「素材を活かす」場所。ANA青島ファクトリー

2026/09/01

宮崎県の豊かな自然に囲まれた青島ファクトリー。

今回は、同ファクトリーの「手仕事へのこだわり」と、「一人ひとりの個性が輝くモノづくり」についてをご紹介します。

「ANA青島ファクトリー」とは?

宮崎県宮崎市にある「青島ファクトリー」は、ANAグループの特例子会社であるANAウィングフェローズ・ヴイ王子株式会社が運営する製造拠点です。

主に「紙漉き」と「木工」の2つの工房からなり、25名の社員うち、約88%は何らかの障がいを抱えながら、それぞれの個性を活かして活躍しています。

2016年の開所から今年で10周年を迎え、「ANAグループがお届けする、紙と木を活かした製品。青島から世界へ」を合言葉に、温かみのある様々な製品を制作・販売してきました。

その取り組みはみやざきリサイクル製品*1「生活関連用品」を県で最初に受賞するなど、高い評価を受けています。

まさに、ANAグループにおけるSDGsとDEIの取り組みを象徴する場所となっています。

  • *1:「みやざきリサイクル製品認定制度」は、廃棄物を有効な資源として再利用したアイテムや、資源の効率的な活用を追求したプロダクトを対象に、宮崎県が定める品質・安全性の厳格な基準をクリアしたものを認定する仕組みです。

焼酎パックが生まれ変わる、極上の手漉き紙

ファクトリーの中心となる業務の一つが、伝統的な手法による「紙漉き」です。

原材料には、酒造メーカーなどの製造過程で規格外となった、焼酎パックが使われています。

アルミ・パルプ・フィルムの三層構造になっているパックから、内側の白いパルプのみを手作業で1枚1枚、道具を使って丁寧に剥ぎ取っていきます。

こうして抽出されたパルプを細分化し、攪拌(かくはん)機でペースト状にすることで、いよいよ紙漉きの工程が始まります。

原料の焼酎パック
パルプを剥がす作業
細分化したパルプ
攪拌後の状態

漉き槽(紙をすく原料を水に溶かして入れておく長方形の水槽)にペースト状のパルプを入れてさらに水で溶かし、ダマにならないように迅速にかき混ぜ、縦横均一に振って水平を保ちながら水を切っていきます。

その後、不織布やバキュームローラーで水分を絞り切り、1日かけて乾燥室内にて50~60%での湿度管理を徹底し、乾燥させることでようやく紙が完成します。

紙漉き工程の一部

一連の作業は4名で行われますが、紙の厚みを均一に保ち、重い機械を使って水分を絞り切るには高度な技術が必要であり、一人前になるには1か月以上の期間を要します。

こうして完成した手漉き紙は、和紙のように表面が凸凹した、手仕事が醸し出す、温かみのある風合いを持っています。

完成した紙

一枚一枚に個性があるため、完成後はすべて丁寧に計量して分別していきます。

重量の軽いものはポチ袋や御朱印帳、厚みと強度の必要な重いものは名刺へと生まれ変わります。

ポチ袋の制作
名刺に点字を打つ様子

ポチ袋や名刺には「点字」が打たれていますが、手漉き紙ならではの柔らかく繊細な風合いであるために、破れず、かつ読み取りやすい点字を打つのは至難の業です。

試行錯誤を続けた結果、現在はシワにならないように1枚ずつ、2回に分けて丁寧に点字を打つという独自の方法にたどり着きました。

紙製品の一部

元々は廃棄されるはずだった素材が、丁寧な手仕事によって、通常の材料から作られ量産された紙製品以上に、温かみと独特の「味」を持った上質な逸品へと生まれ変わります。

商品は下記の売店などでご購入いただけます。

宮崎県内:鵜戸神宮内売店、青島神社参道入口青島屋売店、宮崎県物産センター、ANA ホリデイ・イン リゾート 宮崎内の売店、宮崎空港内ANA FESTA店

東京都内:新宿みやざき館 など

地元の杉と伝統を紡ぐ木工品

もう一つの拠点である木工工房では、宮崎県の県木である「飫肥杉(おびすぎ)」を使用し、ANAロゴ入りのキーホルダーやスマホスタンド、トロフィーなどの制作を行っています。

一番のこだわりは、ハンドメイドという点です。

一つひとつ丁寧に手磨きで仕上げることで、杉のぬくもりが感じられる製品づくりを心掛けています。

手をかけてあげるほどにツヤが生まれ、布で拭き上げていくうちに独特の「照り」が出てくるのは天然木ならではの魅力で、使うほどに深みが増し、自分だけの愛着が湧いてくる製品へと育っていきます。

さらに、モノづくりへの情熱は製品だけに留まらず、木を削る過程でどうしても出てしまう「木くず」までも再利用しようと、社員が発案しました。

集めた木くずを蒸留してアロマ水を作り、そこにベルガモットやミントを調合することで、オリジナルのルームフレグランスへと生まれ変わらせています。

「素材を無駄にしない。」その思いには、青島ファクトリーが大切にするサステナビリティの精神が息づいています。

工房の様子
木工製品の一部

また、近年は後継者不足に悩んでいた宮崎の伝統的なお土産である厄除けキーホルダー「南男猿(難を去る)」の制作も行っています。

原材料には、南国・宮崎を象徴するソテツの実を使用しています。

材料には、そのままでは硬く割れやすいという課題がありましたが、「電子レンジで温めて柔らかくする」という現場のアイデアで乗り越え、現在は1日70個、月間1,000個の生産を目標に、スタッフが力を合わせて生産に励んでいます。

ソテツの実を削る作業
南男猿

元気で明るく楽しい職場へ

所長の今村さんに、個性を活かす職場づくりのコツについてもお話を伺いました。

今村さん

今村さん:毎日「元気で明るく楽しい職場にしよう!」と社員に伝えています。

活気のある職場を目指すからこそ、やるときは集中してやる、遊ぶときは全力で遊ぶ、メリハリを大切にしています。

また、全員で意見を出し合って商品開発を行うため、議論を尽くすことや、疑問・アイデアをいつでも口にできる風通しの良い雰囲気づくりも意識しています。

さらに、より良い職場を目指して5つのワーキンググループ(安全・ITセキュリティ・広報/PRなど)を立ち上げ、社員の自立心や責任感を育んでいます。

障がいがあるからといって過剰に守るのではなく、信頼して仕事を「任せる」こと。

一人ひとりの挑戦したいという気持ちを全力で応援していきたいと思っています。

ANAグループはこれからも、地域に根ざしたモノづくりと、一人ひとりの挑戦を大切にしながら、航空輸送の枠を超え、人と地域、そして未来へと温もりをつなぐ社会づくりに貢献してまいります。

SDGs 10番 人や国の不平等をなくそう
SDGs 11番 住み続けられるまちづくりを
SDGs 12番 つくる責任つかう責任
SDGs 15番 陸の豊かさも守ろう