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    掲載日:2016.05.26

    ジャズをもっと身近に感じてもらいたい ジャズシンガー 青木カレンが旅で見つけたもの

    ジャズシンガーとしてだけでなく、数々のドラマや映画の主題歌の歌い手としてヒットを放つ青木カレンさん。甘く、透明感のある歌声は、これまでジャズという音楽のジャンルに興味がなかった人をも取り込む魅力に溢れています。今回は青木カレンさんに、旅とご自身の音楽との関わりについて伺いました。
    ANAオリジナル

    偶然の出会いが音楽の世界へ導いてくれた

    青木カレンさん

    ―― 音楽を始めたのはいつからですか?

    青木カレンさん(以下敬称略):幼い頃からバイオリンをやっていました。歌を始めたのは高校の頃から。母は趣味で声楽をやっていました。祖母も歌を歌うんでですけど、これがちょっと不思議な人で。依頼を受けると白装束に着替えて祭壇の前で即興で歌うんです。それで御霊の声を聞く、と言うか。私自身にはスピリチュアルな能力はないように感じるんですけど、そんな感じで幼い頃から音楽が近い環境ではありました。

    ―― 音楽の世界に入ったきっかけは?

    青木:きっかけは、葉加瀬太郎さんにお目にかかったことなんです。当時、確か19歳頃だったと思うんですけど、私、写真が大好きで、カメラマンのアシスタントをしていたんです。そのときに葉加瀬太郎さんを撮影する機会があったんですが、数日後に偶然、麻布十番のお祭りで葉加瀬さんに再会したんです。ちょうど私、その時、自主制作したショートムービーのBGM用に制作した自分のアカペラのテープを持っていて、それを気軽な気持ちで渡したところ、なんと葉加瀬さんから連絡があって……。一緒になにかやろうよと声をかけていただいたんです。それからいろいろとご一緒させていだくようになりました。

    ―― すごいご縁ですね。

    青木:ええ。ほんと、今思うと畏れ多い。
    ジャズを始めたのはその後です。大学を卒業した後、フリースクールで教師をしていたのですが、近所にある喫茶店に立ち寄るのが日課だったんです。ある日、その喫茶店で流れるジャズに惹かれて都内のジャズクラブをネットで調べたら、あるジャズクラブでジャズセッションの日がありました。私もマイクと歌詞カードを手渡され歌わせて頂いたら本当に楽しかった。それで夢中になって、ジャズを歌い始めました。

    ―― セッションってすごいですよね。初めて会った人同士なのに、なんであんなに息の合った演奏ができるんですか?

    青木:一応セオリーみたいなものはあります。スタンダードナンバーならばだいたい次の進行は分かりますし。でも、やっぱり瞬発力でしょうか。奏者それぞれが他のメンバーの息づかい、高まりを感じ取って、リズムやメロディーがどんどん重なり合って、その日、その瞬間だけの音楽になるんです。そして、奏者もお客さんも、その場に居合わせた全員が一体となることがある。そんな瞬間が最高なんです。あの快感はそこにいた人にしかわからない。セッションの魅力ってそこに尽きると思うのです。

    ―― このところ精力的にアルバムもだされていますよね。

    青木:はい。去年はジャズシンガーのマット・ダスクさんとのデュエット・アルバム「Matt & Karen Lost in Rio」や、ポップスやジャズのスタンダードナンバーを集めた「Eternal Melody」をリリースしました。アルバムを作る上で念頭に置いているのは、わかりやすく、親しみが持てること。私自身、大人になってからジャズの楽しさを知ったので、これからジャズを聴きたいという人にも身構えず聴けるアルバムにしたいと思っています。例えば、曲のどの部分をどう切り取って表現するか、どのようにリズムチェンジをすれば効果的か。特に歌詞を分かりやすく伝えるということにはこだわっています。自分なりの訳をしたり、発音をクリアにしたり、工夫しがいはあります。

    ―― 最近はジャズ以外の方面でもいろいろと活動されているようですが。

    青木:そうですね、映画やドラマの主題歌を歌わせていただいています。「アンダルシア 女神の報復」や映画ガリレオ「真夏の方程式」の挿入歌、上戸彩さん主演の「昼顔~平日午後3時の恋人たち」のメインテーマ曲を担当させていただきました。

    ―― ご自身のアルバムを作るときとなにか違いがありますか?

