
注意したいのは、肉球・口・目・肛門の周辺の被毛

トリミング(被毛のカット)は、愛犬の健康維持に欠かせないケアの1つです。
犬種にもよりますが、被毛をカットせずにいると伸びすぎた毛が目に入ってしまったり、耳の通気性が悪くなって病気やトラブルの原因になってしまうことがありますし、口や肛門の周辺の被毛が伸びると食べかすや排泄物などの汚れが付着しやすくなってしまいます。
また、肉球周辺の被毛にも要注意。
伸びすぎると、フローリングなどで滑りやすくなってしまい、関節に負担をかけてしまうおそれがあります。
伸びすぎた被毛がからまって毛玉になったり、散歩中などに異物をくっつけやすくなってしまうことも。
被毛が伸びるタイプの犬種は、定期的にカットをほどこし、適切な長さに保ってあげることが大切です。
被毛のカットには刃物(ハサミやバリカン)を使うため、愛犬の安全のためにも、原則としては定期的にサロンでプロの手に委ねることをおすすめしますが、事情があってサロンに行けないときなど、万一にそなえて安全に愛犬の被毛をカットする方法をマスターしておくと安心です。
愛犬のトリミングのための基本の道具を揃えよう

愛犬の被毛のカットには、原則としてハサミを使います。
家庭で使う工作バサミなどでは愛犬の被毛を上手く切れず、愛犬にケガをさせてしまうおそれがあるので、必ずトリミング用のハサミを揃えるようにしてください。
トリミング用のハサミには大きく分けて「ボブバサミ」と「すきバサミ」があり、いずれも数千円程度で購入できます。
ボブバサミはいわゆる普通のハサミ、すきバサミは片方の刃が櫛状になっていて被毛を漉きながら自然にカットできるハサミです。
ボブバサミは気持ちよくバッサリ切れるので便利ですが、切り口がパツンと直線的になってしまい、慣れていないと仕上がりが不自然になりやすいのが難点。
初心者の飼い主さんは毛量を調節しながら切れて切り口も自然に仕上がる、すきバサミをメインに使うと良いでしょう。
すきバサミは刃の先端が丸いので愛犬を傷つけにくいというメリットもあります。
ボブバサミは5インチ程度の小さめのものを使い、ヒゲのカットやお尻まわりのカットなど限定的に使用しましょう。
あとはカット時に被毛の流れを整えるコームを1つ用意しましょう。
プロのグルーマーやトリマーはクリッパーという部分カット用のバリカンを使うこともあります。
ご家庭で無理に使う必要はありませんが、もし利用する場合は、まず足の裏など目立たない箇所の被毛のカットに使い、刈り具合を確かめながら慣らしていくと良いでしょう。
バリカンの独特の振動に愛犬が驚いて急に体を動かしてしまうこともあるので、安全には十分注意してください。
安全を左右するのは「カットするハサミの角度」

適切な道具が揃ったら、いよいよカットをしてみましょう。
事前に必ず被毛をブラッシングして、汚れや付着物、毛玉などをとっておくこと。
そのままカットすると異物が当たって、ハサミの刃を傷つけてしまうおそれが。
さらに、傷のある刃で切ると被毛が引っかかってしまい、愛犬に痛い思いをさせてしまうおそれもあります。
カットする箇所が決まったら、愛犬を台の上などに立たせてカットします。
抱っこした状態で行うのは危ないので避けてください。
飼い主さんは必ずカットする自分の手元がしっかり見える位置に立ち、ハサミを持たない方の手で愛犬の顔や体をしっかり固定してカットします。
手元が見えない状態で行うのはケガの原因になるので、絶対に避けましょう。

また、ハサミの角度にも注意してください。
ハサミは必ず刃が愛犬の体に平行になるようにして使うこと(写真左)。
上の写真の右のように直角にして使うと、愛犬が急に動いたときなどにケガをさせてしまうおそれがあります。
特に目にハサミがあたってしまうと、大きなケガの原因になってしまうので、刃を目に向けるような姿勢でのカットは絶対に避けてください。


お尻の部分や足裏の肉球周辺も同様に、刃が愛犬の体に平行になるような形で切っていきます。
飼い主さんが自宅で行うカットは、愛犬の健康管理の一環としてのものであり、デザインを重視する必要はありません。
なるべく時間をかけずにサッと手早く終わらせるようにすると、ケガのリスクも減らすことができます。
ぜひ一度挑戦してみてください。
次回は、自宅で愛犬のシャンプー&ドライをする際のコツをご紹介します。