

「海の京都」はここにある! 絶景の宝庫、丹後半島
丹後半島の付け根にある宮津湾。天橋立は、その南北を橋のようにつなぐ細長い砂州です。天橋立駅のある南側は老舗旅館や食事処が並ぶ、観光の中心地。そして、対岸の北側には1300年という歴史を持つ元伊勢 籠(この)神社、真名井神社というパワースポットがあります。
そして、丹後半島を海岸沿いに北上するとたどり着くのが、舟屋群のある伊根。半島と島に囲まれた地形により、ここにしかない不思議な海の絶景が生まれました。
そんな「海の京都」へのアクセスは、京阪神の交通の要である福知山駅から始まります。
伊丹空港から約1時間、福知山駅で 「丹後あおまつ号」に乗車

天橋立の白砂青松(はくしゃせいしょう)を象徴する「松」がモチーフ
福知山駅へは、伊丹空港から高速バスで約1時間。ここから、京都丹後鉄道が毎日運行する「丹後あおまつ号」に乗り込みます。予約は不要、普通運賃で乗れる一両編成のかわいらしい観光列車です。

車内には、テーブル付きでゆったり座れるミニコンパーチメント席のほか、車窓からのパノラマが目の前に広がるカウンター席、ソファ席、ペア席があり、グループの人数を問わず思い思いに旅を楽しめる工夫がいっぱい。車内にはアテンダントがいて、沿線案内や車内販売のサービスをしてくれます。

ちなみに、今回乗ったのは「丹後あおまつ号」ですが、週末に運行する予約制の「丹後くろまつ号」もおすすめです。こちらは“走るダイニングルーム”というコンセプトで、車内で丹後の食の魅力を堪能できる車両なんです。福知山~天橋立間は、丹後地区に5店舗をかまえるパティスリーカフェ「カタシマ」がプロデュースする「スイーツコース」。今回は大雨の影響もあり乗車できず、残念でした…。機会があれば、京都丹後鉄道で一番の絶景スポットを走行する天橋立~西舞鶴間のランチコース、ほろ酔いコースもぜひ体験してみたいものです。

2019年3月までこちらのメニューで運行

さて、始発の福知山から終点の天橋立まで約1時間。車内販売の「丹鉄珈琲」や「丹鉄クッキー」でひと息つきながら、アテンドさんが話してくれる大江山の伝説に耳を傾け、車窓から見えるという元伊勢・皇大神社の白い鳥居に目を凝らし、時間はあっという間に過ぎていきます。


- 丹後くろまつ号・丹後あおまつ号(WILLER TRAINS京都丹後鉄道)
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電話番号:0772-25-2323(平日9:00~18:00)
URL:https://trains.willer.co.jp/matsu/
いよいよ天橋立に到着! まずは絶景「飛龍観」へ

天橋立駅に到着。ここから海側に少し歩けば、すぐに天橋立の入り口。その周りには由緒あるお寺を中心に店や旅館が並び、こぢんまりとはしているもの「さすが、京都」といえる街並みです。でもまずは、天橋立とは反対側、駅舎の裏手の山側へ。ここにそびえる標高130m文珠山の上にある「天橋立ビューランド」の山麓駅が見えてきます。ここからモノレールまたはリフトに乗って、山頂駅へ。

モノレールに乗って見上げると、絶壁ともいえる急勾配。隣にすれ違っていく、リフトで下ってくる人たちの顔がこわばる様子が伝わってきました。でも、彼らの眼下には海にかかる天橋立の絶景が広がっているはず!

7分ほど乗って山頂駅で降りると、すぐそこが展望台。ここから見えるのが、天橋立ひとつ目の絶景です! 股のぞきして見ると龍が天に舞い上がる姿に見え、それをたとえて「飛龍観」と呼ばれる景観。長い年月をかけて堆積した全長3.6kmにもおよぶ砂州が、宮津湾を横切って対岸まで続いています。『古事記』の、国を生んだイザナギ、イザナミ2柱の神が天から降り立ったのもここであるという、神話になるのも納得の神秘的な風景です。

展望台には記念撮影台や、上からの景色を楽しめる空中回廊、ウッドデッキやレストラン、遊園地もあります。前屈して股の間から天橋立を見るための「股のぞき台」もあるのですが、これについては発祥の地は別にあるということで、しばしおあずけです。

