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    掲載日:2026.09.14

    週末ふらり、山へ行こう。中国・四国エリアのおすすめ日帰りハイキング

    秋は山登りが気持ちの良い季節。今回は日本各地の魅力的な低山を歩き楽しさを発信し続ける「低山トラベラー」の大内征さんに、瀬戸内の絶景や緑豊かな山並みが広がる「中国・四国エリア」で、気軽に楽しめるハイキングコースと立ち寄りたいグルメスポットを教えてもらいました。

    登山前に気をつけたいこと

    気軽に楽しめる低山とはいえ、山は山。ちょっとした準備や心がけひとつで、当日の快適さも安全性もぐっと変わってきます。まずは大内さんに押さえておきたいポイントを教えてもらいました。

    「大事なのは、やはり事前の調査と準備です。登山計画は地図でコースを確認して立てましょう。地図アプリなどでほかのユーザーの登山記録や日記をチェックして山道の状況を事前に把握しておくと良いですね。行動時間は早出早着を徹底しましょう。明るいうちに下山を完了するような、ゆとりのある登山計画が望ましいです。水や行動食、レインウェア、ヘッドランプといった基本装備は、どんなときでも必携です。そして、体力や体調を踏まえた“早めの判断と行動”も大切ですね」

    準備のポイントを押さえたら、あとは出かけるだけ。ここからは、大内さんおすすめの中国・四国エリアの日帰りハイキングコースをご紹介します。最後に持っていきたいものや服装も紹介します。

    おすすめ1:王子が岳(岡山県)

    瀬戸内海を一望できる眺望の名所
    ©大内征

    岡山県南部の児島半島に位置し、玉野市と倉敷市児島の境にまたがる王子が岳。瀬戸内海国立公園に指定されており、渋川海岸に隣接しています。

    「足元から広がる瀬戸内海の眺めは格別です。最高地点は新割山(標高234m)で、ここの絶景カフェと展望台は訪れる価値ありですよ。ふもとの渋川港から歩いて登ることもできますし、車で山頂付近まで行くこともできます。登山でもドライブでも楽しめるため、地元では大人気の低山です。渋川港から登る場合は急登からのスタートですが、ほどなく地形が緩やかになり、その先はなだらかな道のりを行きます。途中には山の成り立ちの解説もあり、学びながら登る楽しさも。やがて瀬戸内海の絶景と奇岩巨石が現れて、飽きることなく山頂までたどり着けます。王子が岳を下りるとき、山歩きの経験が浅い方は、同じ道を戻る「ピストン」で下山するのが安心です」

    笑っているように見えることから「にこにこ岩」と親しまれている
    ©大内征

    この山のもう一つの見どころが、山肌に連なる奇岩・巨岩の数々です。おじさん岩、にこにこ岩、ひつじ岩など、ユニークなネーミングの変わった形の岩がたくさんあります。

    「山中にはおびただしい奇岩・巨石があり、岩石の特徴から愛称のついたものが多数あります。なかでも、にこにこ岩は一番の人気で、この岩に会いに行くのも一興。にこにこ岩からの眺めも一級品で、瀬戸内海に映えるロマンチックな夕景もすばらしいですよ」

    王子が岳

    • 住所:岡山県玉野市渋川4丁目

    王子が岳を訪れたなら、ぜひ立ち寄りたいのが山頂付近の「王子が岳パークセンター」の中にあるカフェ「belk」。店名はドイツ語で「山」を意味します。

    「山頂にある、絶景の山上カフェです。はちみつバタートーストとホットコーヒーの組み合わせが、シンプルにして最高です」

    絶景を眺めながら、分厚いトーストにさらりとはちみつを回しかけて
    ©belk

    このカフェ最大の魅力は、なんといっても店内から広がる景観です。南から西にかけての瀬戸内海に面した窓は全面ガラス張りで、店内にいながら広大な景色を見渡せます。

    サンセットの時間帯もおすすめ
    ©belk

    belk

    • 住所:岡山県倉敷市児島唐琴町7
    • 営業時間:10:00〜18:00
    • Instagram:belk

    おすすめ2:玉峰山(島根県)

    四季の移ろいのなかで異なる表情を見せる清流
    ©大内征

    島根県仁多郡奥出雲町亀嵩と、安来市広瀬町西比田の境界に位置する玉峰山。山麓に松本清張の小説・映画「砂の器」の舞台となった亀嵩(かめだけ)エリアが広がり、近隣に点在する作品ゆかりの名所や神社巡りとセットで楽しみたい山です。

