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    掲載日:2021.09.13

    楽しい!釣りの自然科学(第6回 潮の満ち引きと天体)

    公立中学校と高校で37年にわたり理科教諭を勤め、「かわいい子には釣りをさせろ」の著書もある奥山佳一さんが、釣り場で起きる自然現象やその理由を分かりやすく解説。生涯役立つ自然科学の基礎知識を、大人にも子供にも分かりやすく教えてくれます。

    月、太陽、地球のコラボレーション

    海の変化は釣りに大きく影響する
    月が地球の海水を引っ張る様子。満潮は地球上の海水が月に引っ張られることで発生する

    海には満ち潮と引き潮があります。その日の中で、海面が最も低くなるのが干潮、最も高くなるのが満潮で、干潮と満潮のピークはそれぞれ「潮止まり」とも呼ばれます。一般的に海の魚は、潮が動いている時の方が活性が高く、潮止まりには、ほとんどの魚が釣れにくくなります。

    では、そもそも海にはどうして干満があるのでしょうか? 正体は天体の位置関係です。私たちの周りにある、地球、月、太陽といった天体には、いずれも互いに引き付け合う力(引力)が働いています。地球上の海は、その引力の影響を受けているのです。

    なかでも地球に最も影響を与えているのは月です。質量の小さな月は、質量の大きな地球の周りを約1カ月で1周しています。そして、地球上の海水は常に月の方へ引っ張られています。「満潮」は、海水が月に最も引っ張られた部分と、地球の自転による遠心力が働いている反対側の海に訪れます。「干潮」は、月からの引力が最小となる、月と90度の位置にある側の海に訪れます。1日で見ると月の位置はほとんど変化しないのですが、地球は24時間で1回の自転もしているため、結果的に地球の海には毎日「干満」が出現するのです。

    大潮、小潮とは?

    大潮と小潮の時の天体の位置。太陽と月の位置が周期的に変わることで「潮周り」が生まれる

    そしてもう1つ、潮の干満と合わせて起きているのが、「大潮」や「小潮」という海の変化(潮周り、潮回り)です。毎日の満潮と干潮も日によって潮位の差があり、その違いを表わしたものが潮周りですが、潮周りには遠く離れた太陽がさらに関係しています。

    太陽は非常に遠くにあるものの質量が大きく、月の0.45倍ほどの引力で地球に影響を及ぼしています。そのため、太陽と月が一直線上に並んだ時、地球に働く引力は月だけの時と比べて1.45倍になります。この時が「大潮」で、大潮のタイミングの満潮は、満潮の中でも最も潮位が高くなります。逆に月と太陽が90度の位置関係の時には引力が一番小さくなるため「小潮」になります。実際の潮周りには、約15日で「小潮(潮の動きが小さい)→長潮(最も小さい)→若潮(徐々に大きくなる)→中潮(さらに大きくなる)→大潮(最も大きくなる)→中潮(少し小さくなる)→小潮(さらに小さくなる)」というサイクルがあります。月は約1カ月で地球を1周するため、大潮・小潮はいずれも2回ずつ訪れます。海では毎日の干満のほかに、この「潮周り」も魚への影響が大きく、漁師さんやベテランの釣り人は確認して釣りの役に立てています。

    「上げ3分下げ7分」の意味

    潮位グラフ。変化を把握することで魚の活性も予想できる

    「上げ3分下げ7分」という言い方があります。昔から釣りによいとされる潮の状態のことで、元々は干潮状態の海面の高さを「0」、満潮状態の海面の高さを「10」とした時に、その時の海面の高さが「3」や「7」であることを基準に表現したものです。
    実際には、干潮から満潮(またはその逆)に掛かる時間を10等分し、干潮状態から潮が動き始めてしばらく経ったところという意味で「上げ3分」、同じく満潮状態から潮が動き始めてしばらく経ったところという意味で「下げ7分」と表現している場合もあります。いずれにしても、「上げ3分下げ7分」は、潮の流れが速すぎず遅すぎず、魚にとってもちょうどよい具合になりやすいことから、よく釣れる目安とされているわけです。

    もちろん、場所やタイミングによっては「上げ3分下げ7分」だと流れが速すぎて、コマセ(寄せエサ)が効きにくい場合や、ウキが流れ過ぎて釣りにならないこともあります。また、クロダイやカレイなど一部の魚は、潮が止まる前後の方が、大物が釣れることがよくあります。とはいえ、船のマダイ釣りなどでは明らかに当てはまることもあるので、覚えておいて損はありません。海の変化を理解して、ぜひ釣りに役立ててください。

    ライター:奥山 佳一

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