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    掲載日:2016.02.10

    自然に抱かれる露天風呂に銭湯、そしてオペラの舞台まで~ローマの温泉物語

    温泉が恋しい季節ですね。日本の秘湯もいいですが、海外にも魅力的な温泉地が少なくありません。中でも有名なのが日本と同じ火山国、イタリアのTerme(テルメ)。人気コミックから映画化された「テルマエ・ロマエ」にも登場するように、帝国時代から現在に至るまで、ローマっ子は日本人に負けず劣らぬ大の温泉好き。ローマ近郊には無料で入れる露天温泉や銭湯感覚の庶民的な温泉施設がたくさんあります。 それでは、ローマ帝国時代から庶民に愛され続けてきたリーズナブルな温泉地を訪ねてみましょう。
    ANAオリジナル

    トスカーナ州で人気! 黄龍を思わせる棚田状の硫黄温泉

    サトゥルニアの丘陵を蛇行しながら流れていくムリーノの滝と川、知る人ぞ知る温泉スポットです Photo by Shigeko Vogel
    サトゥルニアの丘陵を蛇行しながら流れていくムリーノの滝と川、知る人ぞ知る温泉スポットです
    Photo by Shigeko Vogel

    まずは、このところ海外の旅行者にも知れ渡ってきたイタリア中部、サトゥルニア温泉。
    ローマの中心地から車で約2時間。ムリーノの滝(カスカテ・デル・ムリーノ Cascate del Mulino)は、緑豊かなトスカーナ州の丘陵を蛇行しながら流れ落ちる天然温泉の滝です。
    オールシーズン24時間無料で入れるとあって、地元の人はもちろん、若いカップルやキャンプをしながら欧州を巡る家族連れにも人気。幅1メートル前後の上流から2本の滝となって石灰質の棚田へと流れ落ちていく、その景観は中国の黄龍を思わせる美しさ。
    硫黄分をたっぷり含んだ湯は循環器系や皮膚病にも効果があるといわれ、水温は外気や季節、混み具合にもよっても変わりますが、上流で平均37度。ぬるめの湯がお好みの方にちょうどいい湯加減です。
    川底の泥には美白効果や若返り効果から美容サロンの製品にもなっています。日焼け止めを兼ねた泥パックをしながら、のんびりと湯に浸かれるなんて最高の贅沢。
    午前中は比較的空いていますが、正午を過ぎると川沿いはパラソルやシートを広げ、ピクニックがてら湯を楽しむイタリア人でいっぱいになります。近くに駐車場はありますが、天然の露天温泉なので更衣室やロッカーはありません。水着はあらかじめ身に着け、帰りは車や草陰で着替えることになるので、バスローブや大きいバスタオルなどがあると便利。
    ムリーノの滝から徒歩10分ほどにはスパリゾートもあり、長期滞在で本格的に温泉治療や温泉美容もできます。

    Cascate del Mulino

    レンタカー利用が便利。ローマから高速A12号線とフリーウェイで約2時間。鉄道の場合は、ローマ空港からローマ・トラステレベで乗り換え、グローセット駅まで約2時間+バスでサンタ・カタローナまで約1時間30分。その後、徒歩。

    客船の寄港地チヴィタベッキアにあるエトルリア時代からの銭湯

    ときの教皇の命を受け、ミケランジェロが設計したマスキオ(Maschio)の塔。この塔を含め、ミケランジェロ要塞と呼ばれています Photo by Trevor Benbrook/123rf
    ときの教皇の命を受け、ミケランジェロが設計したマスキオ(Maschio)の塔。この塔を含め、ミケランジェロ要塞と呼ばれています
    Photo by Trevor Benbrook/123rf

    ローマの中心地から西北西へ約59キロ、高速道路で約1時間の港町チヴィタベッキア。
    なんとローマ帝国時代よりさらに前、エトルニア時代からある古い町です。かのミケランジェロが設計した頑強な要塞が巡る港は、かつてイタリアと地中海各地をつなぐ重要な港であり、現在は豪華客船の寄港地として利用されています。
    1615年、伊達政宗の命を受け、支倉常長が慶長遣欧使節団として訪れた際に利用した港でもあり、港沿いの公園には、支倉常長公の銅像があったりして、実は日本との縁も深い町。宮城県石巻市とは姉妹都市関係にあります。

    水着着用で入る野外銭湯、フィコンチェーラは庶民の社交場です。水面は湯の花で真っ白! Photo by Francoise Vogel
    水着着用で入る野外銭湯、フィコンチェーラは庶民の社交場です。水面は湯の花で真っ白!
    Photo by Francoise Vogel
    フィコンチェーラにある温泉の蒸気を吸引する塔。風邪や気管支炎、喘息治療にも使われます。 看板に「10分間以上、続けないこと」と書かれています Photo by Francoise Vogel
    フィコンチェーラにある温泉の蒸気を吸引する塔。風邪や気管支炎、喘息治療にも使われます。
    看板に「10分間以上、続けないこと」と書かれています
    Photo by Francoise Vogel

