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    掲載日:2024.04.23

    香港の今:「最新」に驚き、「新旧融合」を体験し、「定番」を再発見する旅

    大規模な再開発が続き、生まれ変わり続ける香港。世界の先端を走る最新スポットの他にも、街の至るところで新旧が融合し、新たな魅力にあふれています。今回は、長年街を見続けてきたライターが、3つの異なる視点で香港の今を楽しむ旬のスポットを紹介します。

    まさに新生香港、西九龍(ウエストカオルーン)文化地区

    新しい香港を体感するに相応しい場所が、西九龍文化地区です。路上に飛び出すネオンがにぎやかにきらめいていた繁華街・ネイザンロードから西へ約2km。香港が世界に誇る美術館と博物館、それと大規模な公園から望む景観に、充実した1日を過ごすことのできる見逃せないエリアです。

    建物そのものが巨大なアート、アジア随一の美術館

    最新の香港を体感する上で外せないのがここ「M+(エムプラス)」です。2021年11月オープン、展示総面積17,000㎡に33ものギャラリーを擁する広大な現代美術館は、中華圏のみならず世界の秀逸なアート作品を数多く収蔵。香港の繁華街から一気に消えたあの巨大なネオン看板も、ひとつの芸術品として展示されています。滞在時間に合わせ興味のある展示室を巡った後は、2階のデッキへ。ここから望む香港島の夕景は、空が広く遮るものなく見渡せる穴場中の穴場です。

    最後にミュージアムショップに立ち寄ることもお忘れなく。展示に呼応した作家作品はもちろん、カラフルなオリジナルグッズに心が躍ります。建物壁面を覆う数千個のLED電球が映し出す世界最大級のメディアウォールは、香港の新たな夜景の一部となっています。

    九龍と香港島を結ぶフェリーからもよく見えるM+のメディアウォール
    Photo: Virgile Simon Bertrand ©Virgile Simon Bertrand Courtesy of Herzog & de Meuron
    まるで「T」の文字を逆さにしたような大胆な設計が景観に溶け込んでいる
    Photo: Joe Wong Courtesy of M+, Hong Kong
    展示の入れ替えは頻繁で、訪れるたびに新たなアートに出合える
    Installation view of Things, Spaces, Interactions in East Galleries
    Photo: Kevin Mak ©Kevin Mak Courtesy of Herzog & de Meuron

    悠久の歴史と最先端のデジタルアートに身を預けるひととき

    M+にほど近い場所に建つ「香港故宮文化博物館」。M+が現代アートの殿堂なら、ここは悠久の歴史が凝縮された知の宮殿。収蔵物やそのディスプレイの美しさはもちろんのこと、アニメーション、動画からなるデジタルアートを駆使したインタラクティブな展示が随所にあり、紫禁城における文化の歴史が雄弁に語られています。デジタル筆でモニターをなぞり誰でも簡単に書道を体験できるコーナーでは、年齢や国籍を越えて夢中になる姿も見られ、時を忘れてつい没頭してしまいます。

    香港故宮文化博物館は、西九龍文化地区管理局と故宮博物院との共同プロジェクトにより2022年に開館。北京の故宮博物院から914点の貴重な美術品を借り受け、その貸し出し数は過去最大です。

    明・清の時代の紫禁城にあった貴重な調度品の数々が、テーマ別に展示されている
    ©香港故宮文化博物館
    香港故宮文化博物館の迫力ある設計は香港の建築家、ロッコ・イム氏による
    Courtesy of West Kowloon Cultural District Authority

    大都会の別天地で、心と身体を整える

    香港で最もにぎわう九龍の尖沙咀(チムサーチョイ)から至近にも関わらず、けん騒とは無縁の視界の開けた広々とした公園「Art Park」。美しい芝生や手入れが行き届いた植栽に囲まれると香港にいることを忘れてしまいそうになります。例えば香港故宮文化博物館でランチをテイクアウトして、ここで過ごしてからM+に行くのもおすすめのコース。ビクトリアハーバー沿いには長い遊歩道「ウォーターフロントプロムナード」があり、香港島を見渡しながら歩くことができます。緑が映える日中と、陽が落ちてからの夜景ではそれぞれに違った側面が楽しめる、何度でも訪れたくなるような公園です。

