

意外と行きやすい!?パワーポットの島

Ph by Shoji Matsushima
壱岐へ行くには、博多港から高速船に乗って約1時間10分。島の東、西、南に港があり、最もにぎやかなのは西海岸の郷ノ浦です。また長崎空港から壱岐空港には、ANAとオリエンタルエアブリッジの共同運航便が飛んでいて約30分で到着してしまいます。
壱岐は小さな島なので、車で一周しても2時間ほど。道も広く運転しやすいため、レンタカーで移動するのが一般的です。今回は郷ノ浦港を起点に、島内に無数にあるパワースポットの中から厳選した10ヶ所を回ってみることにしましょう。
ダイナミックな地形に圧倒される牧崎公園

最初に向かうのは西海岸の牧崎公園。緑鮮やかな草原の一角に、海に向かって口を開けた大きな穴があります。波や風の浸食によってできた洞窟が崩れたものなんですが、現地では鬼の足跡なんて名前で呼ばれています。その昔、鬼が鯨を捕るために足を踏ん張ったら、穴が開いてしまったというダイナミックな伝説が。みなぎる大鬼のパワーをもらえるスポットです。
- 牧崎公園
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郷ノ浦港から車で約15分
天空の小宇宙に憩う、天手長男神社

苔むした階段を上ってたどり着く天手長男神社(あめのたながおじんじゃ)の境内は、静けさのなかに気が満ちた空間。神々に見られているのではないか……そんな気持ちにさせられる場所です。田んぼを挟んで向かいには、天手長比賣神社跡があります。こちらも、うっそうと茂る樹木の中に立つと気持ちがスーッと落ち着いていきます。田んぼの真ん中には、子どもの狛犬が祀られています。
- 天手長男神社
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郷ノ浦港から車で約12分、牧崎神社から車で約17分
動く壱岐をつなぎ留めた、猿岩

Ph by Shoji Matsushima
再度、西海岸へと移動して、壱岐のランドマークになっている猿岩を見に行きましょう。黒崎半島の先端にそびえる高さ45mの玄武岩は、確かに猿の横顔にしか見えないシルエット。この奇岩は、動き回ってしまう「生き島」だった壱岐をつなぎ留めるために使った「八本柱」のひとつと伝わっています。気品を放つ巨大な猿は、夕方、赤い光に包まれた神々しい姿も必見です。
- 猿岩
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郷ノ浦港から車で約20分、天手長男神社から車で約23分
夫婦クスノキに守られた住吉神社

壱岐には『延喜式神名帳』に登録された、格式高い式内社が24社もあります。住吉神社も神功皇后に由来すると伝わる式内社のひとつ。境内には一つ根から二つの幹が伸びるクスノキが立ち、地元では夫婦クスノキと呼ばれ親しまれています。このクスノキを男性は左回り、女性は右回りに一周すると、長寿や縁結びの願いがかなうといわれています。参拝をすませてから、しっかり回っておきましょう。
- 住吉神社
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郷ノ浦から車で約15分、猿岩から車で約28分
神道発祥とも伝わる霊験あらたかな、月讀神社

うっそうと茂る木々に隠れるように立つ月讀神社(つきよみじんじゃ)は、月夜見命、月弓命、月読命という3柱を祀る神社。487年に京都松尾大社の摂社、月読神社に分霊したと伝わり、神道が中央に根づいたきっかけになったとされています。県道沿いの鳥居をくぐって細い階段を上ると、かわいらしい本殿が。木々の間から光が差し込み、神々しい雰囲気に満ちています。
- 月讀神社
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郷ノ浦から車で約17分、住吉神社から車で約10分
方位磁石が狂う神秘の磁体、女嶽神社

男岳の向かいにある女岳に立つのが女嶽神社(めんだけじんじゃ)。階段や坂を20分ほど上っていくと、巣食石(すくひいし)と呼ばれるご神体が見えてきます。この巨石はエネルギーが凝縮するゼロ磁場のパワースポットとして注目されているんだとか。祭神は女神の天守受売命(あまのうづめのみこと)で、良縁成就、夫婦和合、芸能向上にご利益があるとされています。
- 女嶽神社
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郷ノ浦から車で約35分、月讀神社から車で約20分
200体以上の石猿が集う、男嶽神社

標高168mの男岳は、明治時代まで山全体がご神体で入山さえできなかったそう。それだけにご利益が大きく、古くから島の人々に崇められていました。現在は入山して男嶽神社(おんだけじんじゃ)への参拝ができるようになり、願い事が成就した際に奉納された200体以上の石猿が祀られています。拝殿裏にあるご神体の巨岩は、女嶽神社と同じように磁気を帯びたパワースポットです。
- 男嶽神社
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郷ノ浦から車で約38分、女岳から車で約16分
海中に祀られた不思議六地蔵、はらほげ地蔵

海女漁が盛んな八幡浦の海に祀られている6体のお地蔵さま。はらほげ地蔵と呼ばれる6地蔵は、いつ誰が何のために祀ったのか分かっていないのですが、おそらく遭難した海女さんの冥福のため、もしくはクジラ供養のために造られたのではないかといわれています。波に洗われたたずむお地蔵さまは、満潮になると頭まで海の中へ。何とも神秘的な空気が漂うスポットです。
- はらほげ地蔵
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郷ノ浦から車で約27分、男岳から車で約36分
壱岐のモン・サン・ミッシェル、小島神社

Ph by Shoji Matsushima
海に浮かぶ小さな島が、まるごと神域となった小島神社。潮が引くと150mほどの砂の参道が姿を現し、歩いて渡ることができます。鳥居をくぐって島の反対側へ回ると、神社に上がる道があります。1日のなかでも限られた時間しか参拝できない幻の神社は、自然のパワーが集まる場所。壱岐のモン・サン・ミッシェルと呼ばれ、島を代表する観光スポットになっています。
- 小島神社
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郷ノ浦から車で約21分、はらほげ地蔵から車で約10分
一攫千金を狙ってお参り!?お宝地蔵

最後にぐっと現実的なご利益があるパワースポットをご紹介。出発した郷ノ浦まで戻って、お宝地蔵として親しまれる地蔵尊をご参拝。江戸時代の初め、黒田藩の御用商人だった伊藤小左衛門が、密貿易で得た財宝を周辺に隠したと伝わっています。この地蔵尊は小左衛門が寄進したもので、小左衛門地蔵というのが本来の名前。現在は宝くじ当選祈願に訪れる参拝客が多いようです。
- お宝地蔵
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郷ノ浦から車で約5分、小島神社から車で約10分
さて、こんな感じで10のパワースポットを巡り、本渡港まで戻ってくるとおよそ70kmのドライブになります。砂浜の美しい島なので、余裕があったらビーチにも立ち寄ってみたいところ。東海岸の筒城浜海水浴場や錦浜海水浴場がおすすめです。


Ph by Shoji Matsushima
そして、ランチにぜひ食べたいのは新鮮な魚介。4~10月に行くなら、名物の生ウニをたっぷりのせたぶっかけ丼を食べてください!
じわじわブームがきている島旅。小ぢんまりとしていて巡りやすい壱岐のパワスポ巡りは、まだまだ人気を集めそうです。
- 参考/『地球の歩き方JAPAN 島旅06 壱岐』/ダイヤモンド・ビッグ社、『壱岐のパワスポnavi』/新道商工振興会