宮崎県 木城町 Kijo, Miyazaki ANA FURUSATO Payment of taxes

「木城町で、ものづくりがしたい」 帰郷した夫婦の丁寧な家具作り

のどかな山あいの町、木城町。この地に4年前からオープンしたのが、小さな家具工房だ。長く使えるものを、妥協せずに手作りで仕上げたい。うららかな日差しのもとで、汗を流す夫婦のもとを訪ねた。
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BIKITA Wood Life 橋本 聖志さん

ふるさとは宮崎と北海道夫婦二人三脚で作るこだわりの家具たち

「僕は木城町出身なのですが、北海道で家具作りの修行をしていました。家具作りの現場は分業制が多いなか、修行先では家具作りの最初から最後までを一人が担当していました。本当に勉強になりました。普通は専門学校を出て技術を得るものですが、全く家具作りの経験のない僕を、師匠は『気持ちさえあれば』と受け入れてくれたんです」

こう語るのは、木城町で家具工房、BIKITA Wood Life を夫婦で営む橋本聖志さん。奥さんの水姫さんとは、北海道の家具工房で共に修行していた。4年前に工房を開業、その翌年に結婚した。

「実は私の両親が九州の方の出身ということもあって、九州には縁があるのだな、と思いました。ただ、越して来たのが7月で、想像以上の暑さと湿度で最初は体が大変でした(笑)」(水姫さん)

「最初から宮崎に戻るつもりでいました。そのためにも、北海道で精一杯腕を磨こうという気持ちがあったんです」(聖志さん)

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工房を構えたのは、町の中心地からもほど近い山の麓の工房兼ショールーム。山々と田園を望む、のどかな場所だ。夫婦二人三脚で毎日汗を流す。

「家具の構想や製作は僕が行っています。妻には仕上げをしてもらったり、小物類を中心に作ってもらっているんです。デザインは、妻の意見も参考にしながら。やっぱり、迷うこともありますからね。意見を聞きながら…というよりケンカをしながらかもしれませんけど」(聖志さん)

といいながらも笑う橋本夫妻は、やっぱり仲がよさそうだ。

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BIKITA Wood Life 橋本 水姫さん

匠の技術をつぎ込んだ、素朴ながら使いやすい一生モノ

ショールームには、大小の使いやすそうな家具がズラリと並ぶ。繊細で緻密な木目が美しいヤマザクラや、ナチュラルな風合いで木目の美しいセンダンといった身近な広葉樹を中心に使う。

「九州の風土に合った木を使うのが一番いいのかなって」と聖志さん。たとえばダイニングテーブルひとつ作るのに、完成まで10日ほど掛かるという。試作品のコーヒーテーブルの仕上げ工程を見せてもらった。

「こだわりは脚。バランスと空間を考えながら作っています」(聖志さん)

特に技術が必要なのは、天板と脚の組み方。吸い込み蟻桟という技法で、はめこんだ反り止めと天板が互いに引っ張り合い、吸い付く力を利用して、天板の反りを抑えている。金具の使用を最低限にしながら強度を保つ匠の技だ。

「金属のビスでもいいのですが、木同士なら気温や湿度による伸縮で無理がかかりにくいのです」

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手間に見合う価値がある。それはあらゆる工程にいえ、天板の美しい処理も、やすりを掛ける前にカンナで削り上げ、肉眼ではまったく凹凸が見えなくなるまでなめらかに仕上げる。

「オイルフィニッシュで仕上げるのですが、人体に害の少ないドイツ製の植物原料のものを使っています。常に使うものだから安心していただきたいし、お客様自身でのお手入れも大切ですから」(水姫さん)

製作に時間はかかるが、家具を長く使ってもらうために必要な努力は惜しまない。

「ふるさと納税の返礼品として、いろんな方に使っていただけるのは嬉しいですね。木も人も出会いですから、その出会いに感謝しながら、使われる方の生活の一部となるようなものつくりを続けていきたいです」(聖志さん)

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木城町役場財務課 森 秀仁さん

子育てと福祉の小さな町に、根を張って暮らしてほしい

「実は橋本さんご夫妻のようにUターンされる例はあまり多くないんです。人口5000人程度の小さな町なんですが、大変住みやすいんですよ。子育てと福祉に力を入れていて、宮崎市までクルマで40分とアクセスもいい」

こう語るのが、木城町役場財務課の森 秀仁さん。町内には日本全国の絵本を集め、プロのブックアドバイザーがぴったりの1冊をレコメンドしてくれる木城えほんの郷もある。ほかの自治体にはない、木城町ならではの文化的な魅力だ。

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「そういったことを知っていただきたくて、ふるさと納税に力を入れるようになりました。本格的に始めてまだ1年半なのですが、BIKITAさんの家具や豚肉など、人気を博していますよ。ただ自治体も生産者さんも、日本全国に知っていただくための知恵が出にくいのが現状です。ANAのふるさと納税を通して、ぜひみなさんに知っていただきたいですね」