Interview
完璧じゃなくてもいい
チームで空を飛ぶ!ANAパイロットの魅力
Chapter02
分からないこと・知らないことは”さらけ出す”
山野さんは、”分からない時には素直に『分からない』と相手に伝えることを大切にしている”そうですが、この点について詳しくお聞きしたいです。
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山野
そうですね。航空大学校に入ってからは”同期みんなで勉強”というのが当たり前の環境になったんです。自分がここ分からないとか、フライト訓練で悩みがあるとか、そういう時に同期に教えてもらっても1回では分からないから『もう1回教えて』って食い下がって本当に理解するまで聞かないと、周囲のためにも自分のためにもならないんです。それに気づいた辺りから、自分の”分からない・知らない”ことは、ちゃんと周りにさらけ出して教えてもらおうというスタンスが出来上がりました。
副操縦士が、機長が『こうするね』とおっしゃったときに知ったかぶりをしてしまうと、何かあった時にアシストできず不安全に繋がると思います。『すみません、それ知らないです』『ちょっと理解できてないです』ということは素直に言うように、日々心がけています。
島本さんは機長の立場ですけれど、山野さんのように”自分が分からないことを言う・伝える”副操縦士の方をどう思いますか?
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島本
やりやすさという意味では、自分から『分からない』と素直に言うことが、ある意味の生命線みたいな部分だと思っていますし、わからないまま飛ぶことは、安全運航を維持するという観点で良くないと思っています。機長と副操縦士の関係性では仕事上やっぱり壁ができやすいんですよね。機長が持つ法的な権限や責任などの影響もありますけど、機長に対しては周りがすごく気を遣うんですよ。
飛行機に不具合が発生している状況や天気が怪しいなど、状況が悪い時に壁ができていると、こちらも必要な手助けをしてもらいにくかったり、相談しにくいことがあります。山野さんがさっき言ったみたいに、私のほうでも間違えていることや気付いていないこともあります。そういう時に、一言二言アドバイスや『それ違いますよ』って言ってもらいやすい空気を作るのが大事だなと思っています。
機長として『ちょっと場が和めばいいな』と思って、ふざけるまではいかないですけど、”要らんこと”を言ったりすることはあります。つい最近、山野さんと2回同じフライトだったんですが、出発前に、山野さんがガチガチやなと思って、ゲート前のコーヒー屋に連れて行きました(笑)。
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山野
そうなんです。2回ともコーヒーごちそうになりました(笑)。
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島本
『コーヒーは好き?』みたいな感じで、少し硬い雰囲気を柔らかくすると、フライト中は柔らかい雰囲気になってお互いに相談や確認がやりやすくなり、チームとして動きやすくなると思っています。
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山野
初めて一緒に仕事する機長はやっぱり、どんな方かわからないので緊張していきます。私は、もともとB6(ボーイング767)に乗務してたんですが、B8(ボーイング787)に移行したときに、慣れない環境に対して少しストレスがあったんですけど、島本さんと初めてご一緒したときは、すごい楽しかったんですよ。
機長と副操縦士の間での心理的安全性というか、信頼関係を築く難しさは感じますか?
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山野
相手の方の”人となり”を引き出したくて話しかけたいのですが、やっぱり仕事中なのもあって、『どこまで踏み込んでいいのかな』と悩んだりします。いかに自分から近づいていくかを考えないと、逆にすごく気を使われて終わってしまうこともあり、難しさを感じます。気まずくなって終わるみたいなこともありますから、この点は自分の課題ですね。