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    掲載日:2020.10.15

    開放感抜群!この秋、アートを屋外で楽しもう

    空が高く、青く澄み渡る秋。この時期アートを楽しむなら、空の下で鑑賞するのはいかがでしょうか? 小さなお子さんも屋外でのびのびと作品を鑑賞できる、ファミリーにもおすすめの開放的なスポットを展示作品とともに紹介します。空間全体が作品になっている公園や、彫刻・現代アート作品が点在する野外展示など、全国の5つのスポットを集めました。

    安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄(北海道)

    左奥はギャラリーのある木造校舎。手前には「水の広場」があり、白い彫刻は《天聖・天モク》(モク=さんずい+禾)の一部
    左奥はギャラリーのある木造校舎。手前には「水の広場」があり、白い彫刻は《天聖・天モク》(モク=さんずい+禾)の一部

    北海道美唄市生まれの彫刻家・安田侃氏の美術館です。山や林に囲まれたのどかな場所にあり、彫刻が点在する屋外広場のほか、閉校した木造校舎を生かしたギャラリー、旧体育館のアートスペース、カフェ、彫刻の授業も開催する体験工房を備えます。

    安田侃氏は1970年にイタリアへ渡り、以降、イタリアを主な拠点として大理石とブロンズを用いた作品を生み出してきました。作品は日本国内や世界各地に設置され、高い評価を受けています。ここ「アルテピアッツァ美唄」は、氏が日本でアトリエを探していたことがきっかけとなり、その後整備され1992年にオープンしました。

    代表的な作品のひとつ、《妙夢》のある風景
    代表的な作品のひとつ、《妙夢》のある風景

    屋外広場では、ベンチや持参した敷物に座ってお弁当を食べる人、読書する人、また、周囲の自然を散策し、カフェで休憩をとりつつ、点在する彫刻を半日ほどかけて巡る人も多いとか。のんびりとした空気が流れています。

    ここにある彫刻はどれも安田侃氏によって場所を決められ、周囲の自然との調和をみながら、本人立ち会いのもと慎重に設置されました。そのため、彫刻を含めた空間全体が作品ともいえます。作品に題名や説明文などを表記していないのも特徴のひとつ。美術館の方に鑑賞のポイントをうかがうと、『安田侃さんは「(作品は)見る人の心を映す鏡」と言います。正解はありませんので、自由に鑑賞してください』とのこと。

    「天翔の丘」。階段状のくぼみの中心に、彫刻《天翔》が置かれている
    「天翔の丘」。階段状のくぼみの中心に、彫刻《天翔》が置かれている

    さらに、安田侃氏は「アルテに来たら、自分と向き合う時間を過ごしてほしい」と話されているそう。北海道の大自然の中、ただただ静かに佇む彫刻の数々を通して、自分自身を見つめ直す時間を過ごすことができそうです。

    安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄

    住所:北海道美唄市落合町栄町
    TEL:0126-63-3137
    営業時間:9:00~17:00/火曜、祝日の翌日(日曜日は除く)、年末年始休(12月31日~1月3日)
    アクセス:JR線「美唄」駅より車で約10分
    URL:https://www.artepiazza.jp/

    十和田市現代美術館(青森県)

    十和田市現代美術館外観。巨大な馬のモニュメントは、チェ・ジョンファ《フラワー・ホース》
    十和田市現代美術館外観。巨大な馬のモニュメントは、チェ・ジョンファ《フラワー・ホース》

    青森県十和田市のシンボルロード「官庁街通り」をご存知ですか? この通りを舞台に、美術館やアート広場、アーティストが手がけるストリートファニチャーを展開する「Arts Towada」プロジェクトが、まちづくりの一環として取り組まれてきました。その中心となる施設が十和田市現代美術館。世界で活躍するアーティスト33組の作品を常設展示しています。

    オノ・ヨーコ《念願の木》、撮影:小山田邦哉 © Yoko Ono All Rights Reserved.
    オノ・ヨーコ《念願の木》、撮影:小山田邦哉 © Yoko Ono All Rights Reserved.

