2016年のICAO(国際民間航空機関)総会で、2021年以降はCO2排出量の増加を伴わない国際航空の成長スキーム「CORSIA(Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation)」が採択されました。
ANAグループでは、航空機からのCO2排出量を抑制するため、航空機に関わる技術革新、オペレーション上の改善、バイオジェット燃料の使用、排出クレジットの活用などの取り組みを推進しています。

環境をめぐる世界情勢

ICAOの動き

ICAOは国際航空にて2021年~2050年まで年平均2%の燃費効率を改善するグローバルな目標を達成するため、2010年の総会で2020年以降は温室効果ガス(CO2)の排出量を増加させない「CNG2020」を採択しました。

グローバルなCO2削減目標

  • 燃料効率を毎年2%改善
  • 2020年以降総排出量を増加させない(CNG2020:Carbon Neutral Growth 2020)

ICAOが提唱する目標達成の4つの手段(Basket of Measures)

  • 新技術の導入(新型機材等)
  • 運航方式の改善
  • 代替航空燃料(SAF: Sustainable Aviation Fuel)の活用
  • 市場メカニズムの活用(CO2排出クレジットの購入)

CORSIAの導入

2016年ICAO総会で、2021年以降はCO2排出量の増加を伴わない国際航空の成長スキーム「CORSIA(Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation)」を採択。

IATAの動き

IATAはICAOの取り組みに対応し、3つの具体的な行動計画を策定しました。

  • 2020年カーボン負荷ゼロの成長
  • 2009年から2020年まで、燃費効率、年1.5%の向上
  • 2050年までに2005年CO2排出量対比50%

IATA ビジョン(概念図)

ANAグループの航空機からのCO2排出量の抑制に関わる中長期目標と実績

ANAグループは環境リーディングエアライングループを目指し、CO2排出の抑制に向けた取り組みを継続しています。

目標

  • 2020年度までに2005年度比で、RTK(有償トンキロ)当たりのCO2排出量を20%削減(年率平均1.5%の改善)
  • 全体の単位あたりCO2排出量を年率平均1.5%の削減

具体的な取り組み

ANAグループでは、航空機からのCO2排出量を抑制するため、航空機の運送にかかわる改善に取り組んでいます。2014年からは、グループ一体での実施・見える化をテーマにフレームワークを刷新し、CO2排出量の抑制に取り組んでおります。

航空機の技術革新

省燃費機材・エンジンの導入
2019年度末時点で、グループの保有機材の87.5%がボーイングB787型機やエアバスA320/A321neo型機を中心とした燃料効率のよい低燃費機材を導入しています。
また、改良型の新型エンジンを装備した最新鋭機も積極的に導入しており、ANAグループが保有する航空機のエンジンは、すべてICAO条約第16付属書の排出基準をクリアしています。

ウィングレットの装着
ウィングレットとは、主翼の端に取り付けられる小さな翼の一つです。装着により、飛行中に発生する空気抵抗を減らすことができます。長距離飛行の767-300ER型機では約5%の燃費向上効果があり、1機あたりのCO2排出量を年間2,100トン削減できます。ANAグループは、2010年に国内航空会社として初めてボーイングB767-300ER機にウィングレットを装着し、その後も順次装着を進めております。

次世代塗装システムの採用
従来のcoatingと比べ、耐候性に優れ、揮発性有機化合物の含有量が少なく、軽量化にもつながる次世代ペイントシステムを採用しています。

客室シートの軽量化
ANAグループは、トヨタ紡織と共同で国内普通座席のシートを開発しました。
ANAグループの航空会社としてのノウハウとニーズを、トヨタ紡織は長年に渡る自動車用シートの開発で培ってきたもの作り技術を生かして、「お客様の心に残るひとときを」をコンセプトに、どなたでもリラックスできるシートを開発しました。
今回のシート開発に当たっては、快適さを追求しながら客室重量の軽量化に対しても挑戦し、従来のシートと比較して、1機あたりの195kgの軽量化を図ることに成功しました。この軽量化により、1機あたり年間で約15KLの燃料削減となります。

オペレーション上の改善

エンジンの水洗い・試運転
ANAグループでは、専用の車両を独自開発し、エンジンコンプレッサー(圧縮機)部分の洗浄を行っています。エンジンは使用するにつれて、コンプレッサー部分に微小なほこりが付着し、燃費が悪くなるため、定期的な洗浄でエンジン性能を回復させています。
また、試運転作業の見直しや効率化を行い、試運転で使用する燃料年間1%削減することができました。

着陸後の逆噴射抑制と片側エンジン停止での地上走行
安全を確保しながら着陸時の逆推力の使用を減らし、エンジン出力を低減することで、CO2排出量と騒音を低減しています。着陸後の地上走行時、片側エンジンを停止する運用を行うことでCO2排出量を削減しています。これらは、空港、気象条件、路面状況、航空機の状態、管制塔からの指示などの要件を機長が総合的に判断して実施しています。

ICAO離着陸サイクル
着陸時の高度3,000フィートから、離陸上昇時の高度3,000フィートまでを離着陸サイクルとして、エンジンをこの条件で運転し、各排出量を計測するものです。エンジンテスト条件は下表の出力状態および作動時間が条件となっています。

