宮崎県 都農町 Tsuno,Miyazaki ANA FURUSATO Payment of taxes

太陽と努力の味がする都農町のワインと町作り

ふるさと納税の返礼品にもなっている都農町のワインは、明るい味わいだ。華やかさとは裏腹に、誕生への道筋は苦難があった。ぶどうへの思いは、やがて地元への思いへとつながっていく。
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醸造家 赤尾 誠二

華やかな太陽のワインは、努力に満ちた味わいだった

都農町で造ったワイン「キャンベル・アーリー ロゼ 2015」は、香りから華やかだ。口に含めばライチのような芳醇さと、柑橘の雰囲気もある。えぐみや渋みは皆無。優しい甘さと心地良い爽快感は、まるで太陽の印象だ。宮崎の日の光を一身に浴びた元気なぶどうは、すくすくと育ったに違いない…いやいや、とんでもない。ワイナリーの醸造家、赤尾誠二さんによると、「宮崎は台風が来て雨が多いうえ、火山灰土壌で水はけがよく、本当は向いていないんです」というのだ。

「戦後まもなく、永友百二さんという方が転換作物としてぶどうに注目したんです。ぶどうは秋のイメージですが、宮崎なら夏に収穫できるメリットがある。とはいえ本当に大きなチャレンジでした。防風林や品種の見極め、剪定方法など、独自に技術を開発していったんです」(同)

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やがて町中の協力を取り付け、試行錯誤のワイン造りが始まる

都農町でワイン造りが始まったのは、平成元年。収穫したぶどうの加工商品を作るという発想があり、官民共同でのプロジェクトが動きだした。

「食用ぶどうで造ったワインを誰が飲むのかという意見もありましたが、役場に勤めていた永友さんのお孫さんを中心に生産者や町民を説得して、ワイナリーを作ることになりました。大きな志を掲げたんです」(赤尾さん)

赤尾さんも当時からワイン造りに関わってきたひとり。技術もなく、土壌と気候を考えながら、試行錯誤の日々だった。

「当時はカリフォルニアワインの人気が高まっていたころで、そのノウハウを取り入れて醸造がスタートします。品種や出来にあった技術のカードを選んで、当てはめるのが腕の見せどころ。醸造技術については、世界レベルだと思っています」(同)

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取り組みから10年。世界に認められるワインが生まれた

2002年、「キャンベル・アーリー ロゼ」は英国の「最もエキサイティングなワイン100選」に選ばれた。都農町のチャレンジが実った瞬間だ。とはいえ、「土地との親和性がワインの存在意義」と赤尾さん。

「地元の食のためにワインを造っているんです。でも、ふるさと納税の返礼品としてなど、反応をいただけるのはうれしいですよ」(赤尾さん)

生産者としての励みは、「おいしい」といってもらうことなのだから。

「今でも試行錯誤の日々です。ソーヴィニヨン・ブランは5年かかりましたし、シラーは15年。冷涼な地域を好むピノ・ノワールも、同業者からやめておけといわれながら、過去3回リリースしました。ハンデは乗り越えられるんです」(同)

うずたかく積み上げられたワイン樽は、出荷を待っている。しかしやりたいことはまだたくさん。「プレミアムな本格的な赤に挑戦したい」と赤尾さん。前向きな姿勢も、都農ワインの魅力のひとつかもしれない。

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都農町総合政策課 山本 貴士さん 総合政策課課長 河野 博文さん

都農町はぶどう、トマトに至っては有数の産地。

そもそも、宮崎=ワインと思い浮かべる人がどれほどいるだろうか。マンゴーや宮崎牛ばかりではない。都農町はぶどう、トマトに至っては有数の産地だ。知られざる土地の魅力を日本中に発信することも、ふるさと納税の役割。都農ワインなど地元の名産を返礼品に、本格的に取り組み始めたのは2015年のことだとか。

「事務的には大変になりましたが、地域が活性化するなら…という気持ちで、しっかり取り組むことにしました」

都農町総合政策課の山本貴士さんの談。課内の判断で参画できたことも大きいが、そこは地域を愛する気持ちが後押しした。

「新たに生産者の意欲も出てきたんです。反応が目に見えて、経済も活性化して、自分たちの地元をPRしようという気運が高まっています」(同)

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都農町は人もよければ土地もいい。ぜひ、興味を持ってほしい

「ボランティアや課外授業への協力など、地元貢献の意識が強い土地柄です」(総合政策課課長・河野博文さん)

「山に海にと、場所もいいんです。プロサーファーには知られた波で、移住された方もいますよ」(山本さん)

ふるさと納税への取り組みから、地元の知られざる加工品が広まり、興味を持ってくれる人が増えて、交流人口、移住者を増やすことが、都農町の願いだ。

「自慢できる土地や食べ物があるのに、情報発信力がないと考えています。そこで、ANAとぜひ一緒にやりたいと考えました。イベントに寄附を募る『ガバメントクラウドファンディング』でPK大会の催しも企画しています」(同)

当面のゴールは町制施行100周年を迎える2020年。その節目を迎えるにあたり、地方創生の大きな一歩を踏み出したのだ。