フランシス・J・ウーレイ邸

フランシス・J・ウーレイ邸

初期のライトが手がけた建築。ライトの残した作品の中では異色の存在で、急勾配の屋根と円柱のホールが目を引きます。

フランシス・J・ウーレイ邸
住所:1030 W. Superior St.
竣工:1893年

ロバート・P・パーカー邸とトーマス・H・ゲイル邸

外観は非常によく似た、色違いの2つの建物。ライト初期の作品で、急勾配の屋根と八角形の棟が特徴的。

ロバート・P・パーカー邸
ロバート・P・パーカー邸
トーマス・H・ゲイル邸
トーマス・H・ゲイル邸
ロバート・P・パーカー邸とトーマス・H・ゲイル邸
住所:1019 & 1027 Chicago Ave.
竣工:1892年

ウィリアム・H & フランシス・コープランド邸

ウィリアム・H & フランシス・コープランド邸

1875年に建てた家を1909年にリノベーション。ポーチを増築し玄関の位置を移動しました。残念ながら内部を見ることはできませんが、家具などもライト自身が設計した意欲作と言われています。

ウィリアム・H & フランシス・コープランド邸
住所:400N. Forest Ave.
竣工:1909年

オークパークゆかりの著名人といえば、もうひとり、アーネスト・ヘミングウェイがいます。1899年、オークパークで生まれたヘミングウェイは幼少期をこの地で過ごしました。現在もヘミングウェイが生まれた家と少年時代を過ごした家が残っています。

ヘミングウェイが幼少時代を過ごした家
ヘミングウェイが幼少時代を過ごした家

残念ながら、幼少時代を過ごした家は一般公開されておりませんが、ヘミングウェイの生家は内部を見ることができます。入場料はアーネスト・ヘミングウェイ博物館と共通。ヘミングウェイの幼少期にスポットを当てた唯一の博物館で、少年時代の日記なども展示されています。

アーネスト・ヘミングウェイ博物館
Ernest Hemingway Museum
住所:200N. Oak Park Ave
電話:708-848-222
時間:水曜~金曜・日曜13:00~17:00、土曜10:00~17:00
入場料:15ドル
URL:http://www.ehfop.org/

オークパークの行き方

オークパークが位置するのはシカゴのダウンタウンから約20km。公共交通機関ならばCTAトレインのグリーンラインでHarlem/Lake駅下車。駅からフランク・ロイド・ライト邸までは徒歩で約15分。CTAは近年治安は良くなってきたものの、暗くなってからは乗らないこと。また土・日曜も乗車する人が少ないので、なるべく1人での行動はやめましょう。
タクシーならばユニオンステーションからチップ込みで55~60ドル。見どころだけなら半日で回れますが、フランク・ロイド・ライト邸以外にも美しい建物が点在するオークパーク。ぜひ1日のんびり散策を楽しんでみてはいかがでしょうか?

空席・予約