悔しさから生まれた世界一へのロードマップ

 ジャケットの上からでもハッキリと分かる隆起した筋肉と、やる気にあふれた表情。昨年の夏に開催されたリオデジャネイロ大会の悔しさと、2020年の東京大会へ懸ける熱い思いが、ひしひしと伝わってくる。
 インタビューの席で、最初に感じた印象を伝えると、うなずくように笑顔を浮かべ、こう言った。
「春から社会人ですから、やっぱり意気込みが違っていますね。それに、リオデジャネイロ大会の後から、すごく良い練習ができていますから、それが体の見た目に出ているのだと思います」

 瀬戸大也選手、22歳。3月に早稲田大学を卒業し、4月から社会人スイマーとして3年後の東京大会を目指す彼のモットーは「挑戦」だ。
「挑戦は僕にとって世界のトップを目指すための座右の銘と言える言葉です。勝つために必要なことなら、新しいことにも果敢に挑み続けて、必ず世界一になりたいと思っています」
 昨夏のリオデジャネイロ大会水泳男子400m個人メドレーで銅メダルを獲得した彼は、誰もが称える好成績を残したにもかかわらず、決して満足することはなかった。理由は明白。金メダルだけを目指していたからだ。
 同種目で金メダルに輝いた同い年のライバル、萩野公介選手を心から祝福した後は、すぐに気持ちを切り替え、2020年までのロードマップの作成に取り組んだ。
 こうして決めた4年計画で、瀬戸選手は2017年のテーマを「自分を見つめ直し、自分を知るための期間」とすることと定めた。この1年間で、ベースとなる部分を確立しようということである。
 その後の2018、2019年はベースが固まったうえでの応用期間。そこでは、個人メドレー以外の単種目のレースにも積極的に出てタイムを伸ばしていく。そして、2020年は集大成。3年かけて整え上げた自分のペースを貫き、東京大会で頂点に立つことが最終目標だ。
 幼少時から図抜けた脚力を持っていた瀬戸選手は、実は個人メドレーだけではなく、バタフライでも世界大会のメダリストになる実力を持っており、2014年パンパシフィック選手権では200mバタフライで金メダルを獲得した。さらに、同年の仁川アジア大会で金メダルに輝いた際の1分54秒08は、その年の世界ランク1位タイムだった。
「僕の考え方の根底には、弱点克服の大切さをわきまえているのは当然のことであり、長所を伸ばしていくことに力を入れたいという気持ちがあります。2020年に向けて、得意な部分をもっと伸ばしていきたいです」
 この言葉から察するに、2018、2019年はバタフライで世界の表彰台を狙って行こうという思いがあるようだ。

Back Number