
ANAは、航空会社の格付けを行う英国の機関・SKYTRAX社から、2017年の今年で5年連続となる、5つ星の評価を獲得しました。世界で9社のうちの一社、国内では唯一の5つ星エアラインとして、どのような取り組みを重ね、どんな思いで業務に臨んでいるのか——。
担当者へのインタビューを通じて、お客様にお届けしたいと思います。

この日、羽田空港にあるANAの会議室に集まったのは、部署の垣根を越えた様々なスタッフだった。国際線の食器のサイズや、ラウンジで出す食事の内容。あるいは「パスタを朝食で食べる国があるのかどうか」といった、日本人にはなかなかわからない国外からのゲストの目線についても、議題に挙げて意見を交わす。それぞれの立場から、忌憚のない意見が交わされている。

この日、羽田空港にあるANAの会議室に集まったのは、部署の垣根を越えた様々なスタッフだった。国際線の食器のサイズや、ラウンジで出す食事の内容。あるいは「パスタを朝食で食べる国があるのかどうか」といった、日本人にはなかなかわからない国外からのゲストの目線についても、議題に挙げて意見を交わす。それぞれの立場から、忌憚のない意見が交わされている。
「SKYTRAXによる評価などをベースに、どこをどう改善できるかを、様々な角度から検証する会議なんです」
「良い」という評価にはどう伸ばせばさらに良くなるのか、そうではない評価はどこが至らないかを具体化して、サービスに還元するための仕組みなのだ。
「この会議を通じて、たとえば『機内ではこういう取り組みをしているんだ』とか、『94空港ある国内外の空港ではどのような改善をしているのか』といった気づきがありました。昨年度は地上・機内どちらのシーンでも可能な場面ではお客様のお名前をお呼びするなど、ANA共通のサービス基準に改善が出来ました。一緒に考えられる機会は貴重ですね」
たくさんの細かい検証項目があり、その都度、様々な角度から見直しているのだという。たとえば最近では、国際線のおしぼりをトレーに乗せて提供、またウェルカムドリンクのカップを改良するなど、多岐にわたる。
「海外のお客様から、洋食のコース立てについてご意見を頂戴しました。機内でご提供するサービスはひとつひとつ工程が決まっているので、何かを変更することは意外に大きなハードルなのです。でもグローバルを見据えたときには必要だと判断し、様々な部署と議論を重ねて実現したんです」
機内でできることは限られている。そのなかで何を優先すべきか、そしてどれだけきめ細やかなおもてなしができるかを考えているのだ。

「日本らしいおもてなしのひとつは、お客様の行動に気づいて、先回りしてサービスを提供することだと思うんです。乗り継ぎで利用される海外のお客様にはANAとの接点が多くないかもしれませんが、サービスを通じて、少しでも日本のことを好きになってもらえたらと思います」

「日本らしいおもてなしのひとつは、お客様の行動に気づいて、先回りしてサービスを提供することだと思うんです。乗り継ぎで利用される海外のお客様にはANAとの接点が多くないかもしれませんが、サービスを通じて、少しでも日本のことを好きになってもらえたらと思います」
ANAがサービスの指針として挙げるもののひとつに「ジャパンクオリティ」がある。日本のエアラインならではの行き届いたおもてなしをする、ということだ。
「海外の空港では、どうしても地元の航空会社などに比べて存在感を発揮できないため、ANAらしさを発信しづらい環境ですが、たとえばパスポートのお返しの仕方、お名前の呼び方ひとつで、印象が変わると思うんです。これまでは海外のエアラインに追いつけ追い越せとやっていましたが、国際線事業でも経験を重ねるにつれ、ANAならではのジャパンクオリティのようなものが生まれているんじゃないかという気がしています」
「『日本らしいおもてなし』というのは、日本人なら比較的すぐ想像がつきますが、外国人にはどういうものかなかなか理解が難しいですよね。海外空港では、多くの外国人がANAのスタッフとして働いており、ANAのブランド価値のひとつである日本らしいおもてなしを体現しています。そういった海外のスタッフにもジャパンクオリティとは何かが浸透するような工夫を、知恵を絞って凝らしていきたいと考えています。一方で、海外でよしとされているものの、日本では認知度の低いサービスも、積極的に導入していきたいです」

評価を得たサービスだけにあぐらをかかず、小さなことをコツコツと見直し、積み上げてきたことが、日本で唯一5年連続5つ星に繋がったといえるのかもしれない。

評価を得たサービスだけにあぐらをかかず、小さなことをコツコツと見直し、積み上げてきたことが、日本で唯一5年連続5つ星に繋がったといえるのかもしれない。
「獲得の一報を聞いたときは嬉しかったですね。よく“グローバル化”といいますけど、グローバルという名前の国や人種があるわけではありません。それぞれの国が持つ、文化や考え方があるというだけなんだと思います。グローバルを見据えたサービスを考えたときには、ひとつひとつの文化を理解して、対応していくことが大事だと考えています」
「SKYTRAXからの指摘はすごく新鮮で、気づきがたくさんあるんです。それに加えて、お客様の声や、アンケートやインタビュー調査といった様々な視点から、私たちがやるべきことは何か? を問いながら、サービスの改善に努めていきたいですね」
来年も獲得したいですか? と問いかけると、この場にいる全員が頷いた。その裏にある思いとは、ただ「高い評価を得たい」…ということではなく、「サービスの質を向上させたい」という、共通した熱意なのだ。