
地元民が愛してやまない、京都B級グルメランチ3軒
日本屈指の観光地ゆえ、有名なランチ処はどこに行っても混んでいたり観光客向けの価格や内容だったり。仕事で京都に訪れると、味・ボリューム・価格が満たされるちょうどいい塩梅の店が意外と見つからないことも。

そんなランチ難民のビジネスマンにおすすめしたいのが、地元の人たちが普段使いしているB級グルメの店。そこで、京都っ子がふとあの味を恋しがる、京都でしか食べられない超ローカルグルメを厳選しました。
京都生まれのロマン溢れるガツ飯! キッチンゴンの「ピネライス」

京都には美味しい洋食屋がたくさんありますが、そのなかでもひと際個性を放っているのが、キッチンゴンの「ピネライス」です。


キッチンゴンは、大阪万博と同い年1970年に創業した西陣にある老舗の洋食屋。最寄駅から少し離れた立地ながら、お昼時には地元の住民やサラリーマンたちで満席になる町に愛される洋食屋です。
「ピネライス」。この謎めいたネーミングを聞くかぎりでは、どんな料理なのか見当もつきません。さっそく注文してみました。



もうおわかりの通り、ピネライスとはチャーハンにロースカツを乗せてカレーをたっぷりかけた、男の好物をひと皿に盛り込んだロマン溢れるワンプレート料理だったのです!

「チャーハンとカレーって合うの?」なんて相性を疑いつつ食べてみると、ビックリ。カレーのスパイスとバッティングしないようにチャーハンは薄味に仕上げていて、薄いロースカツと一緒にほお張ると口の中で3つの味が不思議とまとまります。

カツもこの薄さがポイント。飽きずに最後までおいしくいただけ、なおかつ、ロースカツの味が出しゃばりすぎずいいバランスを保ってくれるのです。
なんといっても、大好物を一度に食べられる贅沢さが食いしん坊にはたまりません。
「このピネライスは先代のオーナー・権藤吉彦が考案したメニュー。そもそもピネとは、フランス語の俗語で“薄いカツ”を意味するフィネがピネに聞こえたことから、このネーミングになった。と聞いています」(店主・浅田冬武さん)
ピネライスは写真の定番のほか、ケチャップライス+トンカツ+デミソースの「赤ピネライス」800円や、ガーリックチャーハン+トンカツ+カレーがけの「ガーリックピネ」850円、チャーハン+トンカツ+カレーとデミソースの「ハーフピネ」900円もご用意。

ちなみに、ランチタイムに付いてくる自家製のコーンポタージュスープはキッチンゴンのバイプレーヤー的存在でこれまた絶品。テーブルに置かれた「サラダスパイス」を少々振っていただくのが、常連客のお決まりです。

ピネライスのほかにも、エビオムハヤシライスやビーフカツなど食欲そそるボリューム満点のメニューも充実。キッチンゴンへ行く際は、お腹をぺこぺこに空かせてから訪れてくださいね。京都駅にも支店があるので、ぜひそちらもご利用を!
- キッチンゴン 西陣本店
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住所:京都府京都市上京区下立売通大宮西入浮田町613
TEL:075-801-7563
営業時間:11:00~22:00(L.O.21:20)/水曜休
うどんでもラーメンでもない謎メニュー。やっこの「キーシマ」

次にご紹介するのは、ピネライスに続く京都発の謎メニュー「キーシマ」。京都の人に「キーシマって何?」と聞くと、「ああ、ヤッコノキーシマね」と暗号のような答えが返ってきます。

正しくは「やっこ」の「キーシマ」で、今年で89年目を迎える昭和5年創業の老舗蕎麦屋「やっこ」で誕生した料理のこと。しかし、メニューを見ても「キーシマ」は載っていません。一体どんな料理なのでしょうか?

運ばれてきたのは、ネギだけ添えられた具なしのかけ蕎麦のような至極シンプルな麺料理。キーシマの正体は、うどん出汁に中華麺を入れたもの。このありそうでなかった組み合わせが意外なほどにマッチして美味!

