ANA Inspiration of Japan

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飛行機に詩を乗せて。
詩人 菅原敏の東ヨーロッパ・ロシア朗読紀行。

2017.09.21ANAオリジナル

詩集とパスポート

『詩集とパスポート』

ヨーロッパ・ロシアへの旅を終えて東京に戻り、程なくして私の新しい詩集が出版されました。各国で校正を重ねてプラハから入稿した『かのひと 超訳世界恋愛詩集』。ゲーテ、ニーチェ、シェークスピアから李白、小野小町、在原業平まで。様々な国に生きた古(いにしえ)の詩人たちが書き残した恋愛詩を、私の視点で新たに超訳しています。切ない恋、苦い恋、祈りのような恋。もしも彼らが2017年に生きていたとしたら、どんな言葉を紡いだのか。そんな思いで過去の詩人たちとまなざしを重ね、彼らの残した言葉に私の詩を重ねた全35編。それぞれの詩と対になった絵は、現代美術家の久保田沙耶さんによるもの。ブックデザインは多方面で活躍中のKIGIさんに依頼しました。
かつて遠い国々で紡がれ、図書館の片隅で埃をかぶって眠っていた古い詩集たち。その中から再び、小さな宝石を見つけ出すように。きっとこの本の中に、あなたの日々に寄り添う一編を見つけてもらえるのではないかと思います。

詩集

私はいつも一冊の詩集をかばんに入れて飛行機に乗ります。往路の、これから始まる旅に心弾ませるとき。旅の途中、誰かを思い出すとき。復路の、旅を終えてどこかしら感傷的な気分のとき。思うままに詩集のページを開けば、いつもよりも旅する心に染み込んでいく。もしもパスポートと一緒にこの本をあなたの旅に連れて行って貰えるなら、それほど嬉しいことはありません。

最後に、今回の旅で出会った全ての人たちに感謝の気持ちを込めて7カ国分の“ありがとう”と、詩集『かのひと』から一編の詩を。この詩は超訳の最たるもので、女流詩人クリスティーナ・ロセッティの原文に即した前半、それに返歌をするように後半部分では私からのアンサーを重ねています。

飛行機に詩を乗せて、さよならよりも柔らかな、空のページをめくれば朝焼け。またどこかの街で会えますように。

いくつかの答え

『いくつかの答え』

重いものは 海の砂と悲しみ
短いものは 今日と明日
はかないものは 花と若さ
深いものは 海原と真実

あなたと出会いわたしは知った


染まるものは 空と体
見えないものは 夜の虹と嘘
やさしいものは 春風と面影
続くものは 水平線と祈り

あなたと離れてわたしは知った

What are heavy?
_Christina Georgina Rossetti

What are heavy? sea-sand and sorrow.
What are brief? today and tomorrow.
What are frail? spring blossoms and youth.
What are deep? the ocean and truth.

『かのひと 超訳世界恋愛詩集』
『かのひと 超訳世界恋愛詩集』
出版社:東京新聞
詩:菅原敏
絵:久保田沙耶
定価:¥1,700(税別)
URL:http://amzn.asia/hpRDJSk
菅原敏(すがわら・びん)
菅原敏(すがわら・びん)
詩人。2011年、アメリカの出版社PRE/POSTより詩集『裸でベランダ/ウサギと女たち』で逆輸入デビュー。執筆活動を軸に、異業種とのコラボレーション、ラジオやテレビでの朗読、デパートの館内放送ジャック、海外での朗読公演など、幅広く詩を表現。Superflyへの歌詞提供、東京藝術大学大学院との共同プロジェクト、美術家とのインスタレーションなど、音楽や美術との接点も多い。現在は雑誌「BRUTUS」「GINZA」他連載も多数。2017年7月25日に新詩集『かのひと 超訳世界恋愛詩集』(東京新聞)をリリース。
以前のインタビュー記事はこちら
URL:http://sugawarabin.com/