    例えば、美術館の中庭に展示されているのは《念願の木》という作品。よく見ると、1本の木に短冊がいくつも吊るされています。これは鑑賞者が願い事を書いて自分で吊るしたもので、参加型の作品となっています。

    「作品には青森が誇る果物、りんごの木が使用され、季節によっては花が咲いていたり、たくさんのりんごの実をつけている様子など、訪れるたびに違った印象を与えてくれます」と美術館の方。

    飾られた短冊は年に一度、作者であるオノ・ヨーコ氏のもとに届けられます。そして、世界平和を祈念するモニュメント《イマジン・ピース・タワー》の台座におさめるため、アイスランドのレイキャビクへと送られます。

    エルヴィン・ヴルム《ファット・ハウス》《ファット・カー》、撮影:小山田邦哉 家の中では、ファット・ハウスがおしゃべりをしている映像作品を見ることができる
    エルヴィン・ヴルム《ファット・ハウス》《ファット・カー》、撮影:小山田邦哉
    家の中では、ファット・ハウスがおしゃべりをしている映像作品を見ることができる

    官庁街通りを挟んで美術館の向かいにあるのが、「アート広場」と呼ばれるスペース。誰でも自由に入場し、作品を鑑賞できます。

    中でも《ファット・ハウス》、《ファット・カー》は、まるで余分な脂肪がついた人間の体のように、家と車が太っている作品。一体、どのように鑑賞したらよいのでしょうか? 美術館の方にうかがいました。

    「家や車がぶくぶくと太った姿は愛嬌を感じてクスッと笑えると思います。ユーモアがあるだけではなく、“太るはずのないものがなんで太ってしまったんだろう?”、“家や車もアートになるの?”など、さまざまな疑問も生まれてきます。こうした疑問に対して、じっくり考えて自分なりの解釈をしてみると、今までなかった考え方や感覚に出合えるかもしれません」

    リュウ・ジァンファ《マーク・イン・ザ・スペース》 photo:Kiyoaki Sasahara
    リュウ・ジァンファ《マーク・イン・ザ・スペース》 photo:Kiyoaki Sasahara

    こちらは《マーク・イン・ザ・スペース》という作品。官庁街通り沿いに設置されている、アーティストが手がけたストリートファニチャーのうちのひとつです。少し前まで誰かがそこに眠っていたかのような跡が残る、大きな枕の形をしています。

    「作品の中央に腰掛けてみると枕が体の重みで沈んでいるように見え、硬い彫刻作品のはずが、柔らかい本物の枕のように見えます」と美術館の方。人の存在によって、彫刻がよりリアルに見えるというのが不思議。また、作品に腰掛けたり、寝転んだ様子をぜひ撮影してみてください。歩道なのにプライベート空間のような、奇妙で面白い写真を撮ることができますよ。

    美術館の中だけでなく、街路を舞台に作品が展示されている十和田市現代美術館。十和田の街歩きを楽しみつつ、アーティストが生み出す、あっと驚くようなイメージの数々に出合えるのが楽しいスポットです。

    十和田市現代美術館

    住所:青森県十和田市西二番町10-9
    TEL:0176-20-1127
    営業時間:9:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)/月曜、年末年始休
    ※月曜が祝日の場合は翌日休館
    アクセス:JR線「七戸十和田」駅より車で約20分
    URL:http://towadaartcenter.com/

    彫刻の森美術館(神奈川県)

    奥に見えるのはニキ・ド・サン・ファール《ミス・ブラック・パワー》、右手前はアントニー・ゴームリー《密着》
    奥に見えるのはニキ・ド・サン・ファール《ミス・ブラック・パワー》、右手前はアントニー・ゴームリー《密着》

    日本初の野外美術館として「彫刻の森美術館」がオープンしたのは1969年のことです。70,000m2もの広大な敷地内には、ロダン、ムーア、ミロをはじめとする近現代の代表的な芸術家の作品が120点余り展示されています。

    展示作品を見つけ、マップに作品シールを貼っていく「彫刻の森シールラリー」や、野外彫刻の「影」をヒントに、作品の題名を答える『リアル影探し「この影だれだ?」』などの独自の体験プログラムが楽しいのも「彫刻の森美術館」ならでは。子どもたちが作品を楽しく鑑賞できるプログラムのため、美術館に初めて訪れるような小さいお子さんがいる家族にもおすすめです。

