まずはボジョレー・ヌーヴォーについておさらい
毎年、11月の第3木曜日に解禁されるボジョレー・ヌーヴォー。解禁を祝うお祭りのようなものとして、ワイン愛好家たちにとってのお楽しみイベントになっています。まずはボジョレー・ヌーヴォーについて簡単におさらいしましょう。
他のワインと何が違うの?
ボジョレーとはフランス・ブルゴーニュ地方のボジョレーという地名のことで、ヌーヴォーは「新しい」という意味。つまり、ボジョレー地区で造られた、その年の初出しワインのことを言います。「ガメイ種」という黒ブドウを使用した赤ワイン・ロゼワインのみがボジョレー・ヌーヴォーと呼ばれています。通常のワインとは違う発酵方法でその期間が短く、フルーティーで飲みやすい味わいが特長。ワイン初心者にもおすすめです。
ボジョレー・ヌーヴォー以外にも種類が
ボジョレー・ヌーヴォーはすっかり日本でもおなじみですが、実は「ヌーヴォー」はボジョレー地区の新酒のスタンダード的な存在。他にもいくつか種類があるのです。たとえば、「ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー」は、ボジョレー地区のなかでもより限定された村で造られたワンランク上のワイン。また、「ボジョレー・ヌーヴォー・ヴィエイユ」は樹齢の高い木から収穫したブドウで造られ、ブドウ自体に複雑味や深みがあるプレミアムなワインです。ほかにも、特定の畑から取れたブドウだけで造った畑名入りの「ボジョレー・ヌーヴォーレ・グリオット」などもあります。
毎年発表されるキャッチコピーにも注目を
ボジョレー・ヌーヴォーといえば、その年の出来を表現したキャッチコピーも見逃せません。フランス食品振興会の公式見解を日本語にしたキャッチコピーと、日本の販売業者オリジナルのものとあります。過去には「我がワイン人生最良のヌーヴォー」や「採れたてのいちごにかじりついたような味わい」なども。今年のキャッチコピーも楽しみですね。
ボジョレー・ヌーヴォーの選び方をソムリエが解説!
ボジョレー・ヌーヴォーと一口に言っても種類はたくさんあり、ワイン初心者の方は選ぶのに迷ってしまうかもしれません。そこで、佐藤ソムリエに選び方のコツやおすすめのラインアップを伺いました。
気になる今年のラインアップは?
「今年は去年に比べてラインアップを絞りました。いろいろ種類がありすぎると選びづらくなることも考えて3つのメゾンに限定しました。昨今の自然派志向やサステナビリティ思考の流れを受け、去年以上に自然に配慮した生産者さんを選びました」
オリジナルラベルは昨年に続き"ピエール・マリー・シェルメット"という自然なワイン造りにこだわっている生産者さんのワインがお目見え。除草剤など農薬を使わずにブドウを育てたり醸造には自然酵母を用いたりと、自然で高品質なワインを造っています。
また、今年は新しく"メゾン・ジャン・ロロン"のワインもセレクト。300年もの歴史があるメゾンで、HVEというフランスのワインの環境認証のなかでもっとも厳しい認証を取得されています。最後の1つは"タイユヴァン"というメゾン。こちらは34年間3つ星を守り続けてきた有名なレストランがセレクトしているラベルで、クラシックなスタイルを続けている老舗メゾンなどが名を連ねています。
初心者の方必見!選び方のコツを解説
ワインデビューをしたばかりで、今年はボジョレー・ヌーヴォーにも挑戦しようという方もいらっしゃるかもしれません。初めて選ぶ際はどんなところに気をつければよいのでしょうか。
「ここ数年いわゆる自然派ワインの人気が高まっていますが、自然派の定義やスタイルがあいまいなのも事実。少し濁っていて香りも独特な個性派ワインなどもあり、ワイン初心者の方にはハードルが高いものもありますのでお店で選ぶ際は気をつけたほうがいいかもしれません。A-styleのセレクトはできるだけ自然な造りでクリーンなスタイルのメゾンを選んでいるので飲んでいただきやすいです。初心者の方はまずスタンダードなボジョレー・ヌーヴォーから楽しんでみてください」
今年のラインアップでいえば"メゾン・ジャン・ロロン"のボジョレー・ヌーヴォー トラディションがスタンダードな1本です。
ボジョレー・ヌーヴォー好きの方へのおすすめは?
