2024年4月10日
2024年2月、ANAグループ総合トレーニングセンター「ANA Blue Base」と沖縄県の2つの小学校をつないでオンラインジョブツアーを開催しました。
参加者は小学3~6年生の6クラスの約100名。
ANAグループにはさまざまな仕事があること、飛行機1機を安全に運航させるために多くの人が携わっていること等を、クイズやデモンストレーションを交えながら紹介しました。
今回のオンラインジョブツアーは、複数の団体や企業と連携をして実現しています。
その土台となっているものが、休眠預金です。
休眠預金とは10年以上取引のない預金等のことで、そのお金を社会課題の解決や民間公益活動の促進のために活用する制度が2019年度から始まりました。
一般財団法人 日本民間公益活動連携機構(以下、JANPIA)がその休眠預金をNPOなどの団体等に助成しており、日本全国で社会課題解決のために活用されています。
今回は、本州や首都圏と比較して環境面、産業面等においてキャリア教育の機会が少ない沖縄県の子どもたちに、「さまざまな仕事があることを知ってほしい」という想いで、これまでもオンラインジョブツアーを休眠預金活用事業として実施されてきた、株式会社ワンスペース(以下、ワンスペース)と資金分配団体の公益財団法人みらいファンド沖縄(以下、みらいファンド沖縄)と連携をして、ANAグループのオンラインジョブツアーを開催しました。
実際の空港を模した ANA Blue Baseの施設を活用して、まさに空港にいるかのような空間から小学校と中継をつなぎました。
内容は4つのパートに分け、(1)ANAグループの仕事について、(2)安全を守る仕事について、(3)グランドスタッフの業務紹介、(4)質疑応答 の流れで授業を行いました。
(3)のパートでは、沖縄県の小学生に少しでも親近感を持ってもらえるよう、沖縄空港限定のかりゆし制服を着た沖縄出身の社員からお話をしました。
実施後に行ったアンケートでは、参加した小学生の9割以上が「オンラインジョブツアーで、職場のリアルな雰囲気を感じることができた」と回答し、他にも「初めて知ったことがたくさんあって面白かった」「色んな質問に答えてくれて楽しかった」といった声が多くあがっていました。
「仕方のなかった」状況とはいえ、コロナ禍が長期化する中で、短い子ども時代に体験すべきことが子どもの合意なしに中止になっていることを重く捉え、体験を諦めないための議論を呼び起こしたいと思いました。
そして、人と人の直接的な接触を避けながらできる「配信技術を活用したコンテンツ」に着目し、「みんなの配信と交流プラットフォーム事業」として実行団体の公募を行いました。
今回のANAを含め、沖縄県の地理的な条件からなかなか訪れるのが難しい遠隔地の職場の見学や、これまでは安全・衛生面から立ち入ることのできなかった工場など、オンラインジョブツアーの可能性はますます広がっていくと思っています。
この企画には、コロナ禍で学校行事が次々と中止になっていく中で、「子どもたちの学びは止めてはいけない」という想いが根底にありました。
しかしコロナ禍が明けたとき、学校現場からは「やっと元に戻れる」という声が聞こえ、「=やっとオンラインから解放される」とも取れる言葉に、学びが退化するのではないかという危機感を覚えました。
コロナ禍で学校の通信環境も整備され、教員のITリテラシーも向上している中で、今こそ、オンラインの価値や可能性を広げるチャンスなのではないかと考えました。
沖縄は、独特の文化や歴史と自然豊かな島という魅力がある一方で、距離の不利益による子どもたちの「学びの格差」が課題となっています。
オンラインジョブツアーを通して「子どもたちの学びの体験保障」として未来につながるだけでなく、学校にも企業にもさまざまな副産物が生まれる取り組み、そして多種多様なニーズに合わせて展開できる取り組みとして、可能性の広がりを感じています。
私たちも飛行機を飛ばすことはチームスピリットだとANAから学びましたが、今回のオンラインジョブツアーの運営でもそのspiritを強く感じました。
今回の連携プロジェクトを通じて、子どもたちの体験活動が日本全国に広がり、体験機会拡充のきっかけとなることを望んでいます。
ANAグループは他企業・他団体と連携し、これからも地域とともに歩み続けていきます。