    オーギュスト・ロダン《バルザック》
    オーギュスト・ロダン《バルザック》

    館内に入ってすぐ、本館ギャラリーの近くに佇むのはロダンの《バルザック》。彫刻に詳しくない人も、ロダンの名前は聞いたことがあるのではないでしょうか? あの《考える人》で有名なフランスの彫刻家です。

    この作品はフランスの小説家オノレ・ド・バルザックの記念像として制作されました。全身に威厳を感じる立派な像ですが、制作された当時は散々な評価だったとか。ガウンをまとった姿が「雪だるま」や「溶岩」、「異教神」のようだと言われてしまったのです。以来、ロダンは亡くなるまでこの像を自宅から出すことはありませんでした。偉大な彫刻家・ロダンのイメージからは想像できない、興味深いエピソードです。

    フェルナン・レジェ《歩く花》。高さは6mほど
    フェルナン・レジェ《歩く花》。高さは6mほど

    館内奥まで歩を進めると、カラフルな配色とユニークなポーズが目を引くフェルナン・レジェの《歩く花》があります。レジェはフランスの画家で、近代の機械文明と人間生活の調和を夢見た芸術家でした。《歩く花》は、レジェがつくった模型をもとに、拡大して制作されたもの。この作品から、どのようなイメージを読み取ることができるでしょうか?

    「彫刻の森美術館」は、充実した作品数もさることながら、敷地の広さも魅力的。広い館内を散歩コースとして巡るのも楽しみ方のひとつです。また、源泉を利用した温泉足湯があるので、歩き疲れた際は足湯で疲れを取りつつ、作品について友人や家族と意見交換してみるのもいいかもしれません。

    彫刻の森美術館

    住所:神奈川県足柄下郡箱根町ニノ平1121
    TEL:0460-82-1161
    営業時間:9:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)
    アクセス:箱根登山鉄道「彫刻の森」駅より徒歩約2分
    URL:https://www.hakone-oam.or.jp/

    室生山上公園芸術の森(奈良県)

    園内北入口側に位置する、《波型の土盛》
    園内北入口側に位置する、《波型の土盛》

    奈良県宇陀市室生にある「室生山上公園芸術の森」は、敷地全体が作品となっています。旧室生村に生まれた彫刻家・井上武吉氏は、故郷の美しい森を「古来から神話や伝説を生んだ神秘の森である」として愛しました。そして、「森の自然と人間とを結びつけ、人が自然に回帰する事のできる時間と空間をつくる」ための「森の回廊計画」を発案します。計画では、村全体を、人間と自然とが共存する美術館とすることを目指したのです。

    その後、「森の回廊計画」の意思を引き継いだ世界的な彫刻家のダニ・カラヴァン氏によって「室生山上公園芸術の森」は完成されました。園内は室生の文化やその場所の特性を象徴するモニュメントや野外作品で構成されています。

    《天文の塔》 南面に設けられたスリットから光の線が差し込むことで、塔内は日時計となっている
    《天文の塔》 南面に設けられたスリットから光の線が差し込むことで、塔内は日時計となっている

    北緯34度32分の「太陽の道」をご存知でしょうか? 奈良県から三重県の伊勢にかけて重要とされる神社仏閣を線でつなぎ、古代の太陽信仰にも関係していると言われる直線のことです。芸術の森を、この歴史的な意味を持つ「太陽の道」と結びつけ、位置付けるためのモニュメントが《天文の塔》です。

    《天文の塔》は、東西に伸びる「太陽の道」を視覚化したゲートの中央に配置されています。塔は日時計の役割を持ち、ゲートは太陽の動きを表現しています。日時計となっている塔の内部や、太陽の光に照らされたゲートが生み出す陰影が時の経過を感じさせます。

    《螺旋の水路》 奥にはキンモクセイの木が1本立つ
    《螺旋の水路》 奥にはキンモクセイの木が1本立つ

    こちらは《天文の塔》のそばを流れる《螺旋の水路》。波形と渦巻きが組み合わさった形は、ダニ・カラヴァン氏がここを訪れた際に、とぐろを巻いた蛇が逃げていく様を見て着想を得たとも言われているそう。水路は浅く、子どもたちが葉を水に流してそのスピードを競うなど、安全に遊ぶことができます。

