「秋田県/青森県・白神山地の釣り旅」

“神秘の十二湖で青い水と悠久のブナ林に触れる”

2日目の朝、宿を出発して向かったのは「十二湖(じゅうにこ)」。
ここは青森県の白神山地西部に位置し、広大なブナ林の中に30を超える大小の湖沼が密集する。
不思議な地形は、江戸時代に起きた大地震の際、辺りの山が崩れて川がせき止められたことで出来上がったそうだ。

大地震によって周囲の川がせき止められ、いくつもの湖沼が出来上がったといわれる十二湖。見晴らしのよい場所から見える湖が12あったのが名前の由来といわれるが、実際は33の湖沼がある

大地震によって周囲の川がせき止められ、いくつもの湖沼が出来上がったといわれる十二湖。見晴らしのよい場所から見える湖が12あったのが名前の由来といわれるが、実際は33の湖沼がある

海岸線の国道から案内に従って山側に入る道をしばらく進むと、周囲の森が急に深くなる。まず現われたのは「王池」。そこからさらに車で進むと、「越口の池」「中の池」「落口の池」と通過し、「森の博物館キョロロ」の広い駐車場に着く。

この周辺がおすすめの散策コースだ。十二湖周辺は、温帯林の基本種であるブナのほかにも、ミズナラ、カツラ、トチ、イタヤカエデなどの落葉広葉樹林が豊富。さらにヒノキアスナロなどの針葉樹、対馬暖流の影響を受けたヤマアイ、エノキ、ヤブツバキ、イイギリなどの暖地性植物も茂っている。白神山地の中でも、暖地系・寒地系の両方の自然林が広がる希少な森なのだ。ブナで知られる白神山地だが、その植生は想像以上に奥行がある。
森の中から聞こえてくるアカショウビンの声に耳を傾けながら、緑に包まれ整備された小道をゆっくりと歩いた。「がま池」「鶏頭場(けとば)の池」といくつかの池を見て歩き、いよいよ十二湖の中でも最も有名な「青池」に着く。

鶏頭場の池で水面のエサを熱心に捕食していたのは40cm近いニジマス。十二湖ビジターセンターの敷地内では、幻の魚・イトウの養殖も行なわれている

鶏頭場の池で水面のエサを熱心に捕食していたのは40cm近いニジマス。十二湖ビジターセンターの敷地内では、幻の魚・イトウの養殖も行なわれている

コバルトブルーに輝く青池。天井からのスポットライトのように日の光が差し込むと、ひときわ鮮やかな色彩を見せた

コバルトブルーに輝く青池。天井からのスポットライトのように日の光が差し込むと、ひときわ鮮やかな色彩を見せた

周辺の湖沼はほとんどが緑色の水をたたえているのだが、この青池の水は他とは明らかに違う鮮やかなコバルトブルー。天気にも恵まれたこの日、深い森の間から池に日が差すと、まるでそこに青い宝石が置かれているような神秘的な光景が広がった。「すごく鮮やかですね!」と秋丸さん。池には魚の泳ぐ姿も見える。ちなみに十二湖では、王池に限ってなら釣りも可能だ。

  • 青池がなぜこのような水の色になるのかは今も解明されていないそう。その不思議さがいっそう神秘さを際立たせる青池がなぜこのような水の色になるのかは今も解明されていないそう。その不思議さがいっそう神秘さを際立たせる
  • 青池にもゆっくりと回遊する魚の姿があった。景色にひかれつつ、つい魚の姿を捜してしまうのは「釣り人のクセですね(笑)」と秋丸さん青池にもゆっくりと回遊する魚の姿があった。景色にひかれつつ、つい魚の姿を捜してしまうのは「釣り人のクセですね(笑)」と秋丸さん

古代からの営みが連綿と続く森は何よりのパワースポット。このあとは前日に引き続き、日本海に注ぐ渓流でフライフィッシングに挑戦する。「なんだかすっかり元気をもらいました。昨日よりもっと釣れる気がしますよ!(笑)」と、2日目の釣りに向けて、秋丸さんの心の準備もすっかり整った。

遊歩道の途中には、200mにわたりブナの巨木が生い茂る「ブナ自然林」がある。どっしりとした巨木を見上げるとおのずと厳かな気持ちになる

遊歩道の途中には、200mにわたりブナの巨木が生い茂る「ブナ自然林」がある。どっしりとした巨木を見上げるとおのずと厳かな気持ちになる

保水力に優れたブナは豊かな森の象徴。その実は動物のエサにもなる。そっと身を寄せて自然の力をおすそわけしてもらった

保水力に優れたブナは豊かな森の象徴。その実は動物のエサにもなる。そっと身を寄せて自然の力をおすそわけしてもらった