    「神話の里、奥出雲。この一帯で名の知られた低山こそ、玉峰山です。見どころのひとつが雄滝と雌滝で、春は新緑、夏は涼風、秋は紅葉と、森と水辺の季節変化がすばらしい。

    これらの滝を見学に行くだけでも、ちょっとした山歩きになります。名所でもある滝で自然のパワーを授かってから登りましょう」

    巨岩や奇岩などさまざまな岩が点在する
    ©大内征

    見どころは、変化に富んだ自然景観です。登山道沿いの渓流には大小の滝があり、中腹から山頂にかけては大きな奇岩が露出しています。人の手が入っていない自然景観を見せてくれます。かつては山頂に玉造神社が鎮座していたと伝わり、勾玉の材料となる石が採れたことから、玉峰の名がついたとも。古くから信仰の霊山としても知られています。

    「比較的地味な山歩きになるものの、木々を吹き抜ける風、そこにこぼれる木漏れ日、新緑や紅葉など、樹林歩きならではの魅力があります。ときおり見える眺望に励まされ、ようやく到達する山頂は感激もひとしおです。自分のレベル感と目的によって計画するのがよいでしょう」

    玉峰山

    • 住所:島根県仁多郡奥出雲町亀嵩

    下山後は、亀嵩駅の駅舎内にある「扇屋そば」へ。映画「砂の器」のロケ地として知られる終着駅で味わえるそば屋です。

    香り高くコシのある手打ちそばは絶品
    ©扇屋そば

    「駅舎がそのままそば屋になっている「扇屋そば」は、日本中から砂の器のファンが訪れる聖地のひとつ。石臼で挽いた国産そば粉を奥出雲の天然水で手打ちにした出雲名物「割子そば」がおすすめです」

    小さな丸い器に薬味とつゆをかけて食べる、割子そば(3段)
    ©扇屋そば

    扇屋そば

    • 住所:島根県仁多郡奥出雲町郡340
    • TEL:0854-57-0034
    • 営業時間:10:00〜14:30(ラストオーダー14:30)
    • 定休日:火曜
    • ウェブサイト:扇屋そば

    おすすめ3:香色山(香川県)

    善通寺の裏手に位置するおわんを伏せたような形が特徴の山
    ©大内征

    香川県善通寺市にあり、四国霊場第75番札所・総本山善通寺の裏手にそびえる香色山(こうしきざん)。市街地から最も近い善通寺の裏山として親しまれています。

    「弘法大師空海の生まれ故郷、讃岐の善通寺。この名刹の周辺を歩くだけでも旅心がくすぐられる、文化の香り豊かな地域です。仏教文化に触れながらの歩き旅は、しみじみと楽しいもの。なかでも善通寺の裏山にあたる香色山は、小さいながらも「低い絶景」を味わえる山です。眼下には善通寺の町並みが迫るように広がり、瀬戸内海や香川の山々までを一望できます」

    約1.6kmのミニ八十八か所コースは、季節の移ろいを感じながら歩くことができる
    ©大内征

    この山では弥生時代の石棺墓群とともに複数の経塚が確認されており、1号経塚は平安時代後期のもので、全国で唯一の上下2段構造(2世代用)であることが判明し、県の史跡に指定されています。

    「山中には四国八十八か所になぞらえた一寺一仏の石像が八十八体あり、「ミニ八十八か所」巡りも楽しめます。登山口は善通寺の裏手からすぐにあります。山頂までの距離は短く、山道もよく整備され、気がつけば山頂に到着します。ただし、ややザレた(小石や砂を敷いたような)砂地があり、滑りやすい傾斜もあるため、足もとには注意しましょう。」

    香色山

    • 住所:善通寺市善通寺町1050-1

    登る前でも、下りたあとでも、香川県に来たなら、やっぱりうどんを味わいたいもの。向かうのは、商店街の一角にある「大川製麺所」です。

    できたてのうどんはぜひ味わいたい一品
    ©大内征

    大川製麺所は半世紀以上続く製麺・卸の専門店。製麺所の脇に設けられた簡素なスペースで、コシとほどよい塩味のできたてうどんをすするのが、讃岐うどんの醍醐味です。やさしい出汁とやわらかめの麺の食感に、歩いたあとの体がほどけていきます。

    「善通寺駅から善通寺に向かう途中にある「大川製麺所」は、四国の4つの県の名物で構成された「四国まるごとうどん」がおすすめです」

    大川製麺所

    • 住所:香川県善通寺市上吉田町3丁目9-5
    • TEL:0877-62-0141
    • 営業時間:7:00〜13:00(土日6:30〜13:00)
    • 定休日:水曜

