Interview
メンター・メンティーは姉妹関係
仕事だけの関係を超えて、心を通じ合わせること
Chapter 2
「障がい」は個性、特別扱いされない風土

腎臓障がいで、普段気をつけなければいけないことはありますか。
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兼子
日常生活にはほとんど支障がないのですが、塩分とタンパク質の制限があるので、食品の成分表を見ながら買いものをしたり、お弁当を持ってきたりしています。
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引地
仕事も忙しいはずなのに、いつも美味しそうなお弁当持ってきていますよね。他にも、兼子さんから、入社直後に重労働や走り回ったりする作業は避けたいということを伝えてもらっていました。チームのメンバーがそのことを認識して、重い荷物は周りが持つようにする、走らせないように余裕をもったスケジュールにする、など自然に配慮していると思います。
社内で障がいについて共有する機会があるのですか。
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引地
ANAでは、「私のトリセツ(取扱説明書)」と呼ばれるものを作成し、入社後に自分の障がいや特徴をチームと共有する機会を作ることができます。伝えたい範囲で構わないので、全て話す必要はありません。
私たちの場合は、入社後すぐに兼子さんと私、上司の4人で話し、その後他のチームの皆にも本人の口からどのように伝えようかという相談をしました。 -
兼子
私は周りの方にも知っていただけていると有難いなと思っています。知っていただけていることが安心につながるので。もし「私のトリセツ」がなかったら、自分から共有する場を持てなかったと思うので、今改めて振り返ると、共有する機会があってよかったと思います。
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引地
体力面や身体的特徴で配慮することはあるものの、障がい者だからと、特別視はしていません。逆に残業が続かないようにする配慮は、同時に自分たちの効率の見直しにも繋がることもあり、他のみんなの仕事量や分担についても向き合えた良い機会だったと思います。
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兼子
日頃たくさんお気遣いをいただいていますが、私が障がい者だから、という理由ではなく、周囲に自然な形でサポートいただいていることは本当に有難いです。

障がいという面で、会社または同僚に「もっとこうなって欲しい」と思うことはありますか。
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兼子
私の場合はですが、周囲の方に知ってもらっているだけで精神的な負担が少なくなるので、頭の片隅に「こういう人もいるんだ」と思ってもらえると嬉しいな、とは思います。
半休を取って月に一度通院をしたり、スーパーフレックス制度を利用したりして、勤務時間の調整を自分で行えるので、勤務は負担にはなっていません。
※スーパーフレックス:コアタイム規定のない勤務態勢〈部署規定あり〉ただ、入社してすぐの頃、足が痛くなってしまったことがありました。麻衣さんに「足を伸ばせるスペースはありますか?」と尋ねたら、麻衣さんがほかの先輩方に事情を説明してくださり、みなさん協力してくださって、空いている会議室を見つけてくださいました。休憩時間や急に体調が悪くなってしまった時の対応など、柔軟に配慮してくださる雰囲気があると感じます。障がいに限らず、色々な人がいる中で、個々の特性を活かす風土がある、という印象でしょうか。
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引地
私達では知りえないような負担や不安はあるかもしれないので、積極的に知っていきたいと思います。私の場合は、一緒に働く仲間として、コミュニケーションの中で色々汲み取ろうという努力はしていますが、「こういうことを知って欲しい」と、どんどん発信してもらい、私たちもどんどん変われたらいいな、と思っています。