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    掲載日:2020.01.16

    結局、克服できるの…? 対策アプリと専門家に聞く時差ボケの真相

    ここで気になったのが、そもそも“時差ボケ”と私たちが呼んでいるものは、どんな原因で起こるのかということ。時差があるからといっても、体の中では一体どんな変化が起こっているのか意外と知らないものですよね…。そこで、医学的見地から見た時差ボケについて、その原因から効果的な対策法まで、秋田大学大学院教授で睡眠の治療や研究が専門の三島和夫先生に教えていただきました。

    時差ボケは1カ月以上続くことも!?

    「海外旅行に行くと、日本は夜で睡眠をとらなければいけない時間帯なのに、現地は昼間だということがありますが、そもそも人間が自由に動かせるのは見かけ上の睡眠時間帯だけです。私たちが質の良い睡眠をとるためには、何時頃になると脳の温度が下がり、睡眠を促すメラトニンというホルモンが分泌されるなど、さまざまな生体機能が自動的にプログラムされているのですが、これらの機能は自由にコントロールできません」(三島先生、以下同)

    普段、夜になると自然と眠くなり、朝になると目が覚めるのは、私たちの脳内にある体内時計システムの“親時計”(視床下部の視交叉上核)が発するシグナルに合わせて、ホルモン分泌や神経活動などを担当する“子時計”(末梢神経)がさまざまな生体機能のリズムを維持しているから。しかし、海外旅行では体内時計が日本時間のまま移動してしまうため、体内時計と現地の昼夜リズム(生活時間)に食い違いが生じてしまいます。

    このズレによる体の不調が「外的脱同調」と呼ばれる時差ボケの原因のひとつなのですが、外的脱同調はあくまで初期症状に過ぎず、体の中ではもっと複雑な変化が起こっているようです。

    「実は、親時計は日中に太陽光をたっぷり浴びれば、数日程度で現地の生活時間にリセットされます(リズム同調)。では、時差ボケは解消されるのかといえばそうではなく、親時計がリセットされても子時計たちの同調スピードはまちまちなんです。すると今度は、体内時計同士にズレが生じてしまい、『内的脱同調』と呼ばれる時差ボケの原因となるのです」

    睡眠や覚醒の調整を担当する子時計たちは、親時計の後を追って1週間程度で現地の時間に同調するものの、消化器系の子時計の同調スピードは特に遅く、1カ月以上かかることもあるのだそう。渡航先である程度眠れるようになっても食欲が湧かないような時、私たちは「旅の疲れかな?」と思ってしまいがちですが、それも内的脱同調による時差ボケであると考えられるのです。

    海外旅行では時差ボケ対策は不要?

    「ですから、1週間程度の海外旅行では現地時間に完全に合わせることは難しいのです」と三島先生。となると、効果的な時差ボケ対策はないということでしょうか…?

    「私も短期間の海外出張ではそうしていますが、2泊3日ほどなら、日本時間のままで生活したほうがよいでしょうね。日本時間で夜間にあたる時間帯に現地が日中なら、サングラスをかけて強い光を浴びないようにしたり、眠気はカフェイン等で飛ばしたりというふうに」

    1週間程度の旅行なら、日中に太陽光を浴びれば眠気がある程度とれ(前述のリズム同調)、体内時計も徐々に同調していくものの、現地のリズムに適応すればするほど、今度は日本に戻ってきた後に大変な思いをしてしまうとも…。

    「“夜勤”をイメージするとわかりやすいかもしれません。例えばニューヨークと日本の時差は14時間ですから、夜勤の人は日中のニューヨークで働いているようなものですよね。当院の看護師さんたちもコーヒーを飲むなど眠気対策をしていますが、だからといって月に数回の夜勤のために体内時計を変えてしまおうとは思わないはずです。時間生物学の世界では、光が体に及ぼす影響をもとに、体内時計を調整する研究も進んでいますが、あくまでそれは現地のリズムにどこまでも合わせたい人のためのもの。時差ボケは生理的な反応で、体の調整機能が働いている表れですから、日本に戻ってきた時のことを考慮しても、無理矢理対処しないほうがよいと思います。体にとってストレスになりますからね」

    また、筆者のように市販の睡眠薬を使うのも考えものなのだとか…。

    「市販の睡眠薬は、脳を覚醒させるヒスタミンをブロックして眠気を誘うジフェンヒドラミンという成分を用いたものがほとんどです。古いタイプのアレルギーの治療薬に用いられていた成分で、副作用としての眠気を応用しているわけですが、12時間ほど効果が続いてしまうため、日中にパフォーマンスが低下してしまう恐れがあります。睡眠薬を使うくらいなら、頑張って起きて眠気を溜めたり、就寝前に少しお酒を飲んだりするほうがよいでしょう。寝酒は本来おすすめできませんが、せっかくの旅行ですからね(笑)」

    誰にでも効く対策法がないのは少々残念ですが、間違った情報に基づいた時差ボケ対策で旅行を台無しにするのはもってのほか。短期間で克服できるものではないと割り切って、思う存分、旅行を楽しむのが一番なのかもしれませんね!

    また、筆者のように市販の睡眠薬を使うのも考えものなのだとか…。

    • 記載の内容は2019年11月現在のもので、変更となることがあります。

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