日本各地の高台では、素焼きの小さな盃や皿を投げる「かわらけ投げ」が行われています。ここ天橋立にもありました。300円で3枚。投げた「かわらけ」が輪をくぐると、厄払いになるのだとか。ちなみに、この輪のかたちは天橋立のほとりに立つ「智恵の輪」を模しているんです。のちほど、本物をご紹介しましょう。

- 天橋立ビューランド
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住所:京都府宮津市文珠437
電話番号:0772-22-1000
営業時間:9:00~17:00 季節により変動あり
定休日:なし
URL:http://www.viewland.jp
下りのモノレールからも、たっぷりと「飛龍観」が堪能できます。降りたらいよいよ、天橋立へと向かいます。
天橋立の中心は「智恵の文殊さん」 智恩寺にお参り

天橋立の駅前からの町並みは、もともと智恩寺の門前町。「三人寄れば文殊の智恵」で知られる文殊菩薩を本尊として「文殊さん」と親しまれているこのお寺に、まずはご挨拶しましょう。門をくぐると、境内には波の音が聞こえてきます。ふと横を見ると、そこには船着場が。これは船が通れるようにと海に堆積する砂をさらってつくられた、宮津湾に通じる水路なのですが、立派なお寺と海辺という見たことない組み合わせに非日常感が高まります。

本殿横に行列ができているので覗いてみると、御朱印を手書きでサラサラと書いてくれていました。智恵を授けてくれるという文殊さん。参拝にも思わず力が入ります。

- 智恩寺
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住所:京都府宮津市文珠466
電話番号:0772-22-2553
URL:http://www.monjudo-chionji.jp
船着場の横には「智恵の輪」と呼ばれる石灯籠があります。さきほどの天橋立ビューランドで「かわらけ投げ」の標的になっていた輪の、元のデザインがこちら。かつては海を渡る舟のための航海灯でしたが、今は絶好のインスタ映えスポット。しかも、この輪に3回頭をくぐらせると頭が良くなるそうです。全身でこの輪をくぐり抜けるのかと思ってしまいましたが、頭を輪に出し入れすればOKなのだそうです。

廻旋橋のたもとの老舗旅館 「対橋楼」で絶景ランチ
智恩寺の山門を出てすぐに、水路の上を天橋立へと渡す橋、小天橋があります。この橋の別名は「廻旋橋」。水路を船が通る際には、橋を90度回転して船を通す仕組みになっているのです。回旋中はもちろん通行止め。船の通行は不定期なため、出合えたらとてもラッキーです。

さて、この廻旋橋のたもとにあるのが老舗旅館「対橋楼」。与謝野晶子・鉄幹夫妻にゆかりの宿でもあるこの宿では、天橋立を背景にして、水路と橋の絶景を望むことができます。宿泊者以外も利用可能なお食事処でランチをいただきましょう。

いただくのは宮津湾を中心に獲れた新鮮な魚介を楽しめる「海鮮丼」と、地元特産のさざえを味よく醤油ベースで炊いた「丹後さざえ丼」。ご飯は丹後コシヒカリ、しょうゆ、卵も丹後のもの。丹後は「食の王国」として打ち出すプロジェクトが立ち上がるくらい、さまざまな食材に恵まれた土地なのです。


食後は、対橋楼の目の前にある「勘七茶屋」で「智恵の餅」をいただきました。その起源は300年以上前。門前で参詣者に餅をふるまうお婆さんの子どもたちが、皆とても賢かったそうです。お寺の許可を得て商いを始めた4軒の茶屋が、今も変わらず「智恵の餅」を販売しているとのこと。さらに、この4軒が通りの向かい側、水路沿いで始めた旅館のひとつが、対橋楼なのです。

- 対橋楼
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住所:京都府宮津市天の橋立回旋橋畔
電話番号:0772-22-2101
営業時間:11:00~14:00、土・日曜・祝日~14:30
定休日:不定休
URL:http://www.taikyourou.com
- 勘七茶屋
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住所:京都府宮津市文殊堂前
電話番号:0772-22-2105
営業時間:8:00~17:00
定休日:なし
URL:http://www.monjusou.com/group/chaya/
どこを見ても歴史があり、由緒があります。さすがは「海の京都」。
感嘆のため息をつきつつ、廻旋橋を渡り、ついに天橋立へと足を踏み入れました。