「ボジョレー好きの方は毎年オリジナルラベルを楽しんでいただけていると思いますので、今年初採用の"メゾン・ジャン・ロロン"のものを飲み比べていただくのも面白いかと思います」
まずはスタンダードなボジョレー・ヌーヴォートラディションを試していただき、ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー シャトー・ド・ラ・テリエールやボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー リフト69などと飲み比べていただくのもおすすめとのことです。同じメゾンの畑違いのワインを飲み比べることでメゾンのスタイルを感じてみてはいかがでしょうか。
最後に、ANAオリジナルラベルを含む3銘柄の飲み比べセットもおすすめしていただきました。各メゾンのボジョレー・ヌーヴォーがセットになったもので、同じボジョレー・ヌーヴォーでも色や香りにどんな違いがあるのかをぜひ楽しんでください。
ボジョレー・ヌーヴォーで家飲みをもっと楽しむコツ
待ちに待ったボジョレー・ヌーヴォー。せっかく手にしたなら存分に楽しみたいものです。そこでワンランク上の家飲みを叶えるコツも伺いました。
グラスにもこだわってみよう
「ボジョレー・ヌーヴォーを楽しむ時は、白ワインを飲むような少し小ぶりなワイングラスがおすすめ。香りが華やかとはいえ強くはないためです。気軽に飲むワインなので、実は小ぶりのコップなどでもいいんですよ。飲む1時間ほど前に冷蔵庫で軽く冷やすと、よりおいしく飲んでいただけます」
ワイン初心者の方はボジョレー用に新調するのもいいですし、自宅にあるお気に入りのグラスで飲むのもまた違った楽しさがありそうですね。
とっておきのおつまみとペアリング
レストランのように家でもワインとお料理とのペアリングを楽しめれば極上のひとときに。ボジョレー・ヌーヴォーにはどんなお料理が合うのでしょうか。
「しっかりめの赤ワインには、ソースを使った肉料理などが合うのですが、ボジョレー・ヌーヴォーに一番おすすめしたいのはお肉を使った冷たい前菜ですね。ハム・生ハム・サラミなどのいわゆるシャルキュトリが合います」
「生ハムの上にドライのクランベリーを砕いて散らしてあげるとワインの香りとの同調感がより楽しめます。また、生ハムを散らしたサラダにスマックという中東のスパイスをかけるのも、ワインとの相性がいいですね。ほかにも、トマトも相性バツグンなので、パスタやピザもペアリングとして楽しめます」
思いのままに楽しもう!
ボジョレー・ヌーヴォーの解禁は、新酒が出来た記念のお祝いのようなものなので、楽しむスタイルにルールはありません。友人たちとわいわいホームパーティーで盛り上がるのもよし、大切な方と語らいながら飲むのもよし、一人で気ままに楽しむのもよしです。2025年の解禁日は11月20日(木)。お気に入りのボジョレー・ヌーヴォーを手に入れてくださいね。
(プロフィール)
A-styleワインアドバイザー 佐藤ソムリエ
都内の星付きフレンチ、ラグジュアリーホテルで経験を積み、2017年から2022年9月までシェフソムリエとしてANAインターコンチネンタルホテル東京に在籍。現在は麻布台ヒルズのリカーショップ、インタートワイン K×Mの支配人を務める。
(社)日本ソムリエ協会認定ソムリエ・エクセレンス
(社)日本ソムリエ協会認定SAKE DIPLOMA
WSET Level3 Award in Wines
- 記載の内容は2025年9月現在の情報です。変更となる場合があるのでご注意ください。
