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    掲載日:2016.08.18

    あらゆる謎に迫る“唯一無二の職業” ミステリーハンター坂本三佳が見て、感じて、切り取った世界

    今年7月に放送1,400回を達成したTBSの長寿番組『世界ふしぎ発見!』。番組内で特派リポートとクイズの出題を行うのが、旅の水先案内人ともいえる「ミステリーハンター」です。そんな30年におよぶ番組の歴史の中で、ミステリーハンター歴16年(歴代2位!)を数えるベテランが坂本三佳さん。10代の頃から番組のキーパーソンを務めあげる彼女に、これまでの旅と今年開催される自身初の写真展について語っていただきました。
    ANAオリジナル

    最初のロケは北京原人探し!?無我夢中の駆け出し時代

    坂本三佳さん

    ―― 2000年9月からミステリーハンターとしてご活躍されている坂本さんですが、番組史上、初めて10代で抜擢されたと伺いました。

    坂本三佳さん(以下敬称略):19歳のときです。初めてのロケは中国でした。

    ―― それまで海外旅行の経験は?

    坂本:家族旅行程度で、一人旅の経験はありませんでした。「旅好きでしたか?」と聞かれたら、正直当時はそれほどでもなかったと思います。ただ、「ミステリーハンターは泥だらけになっても楽しそうな人」という印象でおもしろそうだったので、事務所と相談してオーディションを受けることにしたんです。台本読みや面接を行って、晴れて合格したと思ったら、すぐ「中国に行ってみる?」と声が掛かりました。

    ―― それほど旅好きでなかった当時の自分を振り返ってみて、いかがですか?

    坂本:最初のロケが、中国の山奥で北京原人を探すお仕事だったんです。いわゆるお城とか、きれいな場所ではなかったので、今思うと逆に良かったんだと思います。本当にすごい山だったので。湖北省の山奥に約2週間滞在しましたが、お手洗いがない場所がほとんどでした。ホテルにいてもことごとく停電や断水になるし…。

    ―― 過酷な現場ですね…。

    坂本:なにせ最初ですし、「ミステリーハンターのロケってこういうものなんだ!」って思ったから頑張れちゃいましたね。そのときは苦しいとは感じず、状況を楽しんじゃっていました。その次のロケが、またまた僻地(笑)。ブラジルの洞窟探検でした。

    ―― 写真を撮られるようになったのはいつ頃からですか?

    坂本:最初はカメラを持っていませんでした。しばらく経ってから写真家の山岸伸さんにお会いした際に「そんなに世界を旅する機会が多いんだったら、写真を撮っといたほうがいいよ」と勧められました。

    ―― この頃、写真を撮っていたら相当貴重なものになったでしょうね。

    坂本:なかなか行けない場所ですからね。ブラジルの洞窟もすごかったです。コウモリだらけ!ガスマスクを付けて、フンだらけの洞窟の中をほふく前進して行く内容で。「テレビに映っちゃいけないんじゃない?」っていうくらい泥だらけでしたが、貴重な体験でした。いいのか悪いのか、順応性が高いみたいです。

    ―― ホームシックになった経験は?

    坂本:ないですね。食べ物にあたることもなくて。初めての中国ロケのときに1回下したんですけど、それっきりずっと大丈夫。おなか、強いみたいです。

    ―― 特に生水が怖いですね。番組内では食レポもありますよね?

    坂本:ベトナムではカキ氷やみたらし団子のようなスイーツを食べました。カキ氷はさすがにあたらないか怖かったですけど、食べないわけにはいかないし…。スタッフがことごとくおなかを壊したりしているなかで、私ひとり平気でした。

    19~20歳の頃はとにかく体を張るロケが多かったですね。2001年のグアムでは上空3,600mからスカイダイビングをしましたし、海に潜って水中散歩もリポートしました。当時はミステリーハンターをここまで長く続けられると思っていなかったので、今振り返ると「こんなに頑張ってたんだなー」って思います。16年はあっという間でしたね。

    マサイの人々が崇める「神の山」は、まるで宇宙のよう!

    坂本三佳さん

    ―― 今までで印象に残っているロケは?

