2025/10/22更新
FFS(Full Flight Simulator)で基本的な操縦技術や手順を習得した後は、中部国際空港で実際のボーイング777(以下、B777)に乗り組んで離着陸訓練を行います。限られた時間の中で数多くの離着陸を経験するために、Touch and Go(着陸後に止まることなくそのまま離陸すること)を行い、空港の周りを4〜5分周期で周回し続けます。ここでは、常に変化する風の操縦への影響を感じつつ、FFSで習得したことを活かしながら実際のB777での操縦技術を磨きます。


中部国際空港での離着陸訓練の様子
中部国際空港での離着陸訓練を終えた後は再びFFSでの訓練に戻り、離陸滑走中の不具合による停止操作の訓練や、飛行中に片方のエンジンが停止してしまった場合の訓練、航空機のシステム不具合が起きた時の訓練などを重ねていきます。これまでの海外での訓練とは異なり、日本の航空法やANAの運航マニュアル等の知識も必要となるため、操縦技術だけでなく広範囲に及ぶ知識の習得が求められます。
FFSで行われる最後のCheck Flightに合格するとB777のライセンスを取得することが出来ます。
路線訓練(約3~4ヶ月)
B777のライセンスを取得した後はお客様を乗せた旅客便に機長、副操縦士、訓練生の3名で乗り組み路線訓練を行います。
路線訓練では機長と副操縦士の監督の下、基本的にPM業務(Pilot Monitoring)と呼ばれる業務を担当します。具体的には各種スイッチの操作、管制官との無線通信業務、飛行状態と操縦操作の監視、客室乗務員との情報交換など操縦以外の多岐に渡る業務を行います。また、路線訓練ではB777が就航する様々な空港に飛行することになり、それぞれの空港にあるルールや離着陸方式、周辺の地形などを事前に把握することも求められます。
基本的に1日に2〜3便を乗務することになるため、日によってはステイ(就航先の近くのホテルに泊まること)になることもあります。
ステイ中は各地の美味しいものを食べに行ったり、近くの温泉に行ったりと人により様々な楽しみ方をしています。
路線訓練でも今までの訓練同様、最後にはCheck Flightがあり、これに合格すると晴れてANAのB777副操縦士として乗務ができるようになります。