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    掲載日:2023.06.12

    今、行きたいニューヨーク。“オンリーワン”のエンタメシティー

    “アメリカ特別区”といっても過言ではないほど、世界からさまざまな人種が集う大都市・ニューヨーク。朝からクラクション音が鳴り響き、舞台やアート、音楽などのイベントは夜まで日常茶飯事。そんなエネルギッシュでパワフルなこの街を愛してやまないライターが、おすすめのエリアをご紹介!

    マンハッタンの中心地、ロウアー・イースト・サイドで至高のグルメを

    1860年代〜1980年代の移民たちの生活を再現した博物館「テネメント・ミュージアム(Tenement Museum)」周辺。地下鉄でのアクセスは、Jトレインの「Bowery」駅または、F・J・Mトレインの「Delancey St · Essex St」駅が便利

    マンハッタンの南東端に位置するロウアー・イースト・サイドは1830年代から、3〜4階建ての長屋式アパートで生活をしていた移民や労働者たちの拠点となった歴史ある場所。その一部で、ナムジュン・パイクやオノ・ヨーコなどの芸術家たちが1960年代から70年代にかけて広めた前衛芸術運動「フルクサス」や、ジェームス・チャンスを筆頭に70年代末から80年代初頭にかけて起きたアンダーグラウンドの芸術運動「ノー・ウェイヴ」など、後に世界的な影響をもたらすカルチャーが生まれたのも、このエリアです。

    アイコニックな存在でありながら、ニューヨークで最も古いデリ「カッツ・デリカテッセン(Katz's Delicatessen)」は、外国人だけでなく、アメリカ人にとっても一度は訪れたいスポット

    2000年代半ばになると、居住者の階層が上がるにつれて居住空間の質が求められるようになり、建物の改修や都市再開発によりエリア全体が高級化。今では、長屋式アパートの間や路地裏に、洗練されたブティックやレストラン、バーが建ち並ぶニューヨークのトレンド発信地に。もともとここは、マンハッタン北部のハーレムとブルックリンのちょうど中間で、地下鉄のアクセスがよく、仕事帰りの飲み会や仲間同士の食事会など何かとニューヨーカーたちも集う中心地。最近では、ウィリアムズバーグ橋を渡ったブルックリンのイースト・ウィリアムズバーグにもトレンドの波が広がり、若者たちが集まる“第2の中心地”として発展しています。

    老舗とは思えない洗練された店構えの「ラス&ドーターズ カフェ(Russ & Daughters Cafe)」。ユダヤ伝統料理の素朴な美味しさが、創業から100年を超える今でも国や世代を超えて愛される理由

    ロウアー・イースト・サイドは、アメリカンはもちろん、スカンジナビアンからアフリカンまで、“人種のるつぼ”ニューヨークならではのバリエーションに富んだ食が魅力。昔からユダヤ系アメリカ人の移民も多く居住するエリアで、1988年創業の名店「カッツ・デリカテッセン」や、1914年創業の「ラス&ドーターズ カフェ」など老舗のデリでは、今でもユダヤ伝統の食文化を提供しています。

    「ラス&ドーターズ カフェ」より、産卵直前の脂がのったニシン「シュマルツ・ヘリング&ウォッカのショット」、白身魚のサラダとわさび風味の魚卵、自家製クリームチーズをのせた「スーパーヒーブスター・ベーグルトースト」

    「コシェル/カシェル」と呼ばれるユダヤ教の食習慣とは、たとえば乳製品と肉類を一緒に食べてはいけない、豚肉・甲殻類は禁忌。食べられるものは、ウロコとヒレのある魚、主食のパン・穀物など。「ラス&ドーターズ カフェ」は、創業以前から手売りしていたという「シュマルツ・ヘリング」と呼ばれる産卵直前のニシンや、イワシ、キャビアを使った伝統に忠実なユダヤ料理が評判。言わずと知れたクラシック・メニューは、自家製ベーグルにスモークサーモンとクリームチーズをたっぷり挟んだ、NYスタイルのベーグルサンド「ロックス&ベーグル」です。

    2017年にオープンした「横山帽子公司(Yokkoyama Hat Market)」は、ハンドメイドの帽子専門店。オーナーで職人の横山寛久さんは、日本人で初めて帽子の世界コンテスト「Hat Designer of the Year 2008」にて大賞を受賞

    このエリアは、レストランのほかにもオーナーの個性あふれるインデペンデントなお店も多いところ。独自のセンスが光るアパレルのセレクトショップをはじめ、品質の高いオーガニック食材のグローサリーストアや良質な音をオールジャンル取り扱うレコードストア、アートブックの専門店など、食事のついでに街を歩いてみるだけで気になるお店が見つかるはず。そんな“発掘するおもしろさ”があるのもロウアー・イースト・サイドならではの魅力です。

    Russ & Daughters Cafe

    最新のアート発信地、チェルシーで審美眼を磨くギャラリー巡り

    チェルシーの代名詞ともいえる、人気の大型複合施設「チェルシー・マーケット(Chelsea Market)」。地下鉄でのアクセスは、A・C・Eトレインの「14th Street」が最寄り駅

    マンハッタンの南西部・ハドソン川沿いに広がるチェルシーは、ニューヨーク市のほかのエリアとは一線を画す、洗練された街並みと穏やかな雰囲気が特徴。そんな昨今の落ち着いたイメージとは一変、かつてここは、最寄りのフェリーターミナルをはじめ埠頭や倉庫などで働く湾岸労働者が多いエリアだったのだそう。定番人気の観光スポットである「チェルシー・マーケット」は、実は「ナショナル・ビスケット・カンパニー」(現、ナビスコ)の工場として1890年代に建設され、都市再開発により1990年に建物を改修。1階には地元の新鮮な食材を提供するフードコートとスーパーマーケット、ショッピングセンター、さらに上層階にはケーブルテレビ局やオフィスまでもが入居する大型複合施設として1997年にオープンしました。

    Larry Gagosian が設立した世界的なギャラリー「ガゴシアン(Gagosian)」。ニューヨークでは6ヶ所展開するなか、541 West 24th Streetのスペースは秀逸な展示が多い場所
    Photo: Rob McKeever. Courtesy Gagosian.