やっこのうどん出汁は、昆布とカツオがベースの少し甘めに仕上げた関西風。そこに、かん水控えめの細麺を合わせるのですが、この麺もキーシマに合うように調合した自家製麺というこだわりぶり。
「うどんで食べるよりももう少し甘く感じると思います」と、三代目店主の川畑法子さんが話すように、ダシの風味とほのかな甘みが口当たりよくスルスルと胃袋に入っていきます。飲み過ぎた翌朝の体にも染み入りそうな優しい味わい。
それにしてもうどん出汁×中華麺でなぜ「キーシマ」なのでしょうか?
「初代である私の祖父からの話だと、従業員の間で使う符丁があって、中華麺のことを黄色い麺だから“キー”、かけそばのことを“シマ”と言っていたそうなんです。それで黄色い麺のかけそばで“キーシマ”に。もともとは店のまかないで食べていた裏メニューだったので、その名残りで今もメニューに載せていません」(川畑さん)

まかないから派生した名物メニューは各地に数多ありますが、やっこのキーシマもそのひとつだったんですね。

定番のキーシマのほか、カレー風味のキーカレーも人気。シンプルながら一度食べるとふとまた食べたくなる、まるで京美人のような奥ゆかしい魅力を持つキーシマ。京都を訪れたら、ぜひ一度ご賞味あれ。
- やっこ
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住所:京都府京都市中京区夷川通室町東入ル冷泉町76
TEL:075-231-1522
営業時間:11:30~19:30、土曜 11:30~14:30/日曜・祝日休
老舗果物店が作るサンドイッチが悶絶級のうまさ! ヤオイソの「フルーツサンド」

喫茶文化が根付く京都では、喫茶店のおなじみメニューとして昔からフルーツサンドが親しまれています。そんな京都人が、「京都のフルーツサンドゆうたらココ!」と口を揃えるのが四条大宮にある「ヤオイソ」です。


明治2年創業の「ヤオイソ」は、おもに高級な贈答品用の果物を扱う老舗果物店。およそ45年前に、5代目店主が「旬の果物を美味しいときに提供したい」と、当時はまだ珍しかったフルーツサンドを販売。その後、評判がクチコミやテレビで広がり、今や1日に200~300個売れる店の看板商品になったのだそう(ヤオイソ本店はテイクアウトのみ)。

大きくカットされた果物の断面も見事な美しさで、この断面を見ているだけで食べる前からテンションが上がります。
フルーツサンドに使用する果物は、もちろん贈答用の極上品。パンの間には、イチゴ、キウイ、パイン、パパイヤ、メロンが交互に挟まれています。ひと口食べた瞬間、果汁がジュワッと溢れ出る果物のみずみずしさと、生クリームのハーモニーは悶絶モノ! そのおいしさに思わず唸ってしまいます。
フルーツサンドといえば甘ったるい印象がありますが、ヤオイソのフルーツサンドは果物の甘さが主役。生クリームはオリジナルの配合で甘さ控えめに仕立てているため、甘党じゃない人も美味しくいただけるのも魅力です。


定番のフルーツサンドのほかに、より具の大きいスペシャルフルーツサンドや、5月から夏頃にかけてはマンゴーサンドなど、季節のフルーツサンドも登場するので期間限定の商品も要チェックです。


4軒隣のフルーツパーラーヤオイソではイートインも可能。ただし、行列ができている時間帯もあるので、訪れる時は時間に余裕を持っていくのがおすすめです。
本店でお持ち帰りをして空港ロビーや機内で食べるのを楽しむビジネスマンもいるそうなので、時間のない方は真似してみてはいかがでしょうか。食べれば幸せ気分になれること、間違いなしです。
- ヤオイソ四条大宮店(本店)
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住所:京都市下京区四条大宮東入ル立中町488
TEL:075-841-0353
営業時間:9:00~18:00/無休(年末年始除く)
- ヤオイソフルーツパーラー
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住所:京都市下京区四条大宮東入ル立中町496
営業時間:9:30~17:00(L.O.16:45)/無休(年末年始除く)
個性際立つ京都のローカルグルメを堪能したら、夜ははしご酒も楽しめる京都屈指の立ち呑みパラダイスをご案内。気取ってなくてあたたかい、地元呑兵衛たちの日常におじゃまします。
京都屈指のディープスポット! 立ち呑み天国「折鶴会館」で行くべき3軒

