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    掲載日:2016.01.28

    世界で活躍する福原 愛の、自分らしくあるための旅先での過ごし方

    3歳から卓球を始め、日本を代表する卓球選手として数々の実績を残してきた福原愛さん。2015年には自身最高のワールドランキング4位をマークし、大きな自信を持ってオリンピック・イヤーを迎えました。 オフシーズンのない卓球という競技を続ける中で、福原さんは、遠征、合宿と日本のみならず1年中世界を飛び回っています。常に集中力を求められる場面が多いと思いますが、練習、試合後のオフタイムはどのように過ごしているのでしょうか?日本を代表するトップアスリートの海外遠征先での出来事や、ほかで語られることのない珍しいプライベート旅行のお話を伺いました。
    ANAオリジナル
    福原愛さん

    自分らしさを保つための、海外でのリフレッシュ法とは?

    ―― 遠征や合宿などで世界中を駆け巡っていらっしゃると思いますが、だいたい年間どのぐらいご自宅を離れているんですか?

    福原愛さん(以下敬称略):1年の半分以上は遠征で日本にいません。日本にいても合宿所にいるという状況ですね。月にもよりますが、平均月2回はワールドツアーがあります。移動日もあわせると1回だいたい1週間。過去に5週連続なんてこともあって、そうなると例えばヨーロッパを5週間行きっぱなしです。

    ―― すごいですね!遠征先ではどのようなスケジュールなんですか?ちょっと外に散歩…なんてこともあるのですか?

    福原:オフタイムは自己管理なので、基本的には自由ですよ。でも予選が始まる前しか本会場で練習できないので、私の場合は、到着してまずは1日ぐらい本会場で練習して、そこからはもう練習場とホテルの行き来のみ。外出するとしたら、ちょっとレストランに食事に行くぐらいですが、それもほとんどしませんね。

    ―― 海外に来ているとか、旅しているという認識はあまりないのでしょうか?

    福原:12歳でナショナルチームに入って、そこからワールドツアーなど経験させていただいているんですが、14~15歳ぐらいのころには、もうどこにいても変わらないなって思うようになってしまいました。

    ―― そんな中で驚いたことや感動した体験はありますか?

    福原:最近になってから意識し始めたのですが、すべての試合が終わって、もし少しでも時間があったら、世界遺産に立ち寄りたいと思うようになりました。やっぱり行ったからには、何か見たほうが、その土地の歴史や文化も学べるので。
    昨年、チェコに行ったのですが、すぐ近くに世界遺産があると聞いて。大会期間中、バスで毎日通っていた場所に世界遺産がありました。ほかの選手たちもある日「ここ世界遺産らしいよ!」なんて言って驚いていました。世界遺産がある街で、国際大会が行われるのは嬉しいですね。そのときも遠征が続いたので、次のオーストリアへ移動する前の最終日に、少し街を回ってみました。

    ―― どのように感じましたか?

    福原:ああ、世界遺産なんだぁ~って!やっぱり歴史がある街なんですよね。過去にはフランスのアミアンの大聖堂や、ロシアの赤の広場にも立ち寄れたことがあります。ヨーロッパでは世界遺産がすごく身近な存在ですよね。こんなにいろんなところに行けて、いろんな世界遺産を見ることができて……もちろん試合で訪れるのですが(笑)。
    昔は若かったので世界遺産のありがたみとかわかりませんでしたし、世界遺産を見に行くより、ピザとかアイスクリームを食べたい!なんて思っていました。でも、いまは時間が少しでもあれば世界遺産をひと目でも見てみたい……っていう気持ちになっています。料理もその場所にしかないものを食べてみたいと思うようになりました。

    ―― その土地の食を楽しみたいという感じですね?

    福原:そうですね。先日ポルトガルに行ったんですが、地元の海鮮料理がすごくおいしかったです!

    ―― そういったお店はどのようにして見つけるんですか?