    そんなチヴィタベッキアにも古代ローマ時代の浴場跡テルメ・タオリーネ(Terme Taurine)がありますが、現在も地元の人々に親しまれているのは市営の温泉テルメ・デラ・フィコンチェーラ(Terme della Ficoncella)。“フィコンチェーラ”とは「いちじくの木がある場所」という意味で、町の中心から車で10分足らず、今もいちじくの木が立つ眺めのいい高台の公衆浴場です。
    ローマ帝国よりさらに古いエトルリア時代(紀元前8世紀から1世紀)から滾々と湧き出る湯で、かのシーザーもフランス遠征後、戦いの疲れを癒したといわれています。
    こちらも皮膚炎、打ち身や関節痛、気管支などの循環器系治療にいい硫黄泉で、風邪や気管支炎、喘息治療に蒸気を吸入する施設まであり、1時間近くかけて毎週通ってくるローマっ子もいる評判の温泉。入場料はわずか1.5ユーロ(1ユーロ=140円計算で約210円)。
    最近、改装できれいになった更衣室4つとトイレがあり、水着着用の混浴風呂ですが、日本と同様、湯船には体を洗ってから入るのが暗黙のルール。とはいえ、日本のように洗い場や温度調節のできるシャワーはなく、源泉からホースで引いた熱々の湯を浴びるという荒業です。
    サトゥルニア以上に硫黄臭が強く、源泉は60度ありますが、加水して40度程度にしてあります。屋外の湯船には、低い塀に囲まれて胸まで浸かれる高温風呂、広い足湯、低温風呂など5つの風呂があり、どこも湯の花がいっぱい。
    指先をつけるだけでしびれるほど熱い湯が張られた高温の湯船に真っ赤な顔でじっと浸かるおじさんや鍛え上げたボディの若い男女、一段下がった低温風呂には年配のカップルやご亭主の話に花を咲かせる主婦と、まるで日本の銭湯にいるよう。
    ドリンクやジェラート、スナック菓子などを売る小さな売店には、ジェラートをおねだりする子供たちの姿も……。
    かつて兵士の傷を癒した銭湯は、2500年以上を経た今も、チヴィタベッキア市民の憩いの場として利用され続けています。

    Terme della Ficoncella

    ローマから高速道路A12号線でCivitavecchia Nord(チヴィタベッキア北)で下りたら右折。最初の道を右折し、そのまま5分ほど走れば「Terme della Ficoncella」の小さな看板が出てくる。所要時間約1時間。
    ・入場料1.5ユーロ
    ・営業時間:月~日曜日 8:00~20:00(夏季は深夜まで営業)

    夏の夜は野外オペラの舞台になるローマ帝国時代のスーパー温泉

    コロッセオやフォロ・ロマーノからも徒歩で20~30分と歩けないこともないカラカラ浴場。 ローマに数ある浴場跡の中でも広大な敷地で有名です
    コロッセオやフォロ・ロマーノからも徒歩で20~30分と歩けないこともないカラカラ浴場。
    ローマに数ある浴場跡の中でも広大な敷地で有名です
    夏のオペラやコンサートの舞台になるカラカラ浴場。夜はムーディーにライトアップされ、ローマ時代にタイムスリップ! Photo by Shigeko Vogel
    夏のオペラやコンサートの舞台になるカラカラ浴場。夜はムーディーにライトアップされ、ローマ時代にタイムスリップ!
    Photo by Shigeko Vogel

    コミックや映画「テルマエ・ロマエ」にもあったようにローマ帝国には兵士の傷を癒す目的と民衆の娯楽を兼ねた公衆浴場があちこちに建設されました。
    中でも212年、第22代ローマ皇帝カラカラ(本名ルキウス・セプティミウス・バッシアヌス)がローマの南端に造らせたカラカラ浴場(Terme di Caracalla)は、古代ローマのテーマパークともいえる壮大なもの。長さ225メートル、幅185メートルの敷地内に数千もの浴槽が造られ、地下から石炭を燃やし、その熱気を送り出すハイポコースト(現代のセントラルヒーティングに近い方法)で大量の湯が張られました。サウナや冷浴、ジム、サロン、ライブラリーまである、まさに時代の最先端をいくスーパー温泉。日本にも古くは千人風呂などがありましたが、ローマ帝国のそれは1600人収容というスケールです。
    世界遺産のひとつでもあるカラカラ浴場遺跡は、夏には野外オペラの舞台としても知られています。美しく、神秘的にライトアップされた古代遺跡の浴場で、今年は「ラ・ポエーム」「トゥーランドット」、そして悲哀に満ちた日本人女性の生涯を描いた「蝶々夫人(マダマ・バタフライ Madama Butterfly)」が上演され、好評のうちに幕を閉じました。

    独創的な衣装とセットで地元情報誌などでも評価の高かったオペラ「蝶々夫人」。舞台には竹林も登場しました Photo by Shigeko Vogel
    独創的な衣装とセットで地元情報誌などでも評価の高かったオペラ「蝶々夫人」。舞台には竹林も登場しました
    Photo by Shigeko Vogel
    Teatro Dell’Opera Di Rome

    住所:Via delle Terme di Caracalla 52, Rome, Italy
    地下鉄B線 Circo Massimo駅で下車、徒歩約5分。
    オペラのチケットはインターネットで購入できます↓
    http://www.operaroma.it/en/box-office/buy-tickets/

    ライター:Shigeko Nishikawa

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