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ボルゾイの歴史

ボルゾイは9世紀以上の歴史を持つ、ロシア原産の犬種。
ロシアン・ウルフハウンドと呼ばれていた時代があり、ロシア貴族が興じるオオカミ猟に使われていました。
視覚(サイト)を使って猟をするタイプのサイトハウンドの一種。
動体視力が良く、細い頭部と顔のおかげで馬のように広い視野を持ちます。
馬に乗った猟師が到着するまでの間に、速い足でオオカミを捕らえて押さえつけておく役割を担っていました。
11世紀のフランスの年代記によると、フランスのアンリ一世のもとに嫁いだ、キーウ大公の娘のアンナ・イアロスラバ女史がボルゾイ3頭を護衛犬として伴っていたと伝えられています。
19世紀末頃からは、ヨーロッパやアメリカでもその高貴な外観から人気を得るようになったようです。
1936年、ボルゾイという正式な名称で世界に知られることになりました。
ボルゾイの性格と特徴

サイズ、毛色と毛質

ボルゾイの成犬の体高は、オスで75~85cm、68~78cmが理想です。
同じサイトハウンドであるアフガン・ハウンドとほとんど同じ大きさですが、アフガン・ハウンドのほうが一般的には少し小さいでしょう。
シルキーで柔らかな被毛が、ボルゾイの優雅な雰囲気を際立たせています。
ボディの被毛はかなり長く、ウェービー。子犬の頃はやや短毛ですが、成長に従って長毛になっていきます。
毛色は、白、黒、グレーなどの単色、ホワイト&レッド、ホワイト&レモン、ホワイトとレッドとブラックなどのトライカラー(3色の組み合わせ)など多種多様。
ただし、ブラウン(チョコレート)とブルーの色調は犬種標準では認められていません。
ボルゾイの平均寿命は?

日本の家庭犬の平均寿命は、約14歳と言われており、サイズ別では小型犬がもっとも長生きすると考えられています。
超大型犬のボルゾイの寿命は、8~11歳ほどです。
ボルゾイのかかりやすい病気

ボルゾイは、以下の病気に比較的かかりやすい傾向があります。
・胃捻転
正式な病名は、胃拡張胃捻転症候群。
ボルゾイは胸が大変深いという骨格構成上の特徴から、胃が拡張して捻転を起こしやすいので注意が必要です。
発症後の処置が遅れると命を落とす危険性もあるので初期症状を見逃さないようにしましょう。
胃捻転を起こしてしまうと、不安そうな様子で室内をウロウロする、吐きたそうにしているのに吐けない、よだれを流すといった症状が現れます。
このような様子が見られたら、胃捻転の可能性があることを動物病院に電話等で伝え、すぐに病院に向かってください。
予防のために重要なのは、食後や水をガブ飲みしたあと最低でも1時間、理想的には2時間は運動をさせないで休ませること。
早食いも発症リスクを高めるので、早食い防止食器などを活用するのがおすすめです。
予防的に外科手術を行うことも可能です。
避妊・去勢手術の際に“胃固定手術”をする飼い主さんも近年では少なくありません。
避妊・去勢手術と同様に腹腔鏡手術を選択すれば、侵襲が少なく愛犬への心身の負担が減ります。
・眼疾患
ボルゾイは、非加齢性白内障(若年性白内障と呼ばれることもあります)と、進行性網膜萎縮症(PRA)を遺伝的な素因で発症する可能性があります。
非加齢性の白内障は、加齢による白内障よりも症状の進行が速いのが特徴。
なるべく早期に発見できるようにしたいものです。
ワクチン接種などの際、動物病院で定期的に眼のチェックを実施してもらってください。
白内障の治療には、病気の進行を遅らせる点眼薬のほか、人間同様に外科手術による治療も効果があります。
PRAは進行性の眼疾患で、最終的には視覚を失います。
外科手術もできず、完治はさせられません。
PRAを発症した場合、目薬によって病気を管理することになります。
・外耳炎
ボルゾイは外耳炎になりやすい傾向にあります。
外耳炎は初期のうちに洗浄を行い、点耳薬による治療を開始して悪化を防ぐのが重要です。
早期に発見できるよう、とくに高温多湿の時期は耳の汚れが増えていないか、耳から悪臭がしないかどうかをこまめにチェックするようにしましょう。
毎日の生活や旅行時のポイント

ボルゾイは運動欲求が高く、毎日1~2時間は散歩が必要です。
欲求不満になると、破壊行動や過剰な吠えなどでストレスを発散しようとするので、ボルゾイの毎日が充実する量の運動を提供してあげてください。
ドッグランで思い切り走らせてあげたり、ドッグスポーツを一緒に楽しむのも良いでしょう。
旅行に伴うのであれば、広々としたドッグランを持っているような宿泊先が最適です。
旅行中は、抜け毛対策も万全に。
ボルゾイはアンダーコートとトップコートを備えるダブルコートの長毛種です。
特に春と秋の換毛期には抜け毛が多くなるので、週に4~5回のブラッシングは必須。
旅先にも使い慣れた大型犬用のブラシを持参して、抜け毛をこまめに取り除いてください。
抜け毛の飛散量を抑えるために、宿泊施設などでは洋服を着せるのもおすすめです。
夏の旅行では、サマーカットにしておくのも抜け毛対策と熱中症対策のひとつになります。
ただし、皮膚が露出するほどのサマーカットは、逆に皮膚のバリア機能を損ねたり、体が熱をダイレクトに受けてしまい熱中症リスクを高めるため、ほどほどにしておきましょう。
ボルゾイの価格相場は?

ボルゾイの価格相場は、10~35万円。
ドッグショーでチャンピオンを獲得した親犬の直子などは、価格が高い傾向にあります。
まとめ

気品あふれる外貌と、大型犬ながら俊敏さが魅力のボルゾイ。
飼い主さんの指示にしっかりと耳を傾けてくれるようにトレーニングをして、豊富な運動量を提供してあげれば、良き家庭犬になってくれるでしょう。
ドッグスポーツや旅のパートナーとして、アクティブに楽しい日々が過ごせるはずです。