ビジネスと人権に関する有識者との対話
2022年度の主な活動
ビジネスと人権に関する海外有識者との対話
ANAグループは、2022年10月、「ビジネスと人権」分野で活動する有識者の皆様とオンラインによる意見交換を行いました。

テーマ:ANAグループのビジネスと人権に関する取り組みの進捗について
日程:2022年10月17日(月)16:00-17:40
有識者(オンライン参加)
- World Benchmarking Alliance
Sofía del Valle, Engagement Manager, Social Transformation
Talya Swissa, Research Project Manager - UNDP
Sean Christopher Lees, Bangkok Regional Hub Business and Human Rights Specialist
全体コーディネート
経済人コー円卓会議日本委員会
石田 寛氏(事務局長)
ANAホールディングス株式会社
宮田 千夏子(上席執行役員 サステナビリティ推進部長)ほか
有識者からの主なご意見
今後配慮していくべき新たな人権テーマとそのリスクについて議論した。
プライバシーに配慮した顧客情報の活用について
- プライバシーに関する要件として、会社としてプライバシーの権利を守るというコミットメント、および、個人情報の収集・共有のルールやアクセスについて規定したグローバルに公表されたステートメントが必要である。プライバシーステートメントにおいては、次の3点が重要である。
- どのような個人情報を収集するか明確になっていること
- 収集した個人情報が誰(第三者)と共有されるか明確になっていること
- どのような個人情報が収集されたのか、ユーザーが知ることが出来ること
- 会社が収集した情報を利用し、政策や規制に対する意見形成を行ってしまうと情報の乱用になるので注意が必要である。
バリューチェーンに沿った人権および環境課題の特定
- ANAグループが生産から販売まで携わっている特定の物品をまずは選定した上で、バリューチェーン上の各工程において想定される人権および環境課題の特定をすることは、正しいアプローチである。ただし、人権デューディリジェンスの視点から、課題を選ぶ際に以下3つの原則を考慮する必要がある。
- どれくらいの数の人が影響を受けるのか
- どれくらい影響が重大なものなのか
- どのような是正措置が適用されうるのか
- 気候変動への対応と人権デューディリジェンスを一緒に考えるときには、会社がどのような影響を気候変動に与えているのかということを理解し、それをビジネスモデルに反映させることが必要である。
- 気候変動に関しては、CO2排出だけでなく、メタンも考える必要がある。メタンの削減を調達方針に入れて取り組んでいる会社もある。また、事業で使われる航空機以外の乗り物に関して、燃費の向上を進めることなども、サプライチェーンにおける取組みの一つである。
- バリューチェーンの流れの中で、まず契約しているビジネスパートナーのリスク評価を行うことが重要である。ビジネス関係が結ばれた後には、ANAのポリシーに則った形で事業を行ってもらうことが重要であり、その会社が契約するサプライヤーに対しても同じことを要求してもらうことが必要である。会社の人権ポリシーを遵守した場合に、サプライヤーにインセンティブ(契約金増額、注文増、契約延長等)をつけると、ビジネスの意思決定の中で人権尊重の取り組みを推進していくことが出来る。