    福原:選手同士の情報交換です。卓球は中国人が多く、中国からの帰化選手、中国をルーツとした選手が世界中にいるので、中国語ができると各国の選手から情報が得られるんです。私はあまりフットワークが軽いほうではないので、そういう積極的な選手からおすすめを聞いて、じゃあ最終日にちょっと行ってみようかなという感じです。どちらかというとお部屋にいたいタイプです。でもしっかりリフレッシュタイムも取りたいほうなので、日本人選手の中では外出するほうかもしれません。ちょっと散歩に出たり、近くのスーパーに行ってみたりはしますよ。

    ―― スーパーですか。スーパーで何か買うのですか?

    福原:私、結構部屋で料理を作ったりするんです。キッチンはないんですが……。

    ―― あ、お料理好きなんですよね。でもキッチンがなくてどんな料理を作るんですか!?

    福原:普通のビジネスホテルみたいなところに泊まっているので、ヒーターが付いている小さな電気調理器を持っていくんです。日本から昆布だしなどを持っていって、スーパーで買った素材で親子丼を作ったり……。

    ―― えっ!親子丼ですか!?

    福原:ええ。あとは試合が続くときは炊飯器も持っていくのですが、この間はスウェーデンで。スウェーデンはサーモンが有名ですよね?

    ―― そうですね。

    福原:で、サーモンで炊き込みごはん!

    ―― すごいですね!想像していたレベルを軽く超えていました。

    福原:お弁当箱も持っていって、お弁当も作りますよ。部屋でもくもくと料理しています。これも私のリフレッシュ法のひとつ。そういった自分の時間がないとだめですね。

    簡易調理器で作った親子丼(写真提供/福原愛)
    簡易調理器で作った親子丼(写真提供/福原愛)
    サーモンで炊き込みごはんも!(写真提供/福原愛)
    サーモンで炊き込みごはんも!(写真提供/福原愛)
    福原愛さん

    貴重なプライベート旅行ではパニック寸前に!?

    ―― プライベート旅行は全然ないのですか?

    福原:プライベート旅行って……ラケットを持たない旅行っていうことですよね?

    ―― そ、そうですね。

    福原:ロンドン・オリンピックが終わったあとに、当時痛めていた右肘の手術をしたのですが、その休養期間中に銀メダル獲得のご褒美ということで、スタッフや家族と海外旅行に行ったんです。行先はバリ島!それは本当に初めてのプライベート旅行でしたね。

    ―― どんな感じでしたか?

    福原:まずパッキングで戸惑いました。普段でしたら持っていくべきものがすべて頭の中にあるので、やる気になればパッキングは15分で終わるんです。でもあのときは「何を持っていっていいかわからない!」ってパニック状態になりました。「ユニフォーム…いらない。シューズ…いらない。ちょっと待って、もしかしてラケットもいらないの!?持っていくもの、何もないじゃない!」って(笑)。とりあえず、自分のものを使いたいのでシャンプーとかタオルとかだけで。あとは、Tシャツと水着と、本を入れたかな? とにかくスーツケースがスカスカでした。

    ―― 現地ではどうでしたか?いわゆるリゾートホテルに泊まったんですよね?

    福原:そうですね。一応、プールサイドのパラソルの下で本を読んで……あとは寝ていました。バリまで行って(笑)。なんというか、時間を持て余してしまった部分もあります。普段は基本的に試合の時間にあわせて行動します。でもバリでは、行動を起こすための逆算する基準時間がなくて、何をしたらいいかわからなくって。でもダイビングもしましたよ。泳ぐのがすごく好きなので。本当にきれいでした。海の中で息ができるってすごいですよね。パラセーリングもしました。

    ―― バリ島は日本ともヨーロッパとも違う、独特の文化がありますが、何か印象に残っていることはありますか?

    福原:海外遠征ですとホテルのビュッフェがほとんどですが、バリではほとんど外食でした。お料理がバナナの葉の上にきれいに乗せられていたりして驚きました。ビュッフェとはこんなに違うんだって!(笑)とてもいい雰囲気でした。

    福原愛さん

    1年のほとんどを海外で過ごす福原さんが夢見る、いつか行きたい場所

    ―― 今後行ってみたい場所はありますか?海外でも国内でもいいのですが。

    福原:国内のほうが多いかもしれません。北海道はもう一度行ってみたいですね。海鮮丼が食べたいです。前回訪れた際に、札幌で朝市に連れていっていただいて、そこで食べた海鮮丼が忘れられないんです。海老がどんぶりからはみ出ていて、イクラもビッシリ。世界遺産ぐらい感動しました。あの海鮮丼をもう一度食べたいなぁって。

    ―― それはいいですね!ほかには?

