
興奮した愛犬に咬まれないように応急処置をする秘訣

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自然豊かな旅行地でアクティブに楽しんでいて怪我をした、肉球や爪を損傷した、マダニが寄生した、熱中症になった、川や海で溺れてしまったなどという理由で、滞在先近くの動物病院に駆け込む飼い主さんと犬も少なくありません。
緊急時は、発症直後や動物病院に連れて行く途中で、応急処置をしたほうが良いケースもあります。
ところがその際、痛みなどでパニックになっている愛犬がうっかり飼い主さんを咬んでしまう事故も多発しています。
愛犬が興奮している場合、エリザベスカラーを持参していればそれをすぐに装着しましょう。
旅先でエリザベスカラーがない場合、バスタオルで輪を作り、それを愛犬の背後からすっと首にかけてタオルの根元を抑えます。
そうすれば、飼い主さんが咬まれずに愛犬の応急処置をすることができます。
もちろん、首が締まらないように注意してください。
愛犬への応急処置法5選

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愛犬を救急で動物病院に連れて行くまでの応急処置として、覚えておきたい5つは以下のとおりです。
応急処置(1)ケガをした際の止血法(胴体、脚、足先)
愛犬が怪我を負ったら、まずは傷についた土や砂を流水で流してください。
それから、次のような手順で止血をしましょう。
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手持ちのハンカチやガーゼハンカチ、タオルで傷口を覆います。
それらがない場合は、飼い主さんが着用している洋服を代用してください。 -
その上から、さらにハンカチやヒモ状の物を巻いたり、ガムテープを用いてずれ落ちないように固定します。
その際、血の流れが完全に止まってしまわないように要注意。
きつく巻きすぎないようにしましょう。
なお、傷口に繊維が付着しすぎると動物病院での処置に支障が出るため、ティッシュペーパーを傷口にあててはいけません。
同様の問題をなるべく軽減させるため、傷口を覆うのはタオルよりも綿ハンカチやガーゼのほうが望ましいと言えます。
愛犬と外出する際は、なるべく綿やガーゼの大判のハンカチも持参しましょう。
応急処置(2)肉球や爪の損傷

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愛犬が肉球に傷を負ったり、爪がどこかに挟まって折れたり取れたりすることがあります。
もし肉球から出血していたら、まずは流水で洗ってください。
以前は消毒液などを使用するほうが良いとされていましたが、消毒液により傷口の細胞がダメージを受けたり、バイ菌と戦う善い菌に悪影響が及ぶことがわかってきました。
消毒液がしみて、愛犬が驚いて暴れる可能性もあります。
愛犬の傷口付近の汚れは、流水で洗うのが基本です。
次に、愛犬の傷口にハンカチやガーゼを覆いながら飼い主さんの手で少々圧迫します。
雑菌が傷口に入らないように、そのまま布は靴下のようにして巻いておきましょう。
流血が激しければ、飼い主さんが指で愛犬の肉球や爪の根元を数分間ぎゅっと抑えて止血をしてください。
応急処置(3)熱中症

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ハァハァと荒い呼吸やよだれが見られ、愛犬の身体を触ると熱く感じられたら、熱中症になっている可能性があります。
熱中症は処置が遅れると重症化して命を落とす危険性もあり緊急を要します。
夜間や時間外でも、電話で相談するなどして、救急患者を受け入れてもらえる動物病院に向かってください。
旅先付近の24時間対応している動物病院などは、事前に調べてメモしておきましょう。
動物病院に向かう前に、冷えたペットボトル飲料や保冷剤があれば、ハンカチやタオルで包んでそれを愛犬のそけい部に当たるように抱きかかえさせます。
また、水で濡らしたタオルで愛犬の全身を包んでください。
その身体に、うちわなどで風を送り、気化熱で愛犬の体温を下げられればなお良いでしょう。
マイカーやタクシーを利用して救急外来に向かう際は、車内のエアコン温度設定を可能な限り低くしてもらうのも重要なポイントです。
応急処置(4)マダニの寄生
自然豊かな公園や野山を訪れると、マダニに寄生される恐れがあります。
春から秋にかけてがマダニが活性化する時期ですが、温暖化の影響で近年はまれに冬でもマダニの被害が発生しているので気を抜けません。
マダニは低木や高木の葉に潜み、犬などに寄生する機会をうかがっています。
吸血前のマダニは3~8mm、吸血後は10~20mmほど。
もし愛犬の顔や耳や身体にくっついているマダニを発見しても、指やピンセットで取ってはいけません。
マダニの口器が愛犬の体内に残ってしまうからです。
まず、愛犬に害がないナチュラルなアロマ虫よけスプレーを持っていたら、それをマダニに吹きかけてみましょう。
それで、マダニが愛犬の皮膚から口を放すこともあります。
もしマダニの口器が愛犬にしっかりくっついているようならば、滞在先の近くの動物病院に早めに相談をしてください。
応急処置(5)溺れた時の救急救命法

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海や川やプールで遊んでいた愛犬が溺れてしまったら、水を飲んでいる可能性があります。
水を飲んだと仮定して、以下の手順で応急処置を行ってください。
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飼い主さんが愛犬を持ち上げられるようであれば、腰や脚の付け根をしっかり持って愛犬の頭が下になるようにしながら、軽くゆすったり、胸や背中を叩いて水を出させます。
大型犬などは、頭が下になるようにバスタオルや物で工夫して横向きに寝かせ、背中や胸を少し圧迫して水を吐かせます。 -
愛犬の呼吸が止まってる場合、人工呼吸をしてください。
愛犬を横向きに寝かせ、少し首を起こし、愛犬の鼻に人の口を密着させます。
手で愛犬の口を包むようにして持ち、息を吹き込みます。
その時に愛犬の胸が膨らむことを確認して、愛犬の鼻から人の手と口を離してください。
膨らんだ胸がもとに戻ると同時に、また同様の作業を続けます。
目安としては、5秒に1回ほどのペースで人工呼吸を繰り返しましょう。 -
愛犬の心臓が動いていない場合、心臓マッサージを行う必要があります。
1分間に80~100回、愛犬の胸がぐっとへこむ位の強さで圧迫してください。
圧迫後は、一度手をゆるめ、送り出した血液が心臓に戻る時間を確保するのが重要なポイントです。
動物病院へ運ぶ際の保定のしかた

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応急処置は、あくまでも動物病院に連れて行くまで、愛犬の重症化を予防するために行うもの。
命を助ける可能性を高める応急処置を施したら、愛犬の身体がなるべく動かないようにしながらすぐに動物病院へ。
小型犬であれば、タオルや毛布で愛犬の身体を包んで抱っこで固定すると良いでしょう。
大型犬の緊急移送時に保定する備えとして、全身を包める薄手のシーツなどを日頃からマイカーに積んでおくのもおすすめします。
また、苦痛を感じて暴れている愛犬は、クレートに入れて動物病院に運ぶのもひとつの方法です。
まとめ

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愛犬と旅行するときには、なにが起こるかわかりません。
もし愛犬が急病や怪我に見舞われても、飼い主さんは正しい知識を活かして冷静に救急救命法や応急処置を行うことが大切です。
その行動が、愛犬の命や健康を守ることにつながるでしょう。
万一の際はすぐに診てもらえるように、旅行地付近の動物病院に関して、24時間体制か、夜間救急も受け付けているかなどを事前にリサーチしておくのも重要です。
- メインビジュアルは、イメージ(pixta_67018513)です。
- 写真はすべてイメージです。