
「TWEMCO」 眺めているだけでうれしくなる時計は、 町工場でつくる正真正銘のメイドイン香港
1956年創業のフリップフロック型掛け時計「TWEMCO」。その正確さから、香港の銀行や政府機関でも使われています。金城武さんやフェイ・ウォンさんが出演し、今も語り継がれる香港映画『恋する惑星(重慶森林)/1994年」でも、「TWEMCO」のフリップが回って時を刻むシーンが印象的でした。掛け時計を作品のエッセンスに取り入れ、香港独特の濃厚な気配を感じさせる、ウォン・カーワイ(王家衛)監督ならではの演出です。

修子さんが使っているのは、「TWEMCO」の魅力がたくさん詰まったモデル。置き時計や掛け時計としても使うことができるタイプで、フリップが時間、月、日、曜日を表示します。中国語で「星期」は「曜日」のこと。お部屋において目にするだけでも、香港にいる気分が上がりそうですね。

TWEMCOの時計を囲むのは、タクシー、ミニバス、路面電車、ソフトクリーム販売のバンなど、
香港の街の風景に欠かせない乗り物のミニチュア
存在感が大きいこのTWEMCOの時計。修子さんはどんなところが気に入っているのでしょう。
「香港らしい時計を検索しているときに見つけたのですが、ヴィンテージのものはかなりのお値段で諦めていました。さらに、この中文表示のものは今は出回っていないのかと思っていたら、公式オンラインストアから言語表記を選択できるということを教えてくださった方がいて、さっそく注文してしまいました。
こんなに眺めているだけでうれしい時計もなかなかありません。時間を跨ぐときにバイ〜ンという大きなバネの音がするのですが、音が気になって眠れない、などということもありません。むしろヒッソリとしたお部屋に響くこの音がちょうどいいくらいです。
サイズも大、中、小とありましたが中にしておきました。ある程度の大きさもあり、ほどよい存在感でどんなお部屋にも合いそうです」
近年では香港ブランドも海外製造が主流ですが、「TWEMCO」は正真正銘「メイドイン香港」。九龍(カオルーン)サイドの町工場が連なる「大角咀(ダイコォックチョイ)」の工業ビルの中で、ベテランスタッフが一つひとつ手作業でつくり上げています。


- TWEMCO Industries Limited
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大驊晶工實業有限公司
住所:香港九龍大角咀洋松街64-76號 長發工業大厦3樓 2-5室
TEL:(852)2396-0775
営業時間:月~金曜 9:00~13:00、14:00~18:00
アクセス:MTR「太子」駅C2出口から徒歩9分
URL:http://twemco.com/
「黑地」香港で昔からある身近ないいものを、若い世代が伝えるセレクトショップ

取り扱うのは香港の昔ながらのものばかりで、下町の風景に溶け込む
庶民的な食堂「茶餐廳(チャーチャンテン)」やオーソドックスなレストランまで、香港で使われている食器類は独特なデザインでかわいらしいものがいっぱい。修子さんは嗅覚とカンを働かせながら香港中をくまなく歩き、お気に入りを見つけているのだとか。
「香港で古い食器をよく探し歩いていますが、すでにさんざん狩られてしまっているのでお宝探しもなかなか大変になってきてはいます。最近では新界方面にも足を運んだりしています。
家庭用品店の看板を見つけては手当たり次第にお店に入り、奥のほうに何かお宝が潜んでいないかチェックしますが、こうしたお店は次に旅行行ったときにはなくなっていたりして、場所がどこだかも忘れてしまいがちです。意外にも雑然としたリサイクルショップなどでお宝を発見したりもしますが、値段が書かれていないのでビクビクしてしまいます。
もう探し回るのも限界かも…という気さえしているのですが、それでも掘り出し物を発見できたときはうれしいものです。」


ぽってりしたフォルムがかわいい厚手のカップ&ソーサーは、香港式の濃いミルクティーになくてはならない存在
香港食器のおみやげは、コレクションとして飾って眺めるだけでなく、生活にも取り入れるのも楽しみ。修子さんはこれらの食器をフル活用して、香港ならではのメニューをご自宅で再現。インスタグラムにアップされる修子さん式香港食堂の風景は、香港ファンからも「懐かしい」「おいしそう…」「香港そのもの!」と大反響を呼んでいます。

修子さんの「例湯(本日のスープ)」は、香港でお馴染みのポークリブ、とうもろこし、にんじんを炊いたもの。

「香港の飲食店で使われている箸、箸立て、調味料入れ、食器などを探して持ち帰り、自宅で食事するときに使用して、少しでも香港気分を取り入れています。全部お揃いでなくてバラバラでもかえって雑然とした雰囲気があってよかったりもします。だんだんエスカレートして自宅の内装まで凝り出したら物件探しに苦労しそうです(笑)。」
修子さんも訪れた九龍サイド・石硤尾にある「黑地(ハッデイ)」は、若い香港人ご夫婦が経営するセレクトショップ。中国料理に欠かせないレンゲや大小さまざまなお皿にお茶碗、職人が手づくりするため、オーダーから数カ月待ちといわれる「駱駝牌」の魔法瓶などが、品よくディスプレイされています。


オーナーの周志鵬さんは、これからの世代にも、香港文化を残していきたいという思いから始めました。そのために、食器問屋が並ぶ九龍サイドの上海街などで根気よく、香港ならではのいいものを探し集めているのだそう。
乱雑に商品が詰め込まれた埃っぽい店を渡り歩くのは、旅行者にとってなかなかハードなこと。修子さんが集めているような食器類を探すには、根気よく歩き回ったり、こまめな情報収集も必要。
限られた旅行の時間の中での初めの一歩なら、「黑地」に来てみることをおすすめします。心地よい安心感の中、若い香港人の目線で選んだ香港ならではのいいもの探しができそうです。
- 黑地
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住所:香港九龍石硤尾偉智街38號福田大廈地舖19-20
※2019年10月に移転予定、新住所はFacebookで確認を
TEL:(852)9806-1476
営業時間:12:00~19:30/無休
アクセス:MTR「石硤尾」C出口から徒歩約5分
URL:https://www.facebook.com/waichistreetplayground/