    福原:そうですね、日本にほとんどいないので、あまり四季を感じることがないんです。ですので、紅葉を見てみたいですね。トレーニング室の前に桜並木があるので桜は何度か見たことがあるのですが、大会が続くシーズンということもあり、紅葉は多分、ここ10年以上見ていません……。春夏秋冬とか、季節感がまるでない生活です。

    ―― それはかなり衝撃的なお話ですね……。紅葉ならば京都とかいいですよ。

    福原:そうなんです!書店で「京都に行こう」なんていう雑誌を見つけて、行く予定もないのに、つい買ってしまいました。お抹茶も好きなので、ぜひ本場で楽しんでみたいですね。

    ―― 海外ではどこか?

    福原:パリはもう一度行きたいですね。すごく好きな街のひとつです。世界選手権で2回行ったことはあるのですが、その後、1度パリ経由で帰国する際に、乗り継ぎ時間が7時間あったんです。市街地まで2時間ぐらいかかるので移動で約4時間、さらに2時間前にチェックインしなくちゃいけないということで、逆算すると自由な時間は1時間。そこでタクシーの運転手さんにお願いして、猛ダッシュでルーブルへ行ってモナリザだけ見て「あ、意外に小さい」なんて言いながら移動して(笑)、エッフェル塔も外から見て写真を撮って。ものすごい勢いで主要スポットを見て回りました。今度は花の都と呼ばれるパリをゆっくり見てみたいです。

    ―― いつかゆっくり旅を楽しめるといいですね。今日はありがとうございました。

    Traveler's Item

    世界を駆ける福原 愛さんを支える旅のマストアイテム

    お気に入りの枕

    「なんだか今日は、すごく楽しい取材です!あそこに行きたい、ここに行きたいって、普通にガールズトークみたい!」と、終始笑みがこぼれていた福原さん。トップアスリートの試合に対する日常的な緊張感を思うと、その言葉にも重みを感じます。
    そんな緊張の中で1年中世界を渡り歩く福原愛さんが、必ず持っていくというのが機内で使う枕です。もう9年ぐらいともに旅しているという枕は「ほころんで綿が飛び出してきたりしているのですが、何度も縫い直して使っているんです」とのこと。見かねたファンが新しいものをプレゼントしてくださったりするそうですが「やっぱり、これじゃなきゃダメなんです」と、福原さんはいいます。
    首の後ろではなく、あごの下に着けるのが福原さん流。機内ではCAさんに心配されるぐらい寝ているらしく、ヨーロッパを出発して気が付いたら日本に到着していたなんていうこともあるそうです。

    ブラジルの空港にて(写真提供/福原 愛)
    ブラジルの空港にて(写真提供/福原 愛)

    そして福原さんが最後に教えてくれたのは、機内でのささやかな楽しみ。「ボーイング787で、窓の明るさを全開にしてリクライニングを倒して寝ると最高です。まるで空のなかで寝ているみたいですよ」とのこと。
    そうそう、もしあなたが乗るANAのメニューに「青さ海苔うどん」があれば、ぜひ食べてみてください。「あったら絶対にオーダーします。本当においしいですよ!」と、福原さんがおすすめしてくれました。

    福原 愛(ふくはら あい)
    福原 愛(ふくはら あい)

    1988年、宮城県仙台市生まれ。
    3歳から卓球を始め、数々の大会優勝し最年少記録を塗り替えるなど、天才卓球少女として広く知られ、国民的アイドルに。アテネ、北京、ロンドンと3度のオリンピックを戦い、ロンドンでは団体戦で銀メダルを獲得。2016年、4月に行われるアジア大陸予選を経て、リオ・デ・ジャネイロで4度目のオリンピックに挑む。2007年よりANAに所属。

    ライター:Hikaru Arasawa
    Hair & Make Kaori Edamura
    Photo by Toshiharu Sakai

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