約4.5kmを70分程かけてゆっくりと進んでいく「どんこ舟」。舟に乗り込むとまず目に入るのは川面に映る柳並木。既に情緒ある風景に、これからどんな景色が見られるか期待が膨らむ。コースの途中には水上売店が2カ所あり、船頭が舟を横につけてくれて、飲み物やおやつを買うこともできる。
途中、船頭もしゃがまなければ進めないほど低い橋の下をくぐるなど、アトラクション感覚も味わえる。舟は進むごとに楽しさを増していき、気付けば乗り合わせた他のお客さんと笑顔で会話するまでに和んでいた。船旅を盛り上げる船頭は現在約50人ほどで、20代から80代まで年代やキャリアも幅広く、船上でのガイドの内容も人それぞれ。船頭の数だけ船旅があるのだ。
終点の沖端が近づき、70分の楽しい舟の旅も終わりを迎える。竿が水を掻く心地よい音もここで聞き納めだ。柳川の川下りは、情緒ある町並みや季節の花々といった景色だけではない。行き交う舟や乗り合わせたお客さん、船頭など、触れ合いに満ちた世界にこそその魅力があるだろう。舟を降りたとき、これほどまでに清々しい気持ちになろうとは、乗り込む前には想像もしていなかった。
夕刻になると、どこからともなく移動式の屋台が次々と現れ、おもむろに開店の準備が始まる。気付けば昼間は何もなかったはずの道に、まるで初めからそこにあったかのように、幾つもの屋台が軒を連ねているのだ。福岡が夜の顔に変わる瞬間である。
ひとつ暖簾をくぐれば、絵に描いたような空間が待っている。狭いテーブルに出される自慢の料理は、どれも個性の強いものばかり。屋台をはしごすれば、福岡名物のほとんどは制覇できてしまうほど、そのバリエーションは豊かだ。店ごとに雰囲気は違えど、どの屋台も人懐っこい温かさは持ち合わせている。そのため箸も話もなかなか止まらないのだ。
福岡の夜は長い。屋台によって営業時間はまちまちだが、気付けばすっかり夜も更けてしまう。近隣への配慮から、近年では屋台数も限られているというが、「福岡の文化」として屋台を残そうとする動きもある。いつか貴重な文化となる日が訪れるかもしれない。しかし今は純粋に、その雰囲気を存分に味わいたいものだ。
野鳥の観測も楽しめる日本有数のカルスト台地「平尾台」
福岡のハワイと称される80万本ものコスモスが咲く「能古島」
学問の神「菅原道真公」を祀る「太宰府天満宮」
古い街並みと新しい都市機能が融合した「門司港レトロ」