    豊かな自然に囲まれている「室生山上公園芸術の森」では、季節によって変化する太陽の光や木、草、水、風などを、五感を駆使して体感することができます。自然と作品が織りなす風景の中には「インスタ映え」なスポットも。ぜひお気に入りのポイントを見つけてみてください。

    室生山上公園芸術の森

    住所:奈良県宇陀市室生181
    TEL:0745-93-4730
    営業時間:4~10月 10:00~17:00、3・11・12月 10:00~16:00(入園は閉園の30分前まで)/
    火曜、12月29日~2月末日休園
    ※火曜が祝日の場合は翌日休園
    アクセス:近畿日本鉄道大阪線「室生口大野」駅より車で約20分
    URL:http://www.city.uda.nara.jp/sanzyoukouen/

    霧島アートの森(鹿児島県)

    アートホール。屋内コレクション作品43点のうちから構成されるコレクション展や、企画展を開催
    アートホール。屋内コレクション作品43点のうちから構成されるコレクション展や、企画展を開催

    鹿児島県湧水町の栗野岳中腹に位置する野外美術館「霧島アートの森」。約13haの敷地はアートホール、野外広場、樹林ゾーンからなり、野外には23点の作品が展示されています。自然の地形や樹林を生かした野外広場はピクニック気分でお弁当を食べることもでき、晴れた日には桜島が見えることもある絶好のロケーション。中には遊具のような作品も展示されていて、「子どもたちには全身を使って作品と戯れるように楽しんでほしい」と美術館の方。

    また、「霧島アートの森」の野外展示の特徴は、作家たちが実際にこの場所を訪れ、自然や歴史的・文化的な特徴を生かして作品を制作しているところにあります。

    ルチアーノ・ファブロ《イザナミ・イザナギ・アマテラス》
    ルチアーノ・ファブロ《イザナミ・イザナギ・アマテラス》

    例えば、こちらの《イザナミ・イザナギ・アマテラス》という作品。霧島ゆかりの神話をもとに制作されました。題名の「イザナミ」「イザナギ」「アマテラス」は古事記や日本書紀に登場する日本の神様の名前を意味します。とても抽象的で、一見すると掴みどころのない印象ですが、一体どのような作品なのでしょうか?

    上に乗っている黄色石は太陽の神アマテラスを、その下の白大理石はイザナミで昼を、黒大理石はイザナギで夜を表しています。また、写真では分かりづらいですが、大理石には日本地図が彫られ、裏返しの状態に。これは「昼と夜の連続で今の日本が形成された」ということを表しているそう。作家はこの作品について、「神と向き合う場所=祭壇をつくりたかった」と語っています。

    草間彌生《シャングリラの華》
    草間彌生《シャングリラの華》

    また、こちらの《シャングリラの華》は、霧島の大地を「不老不死の桃源郷」に見立てて制作されました。生命、魂、人間のエネルギーが鮮やかな色彩とともに表現され、「人間の命の長さは宇宙の歴史の中ではほんのわずかな時間。遠大な思想を持ちながら、その命を燃やすように生きてほしい」というメッセージが込められています。

    この地だからこそ生まれた作品群は、ぜひ現地を訪れて鑑賞したいものですよね。本格的な野外彫刻美術館でありながら、公園に遊びに来ているように作品と触れ合える「霧島アートの森」。家族や友人と旅行気分で楽しむもよし、ひとりでじっくりと作品に向き合うもよし。さまざまなシーンで利用することができます。

    霧島アートの森

    住所:鹿児島県姶良郡湧水町木場6340-220
    TEL:0995-74-5945
    営業時間:9:00~17:00、7月20日~8月31日の土・日曜・祝日 9:00~19:00(入園は閉園の30分前まで)/
    月曜、年末年始(12月28日~1月2日)、メンテナンス休(2月15日~22日)
    ※月曜が祝日の場合は翌日休園
    アクセス:JR肥薩線「栗野」駅より車で約20分
    URL:https://open-air-museum.org/

    いかがでしたか? 屋外に展示されているアート作品は、季節や時間の変化によってもさまざまな表情を見せてくれるのが魅力のひとつです。ぜひ、実際に足を運んでその場所・その時間の作品と向き合ってみてください。

    • 記載の内容は2020年9月現在のもので、変更となることがあります。
    ライター:Atori Hagiwara(minimal)

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