ICAO離着陸サイクル
出力状態 定格出力(%) 作動時間(分)
離陸 100 0.7
上昇 85 2.2
下降 30 4.0
地上滑走 7 26.0

Normal Climbの実施
離陸上昇時の燃料消費を抑制するため、加速を開始する高度を通常の3000フィートから1500フィートにし、フラップを収納するタイミングを早める事で、機体の抵抗を減らしトータルの燃料消費を削減しております。

エネルギー効率の良い降下法の推進
連続降下アプローチ(CDA)は、水平飛行の期間を伴う段階的な降下ではなく、降下の開始から最後のアプローチポイントまで、最小のエンジン推力で航空機が連続的に降下する方法です。この方法は、CO2排出量と騒音の両方を減らすのに効果的です。ANAグループでは、関西国際空港で深夜・早朝便への導入を開始し、関係機関と連携しながら、対象空港への展開を進めています。

省エネ降下方式のイメージ図

航空機給水量の適正化
機内に搭載する飲料用の上水は、国際線、国内線ともに路線に応じて最適量を給水するよう基準の見直しを行い、航空機を軽量化することで燃費の向上を図っています。

機内搭載品の軽量化
航空機の軽量化施作だけでなく、機内に搭載している備品についても種々の工夫を行いながら軽量化につとめることで燃費向上に貢献しています。具体的には「翼の王」(機内誌)、「Sky Shop」(ショッピングカタログ)の紙質変更やページ数削減による軽量化、客室乗務員からのレポートをもとに食器やお飲物などの搭載量の見直しや使用率の低い備品を取り下ろすなど細かい対応を実施しています。また、客室乗務員のマニュアルを紙からi-Padに変更することで、70%減量となりました。

SAF(Sustainable Aviation Fuel)の使用に向けた取り組み

SAFの使用について、世界各国で研究・開発や導入に向けた準備が進められています。日本においても、「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けたSAF導入までの道筋検討委員会」が設立され、ANAグループは、経済産業省、国土交通省、定期航空協会、石油連盟、NEDO*1、空港内給油事業者とともに、課題の解決に取り組んでいます。また、ユーグレナ(微細藻類)などの原料から精製されるSAFの開発、実用化に向けてユーグレナ社へ支援しています。

  1. *1.国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

CORSIAの排出量抑制に向けた手法(排出クレジットの購入)

CO2排出クレジットの購入は、今後見込まれる航空需要の成長への対応と、CO2排出量の抑制というICAOでの合意を同時に達成するために今後活用の拡大が見込まれます。
具体的には、2020年以降はCO2排出量を増加させることができないため、国際航空以外の業態で増加したCO2排出量を購入するものです。航空という限られた分野のみでCO2排出量の抑制を考えるよりも、地球環境全体で効率的にCO2排出量の抑制を実現できると考えています。ANAグループでは、この市場メカニズムも活用して効率的なCO2排出量の抑制を実施していきます。

実績

2019年度 有償トンキロあたりのCO2排出量実績

2019年度有償トンキロ(RTK)あたりのCO2排出量実績
ANAブランドとして目標値1.03KgCO2/RTKに対し、1.01KgCO2/RTKを達成

2019年度 国内線 CO2総排出量実績

2019年度国内線CO2総排出実績
ANAブランドとして目標値440万トンに対し、400万トンを達成

ANAカーボン・オフセットプログラム

ANAグループでは、環境保護、地球温暖化の防止に関心の高いお客さまからの声にお応えして、ご搭乗いただく航空機が排出するCO2相当量をオフセット(埋め合わせ)できる選択枝として「ANAカーボン・オフセットプログラム」を提供しています。
支援対象として、一番厳しい認証基準(J-VER、ゴールド・スタンダードCDM/VER)による地球温暖化防止プロジェクトを選定しています。

石炭やガソリン、灯油などの化石燃料を燃やすと、大気中に二酸化炭素(CO2)を排出します。人為起源の温室効果ガスの中で一番多くを占めているの はCO2です。人や物を運ぶ際に、化石燃料を使用している交通機関は全てCO2を排出しています。ブルードットグリーンはCO2排出量の算定を通し て、CO2排出量を可視化し、排出量削減の機会をご提供いたします。このプラットフォームは、飛行機の乗客に、空の旅で避けることので きないCO2排出量を埋め合わせるオプションを提供し、お客様が地球温暖化防止に貢献することを可能とします。CO2排出量は、科学的な根拠を持って算出 され、認定された気候保護プロジェクトに直接貢献します。カーボン・オフセットは、他の場所で実施された温室効果ガス削減事業で創出された削減量によって埋め合わせするという考え方です。これにより排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に間接的に投資することが可能です。日本のプロジェクトとカンボジア、中国のプロジェクトの3種類からお選びいただけます。海外の地球温暖化防止プロジェクトは、主に発展途上国で実施されていますが、その理由は、CO2排出の削減がしやすいことや、投資された金額に対して、より大規模に排出削減できることがあげられます。

お客様ご自身の排出量を路線ごとに算出し、クレジットカード決済で、過去にさかのぼってのオフセットや、今後の予定にあわせて事前にオフセットなど、気付いた時にいつでも気軽にご参加いただけます。

ANAカーボン・オフセットプログラムへはこちらからご参加ください。

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