    坂本:番組1,000回記念(2007年3月3日O.A.)で行ったタンザニアのオルドイニョ・レンガイです。記念すべき回で「誰が、何をやるんだろう?」って番組全体が盛り上がっていたので、まさか自分が行けるとは思ってもみませんでした。私にとっても初めてのアフリカでした。

    ―― オルドイニョ・レンガイって、どんな場所ですか?

    坂本:野生動物が生息するセレンゲティ国立公園やンゴロンゴロ国立公園を通過すると、その先にマサイの村があって、そこから地元の人々が崇める神聖な山がドーン!と見られるんです。それがオルドイニョ・レンガイ(地元の言葉で「神の山」)。「エッ!?あれに登るの?」って絶句しちゃったくらい。

    ―― そんなに標高が高いんですか?

    坂本:2,900mくらいかな?3,000m級を覚悟していたので標高では驚かなかったのですが、斜度が半端じゃなかった。45度くらいある場所をロッククライミングのように、マサイの人と取材班、50人規模の撮影隊で登り、山頂のクレーターの中で1週間キャンプを張りました。

    ―― 地元の人が崇拝する場所での1週間は、相当貴重な経験だったのでは?

    坂本:ちょっと別世界です。あの中で過ごした時間は、まるで宇宙でした。星の数がすごくて、「こんなに星が空に隠れているの!?」と毎晩驚いたものです。
    ちょっとマニアックな話になるんですけど、500度くらいの温度で噴出する溶岩は「カーボナタイト」と呼ばれていて、地球上でオルドイニョ・レンガイでしか観測されていない貴重な成分らしいです。通常のマグマより柔らかくて、噴出されると円錐状にポコポコ冷え固まっていくんです。そんな現象が起きている中で、火山の専門研究チームと一緒に1週間過ごしていました。

    ―― 活火山なんですね!危なくなかったのですか?

    坂本:夜はテントの中で、地べたに耳を当てるようにして寝ていたんですが、地面から伝わってくる音が凄かったです。常に雷が鳴っているかのような「ゴロゴロドカーン!!」という音が響いてくるんです。現地ではスタッフと「いつか大きな噴火が起きるんじゃないの!?」と話していました。
    しばらく後になって、大沢たかおさんがオルドイニョ・レンガイに登るドキュメンタリー番組を観たんですけど、私が現地で目撃した光景はまったくなく、クレーターはぽっかりと穴があいていました。

    ―― 刻一刻と変わる自然の中に居られたって、すごいことですね。

    坂本:映像を見たとき「やっぱり噴火したんだ!」って思いましたね。今思うと、噴火間際の山で、貴重な体験をさせてもらいました。放送1,000回というプレッシャーもありましたし、本当に必死でした。

    究極の歴史ミステリー!「遺跡」の魅力にゾクゾクします

    ―― 仕事柄、プライベート旅行ではなかなか行けない場所が多いですね。

    坂本:そうですね。なかでも「遺跡」が好きなんだなーって、気づかされます。ペルーにはご縁があって、シクラス遺跡やシカン遺跡など、何度か行かせてもらっています。「人が生きていた証がこんな場所に!」っていう発見がおもしろいですね。

    ペルーのシカンにて(2009年/写真提供:坂本三佳)
    ペルーのシカンにて(2009年/写真提供:坂本三佳)

    坂本:メキシコのテオティワカン遺跡にも行きました。そこに新たに発見された地下通路を取材しましたが、まだ観光客に公開されていない場所でした。おまけにメディアが入ったのも世界初。5,000年くらい前に人が掘っていった形跡が残っていて、古代人の手形がクッキリと付いているんです。けっこう鳥肌の立つ、ゾクゾクする光景でした。

    ―― 遺跡は実際にその場に行って見ると、壮観ですよね。

    坂本:ペルーのマチュピチュ遺跡に行ったときも感じたんですが、写真で見たことのある場所だけど、実際に登ってみるのでは感じ方がまったく違います。「あの石組みがあんな場所に残っているなんて、なんて奇跡的な光景なんだろう!」と。実際に行ってみると、周りの山に圧倒されるんです。遺跡を守るように360度山が囲んでいて、あの場所もちょっとした「宇宙」だなって感じました。彼らが使っていたであろうお手洗いの跡や水道の跡とか、残っている土器なども、すごくおもしろいです。

    ミステリーハンターは私の青春そのもの。人生の勉強の場です

    ―― 坂本さんにとって「ミステリーハンター」とは何でしょうか?

