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    【宮城県・仙台湾】カレイを抜きに語れない、宮城の船釣り

    牡鹿半島の南北で異なる海の表情

    釣りのロケーションという点で、宮城の海は牡鹿半島の南北で異なる表情を持つ。
    北側は幾重もの入江と大小の湾で海岸線が形成される、いわゆるリアス式海岸の南三陸エリア。穏やかな湾内はマコガレイ、起伏に富んだ岩礁帯と水深の変化が著しい海底はアイナメやクロソイなどの根魚類を育んでいる。また、ブランド魚「金華サバ」で知られる金華山周辺の海域は、時期によりヒラマサやワラサ、メータークラスのマダラをねらうファンも多い。

    それに比べ牡鹿半島から相馬市(福島県)の鵜ノ尾崎を結ぶ西側の海域である仙台湾はやや落ち着いた環境といえる。地形的に三陸に通じる石巻沿海と、小規模な岩礁が点在する亘理荒浜沿海は例外だが、多くの船釣りファンを迎え入れる塩釜と閖上(名取市)沿海は水深40m台の比較的浅い砂礫底が大半。いくつかの漁礁があるものの、三陸ほど海底に変化はない。しかし、この底質がカレイ類の棲息に適しているらしく、なかでも「大型漁礁」と呼ばれる海域は好スポットとして広く知られている。

    船上の釣り人の様子
    閖上漁港から航程40分、水深40mがハイシーズンの主な釣り場。魚の活性が高ければ、一尾目をハリ掛かりさせた後に間を開けるか、誘い続けることで追い食いを期待できる
    船上の釣り人が見せるカレイ
    近ごろはマガレイ、マコガレイとも型が良い。大きければ引き味を堪能できる50cm近いサイズも混じる
    風景写真:仙台湾
    早春の仙台湾。この時期は、まだ山から吹き下ろす西風が冷たい

    仙台湾と閖上

    仙台空港の北側、名取川の河口に閖上(ゆりあげ=名取市)という地域がある。旧く江戸時代には仙台藩直轄の漁港として栄えた土地柄。特に五十集(いさば)と呼ばれる行商人が売り歩いた「焼きガレイ(マガレイ)」は特産品として庶民に親しまれたという。
    不幸にも東日本大震災では津波による被害を受け、港町の景観を失ったが、10年近くを経て再生しつつある。
    日本一と評される高品質のブランド赤貝は健在で、「北限のしらす」もそれに続く。現代版・庶民の台所といえる「ゆりあげ港朝市」も活気を取り戻している。加えて閖上ヨットハーバーと名取市サイクルスポーツセンターの再開、商業施設「かわまちてらす閖上」と「食彩館」、名取ゆりあげ温泉「輪りんの宿」がオープン。街並みはまだ以前ほどではないが、人々の想いと志は着実に前を向いている。

    船数では、まがき港(塩釜市)には及ばないものの、高速道路からアクセスしやすい利便性、仙台湾の中南部へのエントリーが容易であることから閖上漁港発着の遊漁船は県内外を問わずファンの人気が高いようだ。

    全景:仙台湾の港
    まだ薄暗い休日の早朝、早くも「ゆりあげ港朝市(左手)」が賑わい始めた
    風景写真:かわまちてらす閖
    オープン以来盛況の「かわまちてらす閖上」。名取川と仙台湾を眺めながら、閖上の美味いものをいただく
    外観写真:輪りんの宿
    名取市サイクルスポーツセンターに隣接する、名取ゆりあげ温泉「輪りんの宿」。宿泊のほか日帰り入浴も可能。釣りを終えたあと、天然温泉で癒やされるのも一興

    誰でも釣れる手軽な楽しさだけでなく テクニック次第で釣果アップもねらえる奥深さ

    カレイ釣り人気の秘密は2つある。
    ひとつは初めてでも釣れやすいこと。さらに事前に伝えておけばレンタルタックルやエサのアオイソメの用意もある。投入した仕掛けが着底したらオモリを5〜10cmほど持ち上げて落とす(コツコツと底を叩く感じ)動作を飽きずに繰り返していれば、明瞭なアタリが手元に伝わってくる。そこでアワセを入れてハリ掛かりさせ、バラさないようにラインを回収するだけで良い。あとは同じ動作を繰り返すだけだ。
    もうひとつは「ウデの差」が釣果に反映されやすいこと。簡単な釣りとはいえ、釣果をアップさせるためにはテクニックが必要だ。
    では、上手い人は何が違うのか。ある人は「底を叩くようにオモリを動かすのではなく細長いオモリを立てたり寝かしたりを繰り返しながら、小さなアタリを拾う」といい、またある人は「2尾、3尾と追い食いさせるか、単発で回収するかの見極めが大事」とか、「ハリをいかに手早く外し、仕掛けを再投入するか。手返しがすべて」と語る。多くは感覚的なものながら、ときに倍近くの釣果差となることもある。これは経験と試行錯誤を重ねることで理解できるものらしく、この釣りの奥深さのひとつだろう。