京都で今夜は飲むぞ、となった時。市内最大の繁華街・四条三条エリアで古都の風情を感じながら酒に酔うのもいいですが、たまにはもっと砕けてディープなスポットで飲むのも一興。たとえば、地元の呑兵衛たちが集う庶民的な酒場に行くと、いつもと違う普段着感覚の京都の夜を愉しめたりも。
そんな京都の呑兵衛たちの日常に触れられるのが、京都に点在する○○会館という小さな飲食店が集合した横丁のような飲食店街。七条のリド飲食街、四条の四富会館、西院の折鶴会館が京都3大ディープスポットとして知られています。今回はそのうちのひとつ、西院にある「折鶴会館」のおすすめ3軒をご紹介。

阪急西院駅から歩いてすぐの場所にある折鶴会館。大通りを曲がると、そこだけぽっかり時代に取り残されたような古い佇まいの建物が目に飛び込んできます。


どの店もお客さんがたくさん入っていて、いい雰囲気。外観とは打って変わって、寂れた様子は一切ありません。さっそく中へ潜入してみました!
コスパよし!雰囲気よし! 立ち呑み屋「才」で安うまつまみとバクダンに酔う

まず最初にご紹介するのは、折鶴会館の顔ともいえる路面の立ち呑み屋「才」。入口の扉を開けると、外観からは想像できない長~いコの字(Jの字?)カウンターが広がっていて、一見でも入りやすい雰囲気。聞けば、もともとは狭かったが裏の店が空いて3軒分ぶち抜き拡張したのだとか。


折鶴会館で店を構えて18年目の「才」は、折鶴会館の中でも古いほうに数えられるそう。元々の昭和な趣きにさらに味わいが増した、すすけた壁や短冊札がいい感じです。


さて何を頼もうかと壁のメニューを見上げると、焼鳥は110円~、串揚げは90円~、刺身や焼き魚は200円台~あり、ほとんどのメニューが500円以内と激安!


最安値メニューの玉子サラダはなんと100円。胡椒がピリッと効いていて、ビールのつまみに最適です。

そして、常連客のほとんどが注文するマグロの中落ちは330円(!)と価格破壊が止まりません。しかも、どの料理もきちんと美味しく、マグロの中落ちなんてよそなら3倍くらいの値がつきそうな質のよさ。

思わずこちらが心配になる価格設定ですが、「つまみを安く出してぎょうさん飲んでもらえれば」と笑顔で話す、店主の斉藤さん。ぎょうさん飲んだところで、生ビール380円、日本酒(コップ)1杯380円と酒もこれまた安い。なんていいお店なのでしょう…。

酒といえば、「才」に来たらぜひ飲んでほしいのが「バクダン」。赤ワインと焼酎を混ぜて炭酸で割った京都発祥のお酒で、斉藤さんいわく「酔うためのお酒(笑)」とのこと。妙に美味しくてスイスイ飲めちゃうのが危険。酔ったあとは自己責任なので、飲み過ぎにはくれぐれも注意を。

- 才
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住所:京都府京都市右京区西院高山寺町15
TEL:075-316-0708
営業時間:17:00~24:00/日曜休
本格的なビストロ料理をつまみにワイガヤ飲み!「樫尾酒店」

続いて向かったのは、「才」のお隣(お向かい)にある立ち呑みバルの「樫尾酒店」。ノルウェー人と日本人のハーフのイケメン店主・樫尾英理究(エリック)さんの作る、本格的なビストロメニューが評判の一軒です。

フレンドリーなエリックさんとの絡みとおいしいつまみを目当てに、毎晩多くの客でにぎわう人気店。カウンターが埋まると、その後ろにもう1列立ち呑みの列ができることも珍しくありません。

最初に注文したのは、エリックさんが店で仕込んでいるという燻製の盛り合わせ。牛タン、鴨、ホタルイカ、チーズ、タコ、うずら卵とバリエーション豊か。スモークの薫香がしっかり感じられ、お酒にもぴったり。

2品目はホタルイカと菜の花のアヒージョ。定番メニューのアヒージョは、隠し味にバターを入れてコクをプラス。ガーリックの風味と相まって、ワインがすいすい進んでしまいます。