    坂本:とてもむずかしい質問ですね…。私にとって「ミステリーハンター」とは、世界で唯一無二の職業、私の青春時代すべてです。自分が思っていた以上に難しいお仕事ですが、毎回想像もつかないほどの冒険をさせてもらい、教科書では勉強できないことをたくさん学ばせてもらっています。

    羊祭りの取材でルーマニアのマラムレシュ村を訪問。「古き良き伝統を守る人々とのふれあいが印象的でした」(2011年/写真提供:坂本三佳)
    羊祭りの取材でルーマニアのマラムレシュ村を訪問。「古き良き伝統を守る人々とのふれあいが印象的でした」
    (2011年/写真提供:坂本三佳)
    北極圏に位置するノルウェーのロフォーテン諸島。「『オーロラが出てるよ』と言われ、ふらりと外に出て撮りました。ラッキーでした!」(撮影/坂本三佳)
    北極圏に位置するノルウェーのロフォーテン諸島。
    「『オーロラが出てるよ』と言われ、ふらりと外に出て撮りました。ラッキーでした!」
    (撮影/坂本三佳)

    ―― 世界は、まだまだ不思議に満ちているんですね。

    坂本:ロケの度に「これ以上の内容はないだろう」と思うのですが、常にその上を行く、予想を超える仕事が次に待っています。「今度は何だろう?」というワクワク感をもってお仕事に臨ませてもらっています。

    ―― プライベートで旅することは?

    坂本:それが、ないんです(笑)。プライベートで旅することが今後の課題かな?って思っています。

    ―― 次はどちらに行きたいですか?

    坂本:アメリカですね。私、中南米は多いんですけど、意外と北アメリカにご縁がないんです。ネイティブアメリカンの聖地を巡ってみたいですね。

    ミステリーハンターだから切り取れる、愛と平和に満ちた写真たち

    坂本三佳さん

    ―― 初の写真展開催がもう間もなくですね。ロケ中はどんなお写真を撮ることが多いですか?

    坂本:お年寄りや子供が多いです。それと、その場所の生活がわかるような内容が多いです。スタッフが風景撮りしている合間にパッとカメラを取り出して撮る…といった具合なので、「本当に写真展ができるのかしら?」と不安ではありましたが。

    ―― 今回、どのくらいのストックからお写真を選んだのですか?

    坂本:ストックはもう何千、何万枚と膨大な量でした。写真家さんにも相談をしまして、結局、世界16カ所、約60枚に厳選しました。やっぱり人が見たくても見られないものとか、私だから撮影できたものを選んでいます。意外とプリミティブな感じです。
    スリランカ北部やクロアチアの内戦があった地域など、戦争の影響をうけた場所を取材することも多く、写真を見返してみると、この星で生かされていることへの感謝、命と知恵の連鎖、そして愛もテーマに含まれています。

    ―― それだけ量が多いと、選ぶのが大変だったのでは?

    坂本:最初は「1カ所につき写真1点」という案もあったのですが、自分の中のストーリーがあって、「これを入れるなら、こっちも外せない」って選んでいたら、1点に絞り切れず、複数展示する所も出てきました。そういった写真の中にあるストーリーにも目を向けてもらえたらうれしいです。

    ―― なかでも「これは見てほしい!」というお気に入りの一枚は?

    積み込みを終え、帰路へと向かう塩のキャラバン。ダナキル砂漠にて(撮影/坂本三佳)
    積み込みを終え、帰路へと向かう塩のキャラバン。ダナキル砂漠にて
    (撮影/坂本三佳)

    坂本:エチオピアのダナキル砂漠で撮った、塩のキャラバンです。8日間歩いて採掘場へ行き、塩を採掘して積んで、再び8日間かけて戻っていくんです。私たちは塩の採掘をしていたわけではないんですが、ラクダたちが出発するまで、ずっと砂漠で待っていたんです。もう溶けちゃうんじゃないかっていうくらい暑くって。ちょうど朝から晩まで塩を採掘して、月がポンと空に上った頃、積み荷を背中に載せ終わったラクダたちが一斉に立ち上がったんです。この写真はその瞬間をとらえたものです。このシーンが撮影できただけでも「来てよかった!」と思いましたね。

    ―― ドラマチックな一枚ですね。これ以外も、貴重なお写真が多そうですね。

    坂本:この葉っぱの写真も好きなんです。

    化石の発掘が盛んなイスチグアラスト州立公園は、別名「月の谷」とも呼ばれる世界遺産(撮影/坂本三佳)
    化石の発掘が盛んなイスチグアラスト州立公園は、別名「月の谷」とも呼ばれる世界遺産
    (撮影/坂本三佳)

    ―― エッ!?ここ、どこですか?

