主な取り組み

重要な人権テーマ

テーマ1:国内外の業務委託先やベンダーで働く外国人労働者の労働環境把握

2017年から毎年、日本国内の委託先の協力を得て、第三者機関を通じて、空港での地上ハンドリング事業やケータリング事業に携わる外国人労働者に対する直接インタビューや居住環境の確認を行っています。
2024年1月には、3度目となる外国人労働者雇用状況調査を実施しました。グループ41社・主要委託先136社を対象とし、64カ国5,325名の外国人労働者の在籍を確認しました。この結果を得て、2024年3月に潜在的なリスクが想定される主要委託先企業の外国人労働者の方々に、第三者機関とともに、直接インタビューを実施しました。
今後も定期的にサプライチェーン上の外国人労働者の雇用状況調査を実施するとともに、ANAグループ及びサプライチェーンにおける安全・安心な外国人労働者の採用ルートについても検討を進めていきます。

グローバルサプライチェーン労働者情報集約システムの画面の一例

実際の取り組み状況はこちらPDF 新しいウィンドウで開く。外部サイトの場合はアクセシビリティガイドラインに対応していない可能性があります。

テーマ2:サプライチェーン上における人権課題・環境負荷の特定

~株式会社ANAケータリングサービス(ANAC)による機内食に関わるサプライチェーンマネジメント~

基本プラットフォームとして、商品情報データベース「eBASE」を活用し、サプライヤーのマネジメントを実施しています。「eBASE」は、企業内での商品・コンテンツ情報の構築・一元管理・活用と企業間の商品情報交換を支援するデータベースソフトウェアです。当該システムをANACの1次サプライヤーの約95%が導入しています。ANAグループでは、この「eBASE」を活用して、1次サプライヤー146社と2次サプライヤー6社から、「サプライヤー行動指針」への誓約書を取得しています。
また、高リスクならびに中リスクサプライヤーに対しては、上記テーマ1にて実施している「外国人労働者の雇用状況調査」を通じて毎年、外国人労働者の雇用状況を確認しています。さらに、サプライヤーとの良好な関係を構築するため、情報共有の場である「ANAC会」も定期的に開催しています。

責任ある調達について詳細はこちらをご覧ください

テーマ3:航空機を利用した人身取引の防止

2018年4月、米国で人身取引防止のプログラムを航空会社などに提供しているNPO団体Airline Ambassadors International*の担当者を日本に招き、理解促進のためのワークショップを開催し取り組みがスタートしました。2018年12月からは、グループの全社員を対象としたeラーニングも実施しています。さらに、2019年4月からは人身取引を防止するため、機内で疑わしい事例を発見した際に通報する運用を開始しました。
コロナ禍を経た2024年には、ANAに所属する客室乗務員約8,000人に会議体での教育とディスカッションを実施し、7月19日にはANAホールディングス株式会社主催で「人身取引防止フォーラム」を開催しました。
私たちの提供するサービスが人権侵害に利用されることのないよう、対策を進めていきます。

2018年人身取引の防止に関するワークショップの様子
2024年客室乗務員の教育の様子
  • Airline Ambassadors International:航空会社の従業員のネットワークとして始まり、人身取引を防ぐための活動に取り組んでいるNPO。

テーマ4:お客様情報の保護とプライバシーへの配慮

ANAグループは、主力である航空運送事業において、これまでも航空券の購入等の際にお客様のお名前やご連絡先をお預かりするなどして、個人情報を取り扱ってきました。これらの個人情報については、日本の個人情報保護法等の各国法令に準拠する形で、細心の注意を払い、保護・管理を徹底しています。お客様の大切な情報を取扱うにあたり、ANAグループは、法令遵守に留まらず、社会の要請や時代の変化に応じたプライバシーへの配慮に積極的に取り組んでいきます。お客様情報の保護とプライバシーへの配慮に万が一、不足があった場合には、人権侵害につながりかねないリスクも潜んでいるものと認識しております。

ANAのプライバシーガバナンスに関する取り組みはこちらをご覧ください

テーマ5:AIやメタバース等のサービスを提供する際の人権配慮

AI (人工知能)の研究開発や利活用は、人々の生活を豊かにする反面、その使い方によってはプライバシー侵害をはじめとした人権課題を生み出すが恐れがあります。今までには想定していなかった人権リスクが潜んでいると認識しています。
2024年には、海外の有識者と「AIと人権」に基づくAIの活用・ガバナンスについてダイアログを実施しました。

2024年度ダイアログの詳細はこちらをご覧ください。

その他の人権課題

贈収賄の防止

贈賄防止対策に関しては、各国の贈賄禁止法に対応するために「ANAグループ・贈賄防止規則」を設定し、グローバルレベルでの法的リスクを極小化し、企業価値の低下につながる事態を予防する体制を整備しています。併せて、違反行為が発見された場合の対応についても定められています。贈賄禁止法の教育については、海外各支店の役職員を対象に、競争法の教育とあわせて日本語・英語にて実施しています。また、ANAグループでは、取引関係先との契約において、贈収賄防止・汚職防止への取り組みを条件としています。

子どもの人権

2019年にインパクトアセスメントを実施した際、新たな課題として「子どもの人権」が見えてきました。この結果を受け、「子どもの人権」に係るANAグループの潜在的リスクを理解するべく、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン*の協力のもとに2020年12月に社内セミナーを開催しました。
また、2020年5月には、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンを通じ、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による減便で余った機内食(ライスクラッカーやりんごジュース等)のひとり親世帯の子ども達への寄付も行いました。また、休校が続く子ども達を励まそうと、成田空港周辺の自治体などへ約2万個のチョコレート菓子の寄贈も行っています。

  • 公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン:セーブ・ザ・チルドレンは、1919年に創設され、100年以上の歴史を持つ子どもの支援専門の国際NGO。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、そのメンバーとして1986年に設立され、国内外で行政や地域社会と連携し、子どもの権利を実現する活動を行っている

社員の人権

ANAグループでは、いつもお客様に寄り添い、お客様の期待を超えるサービスを提供することを目指しています。一方で、不当行為や不当要求などのカスタマーハラスメントに対しては、社員の人権および就業環境を著しく害するものとして、毅然と対応します。社員・お客様の人権が互いに尊重され、安心で快適な利用環境を確保するため、「ANAグループ カスタマーハラスメントに対する方針」に則り対応していきます。

ANAグループ カスタマーハラスメントに対する方針

人権に係る教育の実施

ANAグループでは、グループの方針や人権尊重の取り組みについて、グループ全社員に対して周知をはかっています。具体的には、新入社員や新任管理職を対象に、毎年「ビジネスと人権」に関する教育・研修を実施しています。また、グループの全社員を対象としたeラーニングを整備し、人権への理解を深めるための教育も実施しています。

eラーニングの画面

ここではANAグループの社内教育で実際に利用しているeラーニングの一部を公開しています。

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