    青木:自分のアルバムは全部自分で決めるのですが、挿入歌やメインテーマは、音楽監督さんの意向を聞いて表現します。実はいろいろ指示されたいタイプだから、これはこれで楽しんでます♡

    ―― へえ!意外!!自分から積極的に行くタイプかと思っていました。

    青木:よく言われるんですが、実は尽くしたい方なんです。カメラマンのアシスタントも本当に好きでした。いろいろ気を配って、完璧にサポートできると、ああ、私やったなあ!って充実感がある(笑)。

    旅での体験が、身体を癒し、音楽を豊かにしてくれる

    青木カレンさん

    ―― 仕事で海外に行かれることも多いんじゃないですか?

    青木:レコーディングやライブで、ニューヨーク、カナダ、イタリア、韓国、台湾、中国、などに行きました。ライブで印象に残っているのは沖縄。名護に「ミュージックカフェ城」というライブハウスがあるんですが、ご高齢のオーナーなのに、町中にポスターを貼ってくださったり、時間をかけて何度もハシゴに登ってライティングを修正してくださったり……。音楽に対する愛情を感じました。あそこはまた行きたいですね。

    ニューヨークでのライブでは、現地在住の日本人の方がネットワークを使って人を集めてくださったんです。日本酒を楽しみながら音楽を聴くというイベントだったんですが、85ドルというジャズライブにしてはかなり高額だったのにもかかわらず300人以上集まってくださって……。ニューヨークの現地コミュニティの強さを感じます。

    ―― プライベートでも旅に行きますか?

    青木:ばたばたしていて、なかなか実現できていないんですが、年に2回は行きたいですね。
    実は数年前、少し耳の調子を悪くしたんです。そのときモネのことを知りました。晩年のモネは白内障でほぼ失明寸前だったのにそれでも絵を描き続けた、という話を聞きました。それで私もモネが失明状態で描いた絵を自分の目で見てみようと。パリの、マルモッタン美術館とオランジュリー美術館、オルセー美術館、そしてジヴェルニーに行きました。
    オルセーで見たモネの絵に、驚くほどの光を感じた。目が万全でなくても、こんなに光が描けるものなのか、と感動しました。モネの絵に勇気をもらって、人生のとらえ方が少し変わったんだと思います。それからしばらくして、ちょっとずつ耳の調子も良くなりました。

    ―― 旅の経験がご自身の音楽活動に活かされることってありますか?

    青木:各地のミュージシャンとセッションをするのは刺激的です。あるイタリア人のアーティストの倍音(※)の広さには本当に驚かされました。音程が合ってる、合ってないではなく、とらえ方が違うように感じました。これまでにない音の深み、表現力に感銘を受けました。
    また、本場ニューヨークのジャズはやはり歴史があり、それぞれの音楽やミュージシャンについてエピソードが豊富にあるんです。やはり、この地ではジャズは単なる音楽以上の存在なのだと。ジャズという音楽を全体的に捉えるきっかけをもらいました。

    • 倍音…基本となる音の振動数に対し、整数倍の振動数を持つ音。2倍の倍音ならば1オクターブ上、3倍ならば3オクターブ上の音となる。倍音は一般人は通常、ほとんど聞き取ることはできないが、音色を形成する重要な要素となる。

    ジャズをもっと自然に、日常に取り入れてもらいたい

    青木カレンさん

    ―― ところでジャズって流行のスタイルとかあるんでしょうか?

    青木:例えば、今はミニマルな方向だとか、民族楽器を取り入れるという流行はあるかもしれませんね。私自身も今、昔のギターやシタールが気になっていて。その一音が入るだけで、音の感触が変わるんです。次回のアルバムに取り入れたいなと思っています。

    ―― では日本的なジャズってあるんですか?