    坂本:アルゼンチンのイスチグアラスト州立公園で撮影した、2億3,000万年前のシダ類の化石です。世界でも一番恐竜の化石がゴロゴロ発掘されている場所で、土の中にこの地層がありました。強い風に洗われて出現した地層なんですよ。

    ―― 写真展がとても楽しみです!会期中は在廊される日もあるんですか?

    坂本:はい。東京・大阪ともにギャラリートークを開催しますので、撮影のウラ話はここでお話ししようと思っています。たくさんの方々に足を運んでいただきたいですね。

    Traveler's Item

    ミステリーハンターならではのアイディア満載! 坂本三佳さんの旅のマストアイテム

    坂本三佳さんの旅のマストアイテム

    坂本さんの旅の相棒は《OLYMPUS》のマイクロフォーサーズデジタルカメラ。撮影の合間にサッと取り出せるコンパクトな機種を使っています。そして注目したいのは一見スカーフのような、おしゃれでカラフルなカメラストラップ。
    「『サクラカメラスリング』と言って、杉山さくらさんという方が手作業で仕上げている一点物です。赤ちゃんの抱っこ紐のように幅が広いので、カメラの重さが分散されて、長時間肩や首に掛けていても疲れないんです。スリングの中にはポケットがあって、撮影中はレンズキャップを保管しておけます。鞄の中にしまうときはスリングにくるめばホコリやキズから守れて便利なんです。」

    坂本三佳さんの旅のマストアイテム

    ミステリーハンターという特性上、渡航先は秘境も多いという坂本さん。「両手のあくバックパックとスーツケースが基本スタイル」という荷物は、実にコンパクトにパッキングされていました。ストールやネックピローのほか、パジャマや洗濯セットも必需品なのだとか。「現地で洗濯をするのでランドリーグッズが不可欠です。おすすめは《無印良品》の携帯用ランドリーセット。この角型ハンガーはフックが真ん中じゃなく両端に付いているので、常に水平に干せるスグレモノです」。手ぬぐいも旅のマストアイテム。写真のように文庫本のカバーにしたり、ハンカチ代わりに使ったり、風呂敷のように物を包んだり。「マルチユースで何かと使えるので1枚あると重宝しますよ」。

    坂本三佳(さかもとみか)
    坂本三佳(さかもとみか)

    1980年9月13日生まれ。神奈川県出身
    Every Little Thingのミュージックビデオ「Necessary」に出演後、NHK総合ドラマ『怒る男・わらう女』で女優デビュー。映画『死者の学園祭』、舞台「ぬけがら」(第50回岸田國士戯曲賞受賞作品)など、女優として数々のCM、ドラマ、映画に出演。テレビ『世界ふしぎ発見!』(TBS系列)のミステリーハンターとして2000年より出演し、のべ70カ国を訪問。出演回数は80回に上る。2016年8~9月に東京、大阪で初の写真展を開催する。8月16日には自身初のエッセイ『いのちのわ』(幻冬舎)が出版された。
    公式サイト:https://www.mika-sakamoto.com/

    坂本三佳の世界旅 -Mika Sakamoto’s World Journeys-

    【東京】
    2016年8月19日(金)~24日(水)
    オリンパスギャラリー東京
    11:00~19:00(最終日は~15:00)木曜休館 入場無料
    【大阪】
    2016年9月16日(金)~29日(木)
    オリンパスギャラリー大阪
    10:00~18:00(最終日は~15:00)日曜・祝日休館 入場無料
    写真展の詳細はコチラ

    ライター:Yuki Morimoto
    Hair & Make by Keiko Nishimoto, Photo by Toshiharu Sakai, Special Thanks to Cafe Sanko

    トラベル特集

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