    おすすめ4:五台山(高知県)

    日本の植物学の父・牧野富太郎の業績を記念した豊かな植物園があることでも知られる
    ©大内征

    高知市南東部に位置し、ツツジの名所として知られる五台山。桜やもみじ、つばきなど、一年を通して季節の花や植物を楽しむことができます。

    「山そのものが「高知県立牧野植物園」となっている五台山。庭園、温室、記念館、レストラン、カフェ、ミュージアムショップなどなど、見どころ満載です。入口からさまざまな樹木や草花が育てられており、植物好きな方は「ちょっと来てみた」くらいのノリでは後悔する恐れもあるほど、充実した内容になっています。植物園の園内は広く、植栽も情報量も圧倒的。散策だけでも一日がかりです」

    中腹には高知市街地や浦戸湾を望むことができる五台山公園展望テラスが設けられています。2026年秋には新しい展望台がオープンする予定です。

    「展望台は見晴らしがよく、園内散策の息抜きにピッタリの場所です」

    五台山

    • 住所:高知県高知市

    五台山とあわせて立ち寄りたいのが「ひろめ市場」です。高知ならではの味覚と土産物店が一堂に会する屋内マーケットで、個性豊かな店がところ狭しと軒を連ねています。

    約60店舗が軒を連ね、土佐グルメを楽しむことができる
    ©有限会社ひろめカンパニー

    「高知市の中心街からのアクセスがいいので、活気ある市場で食も楽しめる「ひろめ市場」に寄り道してみましょう。中にはいくつもの食事処があるため、直感を信じてもよし、地元の方におすすめをきくのも旅の醍醐味です。とはいえ、高知ならやはり「かつおのタタキ」はマスト。塩でいただくのが最高ですよ」

    藁焼きならではの香ばしい香りがふわりと鼻に抜けていく
    ©有限会社ひろめカンパニー

    ひろめ市場

    • 住所:高知県高知市帯屋町2-3-1
    • TEL:088-822-5287
    • 営業時間:10:00~23:00(日9:00~23:00)※店舗により異なる
    • ウェブサイト:ひろめ市場

    秋登山で持っていきたいものや服装、アドバイス

    秋は山歩きにとって絶好のシーズンですが、この時期ならではの寒さや低山特有の注意点もあります。知っておきたいポイントを、装備と心構えを教えてもらいました。

    「11月〜12月は晩秋から初冬。澄んだ空気が心身に心地よく、見通しも抜群で山歩きには絶好のシーズンです。町に近い里山は過ごしやすい一方、山間部の低山では風の強さと冷たさを感じます。雪がちらつくこともあるため、天気予報を確認しておきましょう。雪が多い場合や凍結の恐れがあるなら、チェーンスパイクや軽アイゼンがなければ進退窮めるため、途中で引き返したり、登山を中止したりなど、早めの判断を。

    季節柄、陽が傾き始めると山中は急速に暗くなります。闇夜の行動は非常に危険です。スマートフォンのライトだけでは十分ではないため、ヘッドランプは必ず持ちましょう。

    登山中に着る薄手の衣類と休憩後や下山後に身体を温める保温着を、それぞれ使い分けるのもおすすめです。風を防ぐウィンドシェルも別で用意すると大変便利です」

    登山といえば、すれ違う方との何気ないやりとりも楽しみのひとつ。心がけたいことについても伺いました。

    「すれ違い際の挨拶も万一の遭難時に役立つことがあります。お互いに印象を残すだけで十分です。そして、道の譲り合いも大切なポイントです。登り優先とはいうものの、どんな状況でも「ややペースを落として相手の様子を見る」「先に声をかける」ことが双方に気持ちのゆとりを生みます。無言のまま近づいていくことのないよう気をつけましょう。そのためにも、足元ばかり見るのではなく、ときには顔を上げて前方を確認することが大切です」

    • 記載の内容は2026年8月現在のもので変更となることがあります。
    ライター:minimal

    識者:低山トラベラー 大内征

    日本各地の低山をたずね、自然の営み・人の営みに触れる歩き旅の魅力を探究。2016年よりNHKラジオ深夜便「旅の達人~低い山を目指せ!」レギュラー出演中。著書に「低山トラベル』シリーズ(二見書房)、「低山からはじめるソロハイク超入門」(山と溪谷社)など。日本トレッキング協会、自由大学、YAMAPなどで講座も開催中。

    Instagram:@sei_ouchi 

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