    常にさまざまな野外イベントが開催されている
    ©︎Courtesy of West Kowloon Cultural District Authority

    M+(エムプラス)

    香港故宮文化博物館

    Art Park

    • 住所:West Kowloon Cultural District, Kowloon, Hong Kong
    • ウェブサイト:Art Park(英語)

    生まれ変わった香港を象徴するリノベーションスポット

    あちこちで絶え間なく響く工事の音は、何十年も変わらない香港の風物詩。最近は単なるスクラップアンドビルドではなく、源流を大切にしながら新たな命が吹き込まれる、興味深いリノベーションスポットが数多く生まれています。訪れて、味わって、全身で新生スポットを体験してください。

    古き良き市場の面影が残る都会のオアシス

    1800年代から長年香港島の中環(セントラル)で親しまれていた生鮮市場「中環街市(セントラルマーケット)」が、2021年の8月にリニューアルオープン。単なる改築ではなく、カーブの美しさが際立つアールデコ調の階段などは当時のままの面影を残した設計になっており、建築家の愛情が伝わります。お昼になれば近隣の会社員がフードコートに詰めかけ、あっという間に満員に。エントランスでは小さなイベントが毎日のように開かれています。テナントでは量り売りを主体とした、エココンシャスでずば抜けたセンスのライフスタイルショップ「SLOWOOD」に注目。今までにない新たな香港土産が見つかるでしょう。

    お昼時には席が争奪戦になるほど混み合うフードコート
    ©︎Central Market
    観光客と会社員であふれる、中環の真ん中の好立地
    ©︎Central Market
    テナントのSLOWOOD CENTRAL MARKETで、スタイリッシュなお土産を
    ©︎Central Market

    世界に羽ばたく香港の味

    創業は2013年。赤いカンフーパンツのユニークなトレードマークでおなじみの「ヤングマスター」は、香港を代表するクラフトビールのブリュワリーです。香港のスーパーマーケットから高級ホテルのレストランまで、また日本含めアジアの広範囲でこのマークに出合うことができます。香港島南区黄竹坑(ウォンツォクハン)に雑居ビルをリノベーションした醸造所を持ち、テイストごとに香港の歴史や文化に根ざしたテーマが込められ、ビールが苦手な方も虜になるほど華やかな味です。香港滞在中に見かけたらぜひトライしてみてください。

    筆者のお気に入りは「鹹檬啤(Chachaan Teng Gose)」。かつて茶餐廳(チャーチャンテン)(後述)の定番だった塩レモンソーダのオマージュ
    ©︎Young Master Brewery

    何か新しいものが必ず見つかるカルチャースポット

    竣工は1889年。中環街市から徒歩7〜8分ほどの好立地にあり、リノベーション前は警察官の宿舎として使われていた「PMQ」は、2014年に新たなアートと食の発信地としてオープンしました。当時がしのばれる無骨でどっしりとした設計に、現代のレストランやショップが不思議とマッチ。サステナブルな素材を使用した雑貨やアパレルのショップが並び、気鋭のデザインオフィスも入居するなど、クリエイティブな空気に満ちています。香港の食に興味がある方は、ぜひ香港で唯一の「食」に特化した図書館「味道圖書館(Taste Library)」へ。暑い日の休憩にも最適です。

    建物の中を回遊できるオープンな作り、期間限定のイベントも多い
    ©︎PMQ
    警察官の宿舎だったころの面影を残す外観
    ©︎PMQ

    「月街」「星街」「日街」で自分だけのお店を見つけたい

    香港島の湾仔(ワンチャイ)に印象的な名前を持つ小さな横丁があります。「月街」「星街」「日街」は、1890年に香港初の発電所がこの場所に設けられたときに、電気を連想する「光」にちなんだ名称が与えられました。坂道と階段の多い、ヨーロッパの裏通りをほうふつとさせる散策に最適なエリアには、古いビルをリノベーションしたおしゃれなカフェやレストランがギュッと集まっており、お店の入れ替わりも激しい激戦区。でもそのおかげで一人旅でもふらっと立ち寄りやすい、コンパクトなお店も多いのです。

    「日街」にも雰囲気の良いお店が並ぶ
    ©︎Kumiko Noda

    中環街市(セントラルマーケット)

    ヤングマスター・ブリュワリー

    PMQ

    • 住所:35 Aberdeen Street, Central, Hong Kong
    • ウェブサイト:PMQ(英語)

