人権

ステークホルダーとの対話を重視し、人権尊重の取り組みを推進します。

基本的な考え方

 ANAグループは、国際人権章典(世界人権宣言と国際人権規約)、労働における基本的原則および権利に関する国際労働機関の宣言、国連グローバル・コンパクトの10原則、および国連のビジネスと人権に関する指導原則をもとに、2016年4月に「ANAグループ人権方針」を定めました。また、全役職員を対象とした行動準則「社会への責任ガイドライン」において、人権問題に対して“守るべき行動 ”を示し、日々の行動を確認できるようにしています。

人権対応へのコミットメント

 ANAグループは、国際人権章典(世界人権宣言と国際人権規約)、労働における基本的原則および権利に関する国際労働機関の宣言、国連グローバル・コンパクトの10原則、および国連のビジネスと人権に関する指導原則を基に、ANAグループ人権方針を定め、人権尊重の取り組みを推進しています。

 2018年5月に、「人権報告書2018」を作成、開示しました。ANAグループは、企業の人権尊重における責任を果たすべく適正な情報の開示に引き続き努め、企業の人権課題への対応についての報告に関する包括的なガイドラインである「国連指導原則報告フレームワーク」に準拠した報告を実施していきます。

 ANAグループでは、全役職員を対象とした行動準則「社会への責任ガイドライン」において、人権問題に対して”守るべき行動”を示し、実践できているかを一人ひとりが折に触れて確認できるようにしています。

<社会への責任ガイドライン>
  • 人権・多様性を尊重します。
  • ANAグループの企業活動において人権が尊重されるよう、常に配慮して行動します。
  • 各国・地域の文化・慣習、歴史、価値観、社会規範を尊重し、関係者の関心ごとに配慮して行動します。
  • 職場の仲間の個性や多様性を認め、ハラスメントがない健全で働きやすい職場づくりに自ら協力します。

Modern Slavery Act 2015(英国現代奴隷法)への対応

 ANAホールディングス株式会社は、英国で施行されたModern Slavery Act 2015に基づき、2016年度の声明を公表いたします。詳しくは、こちらをご覧ください。

推進体制

 ANAグループでは、チーフCSRプロモーションオフィサーを人権への取り組みの責任者とし、グループCSR・リスク・コンプライアンス会議にて、方針や進捗等についてタイムリーに議論しています。また、グループ各社・各部署に配置されているCSRプロモーションリーダーと連携し、取り組みを推進しています。

社員への啓発・教育

 新入社員研修、新任管理職研修等において、人権に係る啓発教育を実施しています。人権にかかわるグローバルな潮流や身近な事例をより多くの社員と共有することで、様々なステークホルダーの人権を考慮しながら日々の業務を行うことの重要性についての認識を深めています。
 さらに、人権に対する理解をより深めるべく、グループ全社員を対象としたeラーニングも2015年度以降 毎年実施しています。2017年度は「企業の社会的責任と人権」と題したe-learningを実施し、約1か月の受講期間で87%の社員が受講しました。2018年度も引き続き、社員への啓発を推進していきます。

◇ e-learning画面

 また、社員向けの通報窓口である「ANAアラート」を設置しています。派遣社員などを含むANAグループの業務を担っている全職員が利用可能となっており、相談者およびその関係者のプライバシーが保護されるとともに、相談または事実関係の確認に協力したことを理由に不利益な取り扱いが行われないことが約束されています。また、外部委託機関への相談窓口も設定しています。

人権デューディリジェンス

 ANAグループは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」において詳述される手順に従って、人権デューディリジェンスの仕組みを構築しました。人権デューディリジェンスとは、自社が社会に与えうる人権への負の影響を防止または軽減するために、予防的に調査・把握を行い、適切な手段を通じて是正し、その進捗ならびに結果について外部に開示する継続的なプロセスを言います。

◇ 人権デューディリジェンスのプロセス

(資料)Verisk MaplecroftとCRT日本委員会の支援を受けて、ANAグループにて作成
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ANAグループは2016年度に、上記のプロセスに従い、ANAグループのあらゆる事業と事業展開国を対象としたリスクの影響度評価を実施し、今後重点的にリスク発生の防止に取り組んでいく人権テーマを絞り込みました。

◇ 人権インパクトアセスメントの実施

 ANAグループは、Verisk Maplecroft社※1とCRT日本委員会※2の協力を得て、人権インパクトアセスメントを実施しています。

 2016年度、まずは、ANAの事業活動が(事業展開国および事業内容毎に)人権に及ぼす潜在的な人権リスクの洗い出しを実施しました。このリスクアセスメントの実施においては、Verisk Maplecroft社の社会および環境リスクデータを用いました。この結果を参考に、CRT日本委員会と協力しながら、グループ内でのインタビューの実施や海外の有識者からアドバイスを得る等のプロセスも経て、ANAグループとして今後重点的にリスク発生の防止と対応に取り組んでいく人権課題(ならびに対象事業、展開国)を特定しました。その上で、2017年度以降は、特定したリスクの顕在性やステークホルダーにとっての影響度(インパクト)の分析、評価を進めるとともに、リスク発生の防止と対応にも取り組んでいます。