    チェルシーは、アメリカが世界に誇るモダン・アートの巨大なメッカとして知られる場所。実は1950年代以降、エリアの高級化とともに“芸術家の街”として発展していたソーホーから産業が衰え始めたチェルシーの空き倉庫へとギャラリーが移転していったことにより、1990年代以降にアートマーケットが大きく成長を遂げました。今では潤沢な資金を持つギャラリーオーナーたちが手がける200以上ものスペースがあり、なかには「デイヴィット・ズワーナー」や「ハウザー & ワース」など、ビル一棟すべてのフロアが展示に使われる大型ギャラリーも。アメリカのみならず世界も注目するアーティストたちの、自由でのびやかな感性に触れられるはず。1日かけてじっくりアート鑑賞をするなら、あらかじめギャラリーのウェブサイトからアーティストの目星をつけて有意義なルートを計画するのがおすすめです。

    「ガゴシアン」にて2023年1月下旬より開催された、アメリカを代表する現代美術家、Jonas Woodによるプリントの展示「PRINTS 2」の様子
    JONAS WOOD, Prints 2, 2023, installation view. © Jonas Wood. Photo: Rob McKeever. Courtesy Gagosian.

    「歴史的建築物を取り壊さずに保存する」そんな運動がアメリカ全土で広まるなか、既存の建物を再利用した都市再開発のよい例は「チェルシー・マーケット」のほかにもあり、2009年春にはニューヨーク・セントラル鉄道の高架線跡地を再設計した「ハイライン」と呼ばれる美しい緑道が誕生。東側にある「エンパイア・ステート・ビル」から西側に広がるハドソン川のサンセットまでを見渡せるおよそ2kmの緑道は、ツーリストだけでなく、大都会で暮らすニューヨーカーたちにとっても安らぎのスポットです。

    Gagosian - 541 West 24th Street

    ブルックリンのエンタメスポットで楽しむ、ミックスカルチャー

    イーストリバーにかかるブルックリン橋と、対岸エリアのブルックリン・ハイツに小さく見える赤い「WELCOME」サイン

    マンハッタン南部、イーストリバーにかかるウィリアムズバーグ橋・マンハッタン橋・ブルックリン橋を渡った先がブルックリン。ヨーロッパによるブルックリンの開拓は1640年代に始まり、これまでに380年ほどの歳月を経てきたアメリカで最も歴史あるエリアなんだそう。実はこのブルックリン、もともとは独立した一つの「市」として存在していましたが、1898年の区画整理によりニューヨーク市の行政区の一部へ。それ以降ニューヨーク市の行政区は、マンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス、スタテンアイランドの5つに分かれています。ひとえに「ブルックリン」といっても、この行政区のなかで最も人口が多く、およそ250万人が居住。東西南北に広がる近隣住区ごとに、ユダヤ系をはじめ、アフリカ系やカリブ系、イタリア系など民族的な多様性があり、街の雰囲気も異なるのが特徴です。

    前衛劇やダンス、音楽公演を楽しむなら「バム/ブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージック(BAM/The Brooklyn Academy of Music)」。地下鉄でのアクセスは、2・3・4・5トレインの「Nevins Street」が最寄り駅

    さまざまな人種と民族を抱え、異なる価値観が見事に融合する新しいカルチャーが生まれてきたブルックリンは、演劇や映画の舞台として数多く登場し、小説家ヘンリー・ミラーや、脚本家アーサー・ミラーなどを輩出してきたアメリカ文学においても重要な地。マンハッタンへアクセスしやすく、大小のお店が建ち並んだ西部のフォート・グリーン周辺には、そんな背景を反映する文化施設が充実しています。1908年に運営を始めた劇場「バム」は、演劇やダンス、音楽、オペラの公演、映画上映など前衛的な作品を中心に幅広いプログラムが魅力。世界を魅了するブロードウェイ・ミュージカルとは異なる角度で、もう一歩踏み込んだアメリカのカルチャーに触れられるスポットです。

    「バム」のメイン・プログラムを行うパフォーマンス会場「Howard Gilman Opera House」は、1900年代に竣工。クラシックで華やかな空間には約2,100もの客席があります
    Photo: Bengt Wanselius. Courtesy BAM Hamm Archives.

    さらに「バム」からもう少し南部へ足を延ばしたパーク・スロープ、プロスペクト・ハイツ周辺には、このエリアを象徴する大きな都市公園「プロスペクト・パーク」や、公園に隣接する植物園「ブルックリン・ボタニック・ガーデン」、1895年に開館した大型の美術館「ブルックリン・ミュージアム」、映画館、ライブハウスなども。2000年代半ば以降、高級化されるマンハッタンからブルックリンへと文化の拠点が移り変わり、“今のニューヨーク”らしい新たな潮流が生まれる場所として注目のエリアのひとつです。

    アメリカンボザール様式の建築美に圧倒される「ブルックリン・ミュージアム」。地下鉄でのアクセスは、2・3・4トレインの「Eastern Parkway–Brooklyn Museum」駅

    BAM/The Brooklyn Academy of Music

    次のページでは、グリニッジ・ヴィレッジ、アップステート・ニューヨークをご紹介します。

              

                                                             

                                                             

                                                             

                                                             

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