ホワイトボードのメニューには、リゾットやフリッタータ、ブレザオラ、テリーヌなどのバルメニューに混じって、あさりの酒蒸しや豚足、ポテサラといった居酒屋メニューもラインナップ。


「メニューにないモノでも、材料があれば何でも作りますよ」と、エリックさん。そんな客のワガママにも応えてくれるフランクさと懐の広さも、「樫尾酒店」が人気店である理由のひとつなのでしょう。
客層の中心は20~40代で、西院界隈に住む地元の人がほとんど。立ち呑みで隣との距離が近く、自然と会話が始まることもよくある光景だとか。
「西院は学生やサラリーマンが多い飲み屋街で、ある意味京都らしくない下町っぽいエリア。町も人も気取ってなくて、良心的でいい居酒屋も多いですよ」(エリックさん)

カウンターで飲みながら、店のスタッフや隣客からおすすめ料理を聞いたり、ご近所の酒場情報を収集したり。そんなコミュニケーションを楽しめるのもワイガヤ過ごせる立ち呑みの醍醐味。愉快に酔いたい夜は、「樫尾酒店」を訪れてみてはいかがでしょうか?
店主の料理と言葉が沁みる、メニューが豊富でコスパ大の「居酒屋こうちゃん」
折鶴会館の飲食店は、ほとんどが立ち呑み屋。さすがに2軒はしごすると、そろそろ座ってゆっくり飲みたくなるものです。そこで向かったのは、折鶴会館で貴重な座れる居酒屋「こうちゃん」。
建物右側の通りに面して入口があり、中の様子は全くわからず正直入りづらい雰囲気。勇気を出してえいっと扉を開けると、こぢんまりとしたカウンターのみの空間が現れます。

カウンターの壁には名刺が隙間なくビッシリと貼りつけられ、何とも言えぬ異様なムード。でも、数十分もすればこの小狭さと薄暗さが妙に落ち着いてくるのでご安心を。


「こうちゃん」はここで店を構えて19年目になる、折鶴会館古参の居酒屋。名物はホルモン料理で、珍しい牛の生ホルモンなどもいただけます。特筆すべきは、なんといってもメニューの豊富さと安さ! 串カツは80円からあり、天ぷらや唐揚げはほとんどの品が250円。300円以上のメニューを探し出すほうが大変なほど。「才」に続いてこちらが心配になるほどの、良心的すぎる価格設定です。


店主の山本こういちさんイチオシの牛ホルモン盛り合わせは、オーダーが入ってから捌いて提供するため、鮮度抜群。なかでもチレ肉は珍しく扱いづらい部位で、赤身肉の強い肉の旨みを堪能できて美味。丁寧に下処理されているので、臭みもなく美味しくいただけます。


だしまきひとつとっても、明太子、チーズ、おくら、納豆など7種類あり、〆ものもフォー、やきそば、うどん、ラーメン、ビーフンと何でもござれ。

これだけメニューが豊富な理由を聞くと、「いろいろ作ってみたら増えちゃった」と山本さん。職人気質で研究熱心な性格柄、おいしそうな料理を見つけると自分で作りたくなってしまうのだそう。そして、そのどれもがやっぱり、お値段以上においしいのです。

味にこだわり、健康に気遣う店主とのカウンター越しの会話も楽しく、「毎日飲んではるの? 週に2日は空けなアカンよ。そしたら次の日の酒がうんとおいしいから」と体を労わる言葉をかけてくれたりも。はい、肝に銘じます。
初めて訪れたのに、帰る頃には前から知っているような親しみが沸く「こうちゃん」。腰をおろしてしっぽり飲みたい夜におすすめです。
- こうちゃん
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住所:京都市右京区西院高山寺町15折鶴会館内
TEL:075-311-5725
営業時間:18:30~24:30/不定休
とにかく安くて、うまくて、個性的な店が多い折鶴会館。近所にあったらいいのに!と思うような、呑兵衛好みの居酒屋にきっと出合えますよ。

今回は、上品ではんなりとしたいわゆる表向きのイメージとは反対の、日常に根づく飾らない味と景色をお届け。今度京都を訪れる際は、こんな裏京都を覗いてみてはいかがでしょうか。
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記載の内容は2019年2月現在のもので、変更となることがあります。
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