    船上の釣り人の様子
    簡単に釣れる反面、釣果に腕の差が反映しやすいのもカレイ釣り。名手は仕掛けと誘い方、手返しなどの工夫に余念がない
    カレイでいっぱいになったバケツ
    よほど状況が悪くなければ、みる間に釣果でバケツが埋まる。バケツの水は「かけ流し」なので、長靴を履いたほうが良い
    船上の様子
    誰もが楽しめるのがカレイ釣りの良いところ。仙台湾の船釣りは「カレイに始まり、カレイに終わる」
    ロッド
    東北仕様の専用モデルのロッドが市販されているほどの人気がある。自分で用意するよりもまずは船宿で借りられるレンタルタックルが確実
    海面に見えるカレイ
    魚の活性が高ければ積極的に追い食いを誘い、数を伸ばす。単発で上げるか、多点掛けをねらうかの見極めも釣果のカギを握る

    スタンダードとプレミアム 多彩なカレイ類

    かつて仙台湾のカレイ釣りといえば、「手のひらサイズ」と揶揄されるマガレイの超絶的な数釣りが特徴だった。
    しかし、ここ10年ほどのスパンにおいて大きな変化が生じている。
    まず、マコガレイの割合が大幅に増えた。ほぼマガレイに限られたものが、今では半々ぐらい。イシガレイも交じる。
    それとアベレージサイズが上がった。「手のひら」当時は三桁でも20Lクラスのクーラーボックスで足りたのが、現在の主流は40Lクラス。数こそ50枚を釣れば上々だが、ボリュームは間違いなくアップしている。
    そもそもマコガレイは牡鹿半島以北に多くみられた種。海産物に船を係留して行なう「かかり釣り」を楽しめることもあり、この魚をお目当てに遠征するファンも多かった。それが仙台湾の顔になりつつある。
    これに対し一部では温暖化の影響を懸念する向きもあるが、震災による漁業の休止が資源の成長と増殖を促したとの見方が有力だ。
    仙台湾で釣りの対象となるカレイはこの3種ばかりではない。仙台では正月用の煮付けに用いられるナメタガレイ(ババガレイ)も冬場の人気魚種。これも以前は三陸沿海の主役だったが、仙台湾でも着実に実績を上げている。それと超プレミアムといえるホシガレイ。これは食味の評価が高い、超高級種。ただ、確率は交通事故のようなもので、私はここ10年で1度しかお目にかかっていない。
    「カレイに始まり、カレイに終わる」ともいわれる仙台湾の船釣り。その懐は、まだまだ奥が深そうである。

    魚の全身写真:マガレイ
    仙台湾でもっともポピュラーなマガレイ。淡白な味わいながら、一夜干しで焼いて食べると旨い
    釣り人が見せているホシガレイ
    超プレミアム種のホシガレイ。食味は絶品とされ、ヒラメ以上の高値で取引されることもある。ほとんど釣れない
    魚の全身写真:マコガレイ
    仙台湾のマコガレイは泥臭さがないといわれ、独特の甘みは刺し身で映える。もちろん、煮てよし、焼いてよし
    魚の全身写真:イシガレイ
    大型種のイシガレイ。当地では独特な臭みが消える冬場に限り、刺し身で食すという人が多い。強烈な引き味も魅力

    この釣り場へのアクセス

    仙台湾にて船上の様子

    仙台空港から一般道を6.8kmほど北上。約11分で閖上漁港に到着

    釣り場情報

    〈仙台湾/各種カレイ類、ヒラメ、マアジ、マダイ、ワラサ、アイナメ、ソイ、ハゼほか〉

       
    シーズン 通年(季節により対象魚が異なる。荒天により出船できない日もあり)
    問合先 蔵王丸(遊漁船 / 閖上漁港 http://www5e.biglobe.ne.jp/~zaoumaru/index.htm
    • 釣り場情報は2020年12月現在のものです。

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