2025/09/19更新
ボーイング777のギアには、たくさんの特徴があります。4つのエンジンを持つボーイング747(通称ジャンボジェット)は、前脚1本/主脚4本です。ボーイング777は、ボーイング747に匹敵する大きさですが、重量軽減のために複合材(※1)が多用されたことで、前脚1本/主脚2本で機体を支えることができています。この大きな機体を地上において小回りを利かせるために、従来の前脚に加えて主脚のうち一番後方の車軸にも、ステアリング機構を装備しています。
ブレーキにも特徴があります。ボーイング777が装備するカーボン製ブレーキは、大きな制動力が働く特徴がありますが、合計で12個もあるブレーキが一斉に作動してしまっては、お客様の不快感につながります。そこで低速走行時は、所定の個数しかブレーキが作動しないように設計されているのです。
ボーイング777-300ERの主脚には、SLGアクチュエーター(※2)が装備されます。離陸時に主脚前方の車軸を持ち上げ(アクチュエーターが引っ込む)、相対的に後輪が地面を蹴りだすような形を形成することで、重い機体であっても機首上げ操作で尻もちをつかずに迎え角を確保して離陸することができます。
※1 複合材:2つ以上の材料を組み合わせて複数の特性が得られる素材の総称
※2 SLGアクチュエーター:Semi-Lever Gearの略で、油圧エネルギーを機械的な動きに変換し、主脚の長さを増加させる装置


↑赤丸で囲んだものが主脚のステアリング機構。
他にもホイールからのぞいたブレーキ、そしてそれらを作動させる油圧の配管が見える。
※3 ボーイング777-200の写真を一部加工して掲載しています。