※1 グローバルなリスク分析・リサーチ・戦略予測のトップ企業。データに基づくソリューションは、組織のレジリエンスや持続可能な調達等に影響をおよぼす主要な政治・人権・経済・環境リスクについて、世界的視野と詳細な情報、そして特別な知見を提供する。

※2 ビジネスを通じて社会をより自由かつ公正で透明なものとすることを目的としたビジネスリーダーのグローバルネットワーク。

<Verisk Maplecroft社の指標に基づく分析>

<人権インパクトアセスメント実施範囲>

人権インパクトアセスメントの実施対象範囲は以下の通りです。

対象事業 航空運送事業、航空関連事業(空港地上支援、航空機整備、貨物・物流、車両整備、ケータリング等)、商社事業、旅行事業
対象国・地域 日本、英国、フランス、ドイツ、ベルギー、中国、インド、ベトナム、タイ、ミャンマー、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピン、台湾、韓国、オーストラリア、カナダ、アメリカ
使用した社会・環境リスク指標
※Verisk Maplecroft社の指標を利用
13指標:児童労働、適正賃金、適正な労働時間、職場における差別、強制労働、結社の自由と団体交渉権、移住労働者、職場における健康と安全、人身売買、温室効果ガス、大気の質、水質、腐敗

<テーマの特定と予防措置>

 人権インパクトアセスメントで特定した以下3つのテーマについて、リスクの発生防止に取り組んでいます。

日本における外国人労働者の労働環境の把握
 2017年、日本国内の委託先の協力を得て、空港での地上ハンドリング事業に携わる外国人労働者を対象に、直接インタビューや住居確認などを独立した第三者機関とともに実施しました。引き続き、調査実施範囲を拡大していきます。
機内食等に関わるサプライチェーンマネジメントの強化
 2017年、ANAグループは日本企業として初めてブルーナンバー・イニシアティブ※3へ参画しました。機内食の食材に関わる生産者や業者の情報登録を進めており、生産過程における人権尊重や環境保全にもつながる、透明性の高い「食のサプライチェーン」の構築を目指しています。
ブルーナンバー管理サイトの地図上に生産者・業者の情報がプロットされる
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航空機を利用した人身取引の防止
 2018年4月、米国で人身取引防止のプログラムを航空会社などに提供しているNPO団体Airline Ambassadors International※4の担当者を日本に招き、理解促進のためのワークショップを開催しました。私たちの提供するサービスが人権侵害に利用されることのないよう、防止に向けたプログラム構築を関係者と連携して進めていきます。
人身取引の防止に関するワークショップの様子
  • ※3 ブルーナンバー・イニシアティブ:ブルーナンバー財団による、食に関わるサプライチェーン・プラットフォーム構築を目指す世界的な取り組み。
  • ※4 Airline Ambassadors International:航空会社の従業員のネットワークとして始まり、人身取引を防ぐための活動に取り組んでいるNPO。

詳細は「人権報告書 2018」を参照

専門家によるアドバイス

 ANAグループでは、人権に関する有識者から定期的にアドバイスを得ています。2017年9月には、海外2団体(デンマーク人権研究所※5、人権ビジネス研究所※6)から2名の人権専門家を招き、前年度に助言を受けた後のANAグループの取り組みについての進捗報告を行いました。専門家からは、取り組みを進める上での留意点や、一企業の枠を超えて関係者(他社・業界団体・経済団体・政府・CSO※7)と協働することの有効性などについてのアドバイスや参考となる原則やガイドラインについての紹介がありました。

人権専門家とのレビューの様子

※5 デンマーク人権研究所:デンマーク議会の決定により設立され、人権とビジネスに関する知見の収集やツールの開発などを行う組織。

※6 人権ビジネス研究所:ビジネスと人権の分野で活動し、この分野での取り組みを牽引する国際的シンクタンク。2009年設立。

※7 CSO: Civil Society Organization(市民社会組織)。NGO・NPO法人・市民活動団体・ボランティア団体など、非政府・非営利で公益に関心を持つ様々な団体。

詳細は「人権報告書 2018」を参照

ステークホルダーとの対話・協議

 2015年2月と2015年12月に実施した、日本におけるステークホルダーとの対話に引き続き、2017年5月には、ANAグループが事業を行っているタイとマレーシアにおける、政府、NGO、企業等の様々な関係者が集まる現地でのプログラムに参加しました。さらに2018年5月には、タイにおいて人身取引の実際の被害者にヒアリングを行うとともに、タイが抱える人権課題について政府機関やNGOなどとの意見交換も実施しました。

◇ プログラムの風景

タイでのダイアログの様子

 委託先やサプライヤーに対して「ANAグループ購買方針」等の各種方針を共有するとともに、相互に協力してより人権を尊重した労働環境を整えていくための議論を進めています。
 引き続き、外部の有識者のアドバイスを積極的に受ける一方で、ステークホルダーとの対話を継続的に実施しながら、人権デューディリジェンス・プロセスの推進、情報の開示等を深化させていきます。