2025/10/22更新
基礎訓練(約1年半~2年)
地上配置中の様々な経験を経て、いよいよパイロットになるための訓練に入ります。入社時期により訓練を行う場所は様々ですが、現在はAcron Aviation社に訓練の一部を委託する形でイギリス・ロンドンとアメリカ・フロリダ州で行なっています。
訓練中は一緒に訓練を受ける仲間と共に長い海外生活をすることになりますが、OFFの日は観光に出掛けたり運動をすることで息抜きをしながら生活しています。
①座学Phase
自社養成パイロットとして採用された訓練生は、飛行機の操縦経験も知識も全くない状態からスタートする人がほとんどです。そのため、まずは飛行機を飛ばすために膨大な量の知識を習得します。現在はロンドンで座学訓練を行っており、授業も全て英語で行うため、語学力も事前にある程度は必要になってきます。
②フライトPhase
フライトphaseからはアメリカに場所を移して、フロリダ州北部のSanford空港に隣接する訓練所で行います。
現地教官の指導の下、単発機と呼ばれるPiper Archerの飛行機を使って訓練を行います。1回90分から120分のレッスンを12回と審査フライト(通称”Check Flight”)に合格すると、訓練生1人で飛行機に乗り組んで離着陸をするSolo Flightができるようになります。
自分自身の力だけで初めて飛行機を飛ばす1st Solo Flightは、私たちパイロットにとって最も印象深いイベントの一つです。
その後はNavigationと呼ばれる、街や山などの目標物を目印にしながら目的地の空港まで飛行する訓練を実施します。パイロット用の地図に線を引き、また上空の風の向きや強さを参考に事前に飛行する針路を計算して準備することが必要です。
当日の天候によって行き先は様々ですが、東は北大西洋海岸近くのMelbourne Orlando空港、南はSanfordから約200キロ離れたPunta Gorda空港などフロリダ州内の様々な空港へ飛行しています。Navigationの訓練中には、目的地の変更に伴う針路の再計算、飛行中のエンジン停止を想定した訓練、自機の現在地を見失った場合の対処などの不測の事態に対応する訓練も並行して行います。
さらに訓練が進むと計器飛行という、コックピット内の計器のみを頼りに飛行をする訓練を行います。これにより地上の目標物が見えない雲の中でも安全に飛行することができるようになります。
パイロットとして必要な操縦能力を身につけた後、双発機と呼ばれるPiper Seminoleという機材を用いて、片方のエンジンが止まった時や様々な機材故障が起きた時の対応を訓練します。
必要なカリキュラムを全て終え、最後のCheck Flightに合格すると晴れて旅客機のパイロットとして必要なライセンスを取得することができます。