    青木:それは、各自が探していかなくてはならないものだと思っているし、おそらく日本のジャズミュージシャン全員が考え、模索していることだと思います。

    日本のジャズの歴史って意外と古いんです。かつて、日本のジャズはもっと恵まれていたという話をよく聞きます。大先輩である阿川泰子さんは昔、1日3つのライブハウスを掛け持ちしていたとか、数回公演があっても人が溢れていたとか。それが、現在では、地方のジャズクラブは少しずつ減少し、CDショップのジャズコーナーも狭くなっていっています。

    だから、最近ではジャズを身近に感じてもらえるような取り組みを行っていきたいと思っています。そのひとつが、女性だけのジャズイベント。ジャズを聴きながら、女性の悩みを徹底的に話し合うんです。そこで見聞きしたことは門外不出。男性は立入禁止なので、バーテンももちろん女性。ところがそこのライブハウスはコックさんが男性だったので、その日のフードはライブが終わるまでお預け!というくらい徹底していました(笑)。

    ―― ジャズ+αのイベントという発想、おもしろいですね。

    青木:はい、別のアプローチからジャズに触れてもらえればと。私自身は、正直、そんなに私の音楽を真剣に聴いてもらわなくていいんです(笑)。お酒を飲みながら、明日の仕事のこととか新しい企画のことを考えながらぼんやり聴いてくれればいい。でも、そこに流れる音楽が生演奏ならば、きっといつもより少し良いインスピレーションが沸くと思うんです。そんな気持ちで、気軽にジャズに触れてもらうことができれば。そうやって少しずつ、ジャズがみんなの生活にとって身近な存在になっていくようこれからも活動していきたいと思っています。

    Traveler's Item

    旅先でもスマートに、快適であるために青木カレンの旅の必需品

    青木カレンの旅の必需品

    ライブや録音で旅の多い青木カレンさんが、必ず旅に持って行くものがこちら。コールハーンとナイキがコラボした、歩きやすくてしかもお洒落なパンプスに、日よけや防寒にもなるストール、香りが心を癒してくれるHACCHIのフェイスオイル、そして自然な音色が特徴のMezeのヘッドフォン。これらは、すべてCYPRISの大ぶりの革製の鞄に入れていきます。

    旅で悩むのが洋服のコーディネート。あれも、これも、と洋服を選んでいると、どうしてもちぐはぐになりがち。そこで青木さんはテーマカラーを決め、それに沿って持ち物を決めているそう。青木さんの場合はブルー。確かに、テーマカラーを決めておくと着回しコーディネートも統一感がでますね!

    また、お仕事で喉を使う青木さんにとって機内の乾燥は大敵です。そんな青木さんが考案したのが、2枚のマスクに濡らしたティッシュ3枚を挟む方法。これを機内でつければ、喉の乾燥を防ぐだけでなく、顔の乾燥防止にもなるそう。

    マスク

    ポイントはティッシュ3枚を重ねること。そして大判のマスクを選ぶこと。「私の最大の発明」と自画自賛するほど、青木さんオススメのアイテムです。

    青木カレン(あおきかれん)
    青木カレン(あおきかれん)

    ジャズシンガー。ライブ・ツアー活動をメインに、音楽番組などのナビゲーターやキャストを務める。映画「アンダルシア 女神の報復」、フジテレビ系ドラマ「結婚しない」、映画ガリレオ「真夏の方程式」、NHK土曜ドラマ「太陽の罠」、フジテレビ系ドラマ「昼顔~平日午後3時の恋人たち」などの挿入歌や主題歌を歌う。2015年秋、9枚目のアルバム「ロストインリオ」をリリース、11月にはブルーノート東京にて2DAYS公演を成功させる。

    ライター:Naoko Sumita
    Hair Make Kaori Edamura , Photo by Toshiharu Sakai

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