    古き良き香港を再発見するスポット

    次の香港では、あえておなじみの観光地に行ってみたり、街に溶け込むレトロなレストランを訪ねたりしてみませんか?停滞しない街では常にマイナーチェンジが繰り返され、新たな側面を私たちに見せてくれます。ほんの少しの冒険で、いつもと違う旅になるでしょう。

    トラムは第6世代がデビュー、進化する王道の観光地

    今も昔も香港が誇るのは"百万ドルの夜景"。少し昔であればツアー客が必ず訪れた「ビクトリアピーク」の今をご存じでしょうか?最近は急斜面を登るピークトラムの天井に窓が付き、高層ビル群の景色が広く見渡せるようになりました。頂上の有料テラス「スカイテラス428」やショッピングモールの「ピーク・ギャレリア」などに迎えられ、ますますにぎやかに。そこで折り返さずぜひ試してもらいたいのが、緑にあふれた遊歩道です。表示に従って山道を下っていくと、30分ほどで街まで戻ることができます。リフレッシュしながら街の変化も楽しむことができる、香港市民に愛されているスポットなのです。

    ビルがまた増えた景観。ビクトリア・ハーバーを挟んだ向かい側、九龍の左が西九龍文化地区
    ビル群のそばにあるのが信じられない、緑豊かな遊歩道

    過去と現在が交差する、レトロラブリーなカフェレストラン

    香港のどの町にもある庶民的なカフェ兼食堂であり、最近はレトロな趣の虜になって足繁く通う観光客も増えている「茶餐廳(チャーチャンテン)」。香港映画界を代表するウォン・カーウァイ監督の作品にたびたび登場することで、記憶にある方もいるかもしれません。お得なセットメニューが特徴ですが、お茶だけの利用もOK。どの店にも必ずあるのが、これでもかとレモンスライスの入った甘いレモンティー、コーヒーに紅茶をブレンドした鴛鴦茶(ユンヨンチャー)、サクサク食感のパンにスライスした冷たいバターを挟んだ菠蘿油(ボーローヤウ)など。これら独特なメニューを試してみれば、香港にやってきた実感が込み上げるはずです。

    メニューもわかりやすく、一人旅や小腹が空いた時にピッタリ。写真は菠蘿油(ボーローヤウ)とミルクティー

    多面的な都市、香港の魅力を再発見

    貿易都市の香港は、世界中の食が味わえる場所。中華料理ならストリートフードから本場の高級レストランまで、とびきり美味しい店が軒を連ねていますが、そんな香港だからこそ出合ったことのない味にチャレンジしてみたい。例えば香港島の中心、中環のビルの中にある、ミシュランとアジアンベストレストラン50の双方の評価を集める、ラテンアメリカ料理の「MONO」はいかがでしょうか。華やかな香りが弾けるこしょうや、カカオのコクのある風味に彩られた、初めての味。まるで現地に行ってきたかのような余韻に包まれます。

    1人ならランチで、数人ならディナーでゆっくり味わいたい
    ©Mitch Geng/MONO
    舌と目で味わうラテンアメリカ料理は、コクがあり華やか
    ©MONO

    MONO

    • 住所:5F, 18 On Lan Street, Central, Hong Kong
    • ウェブサイト:MONO(英語)

    過去と未来が心地よく融和する都市へ

    歴史が支える最先端のアートの数々や、いにしえの意匠を残したスタイリッシュなリノベーションスポット。悠々と流れる川のように、バランスをとりながら変わり続ける香港は、久しぶりの方にこそ訪れてほしい都市です。大小の変化が体感できる、驚きに満ちた旅を楽しんでください。

    • 記載の内容は2024年3月現在の情報です。変更となる場合があるのでご注意ください。
    ライター:Yuka Morii

    森井ユカ プロフィール

    雑貨コレクター/キャラクターデザイナー

    代表著作に「スーパーマーケットマニア」シリーズ(講談社)、近著に「月イチ台北どローカル日記」(集英社)など。「翼の王国」にて47都道府県の妖怪を作り、現地を巡る「ニッポン47妖怪さんぽ」連載中。

    コーディネーター:Kumiko Noda(Wild Berry International Co., Ltd.)

              

                                                             

                                                             

                                                             

                                                             

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