隔絶された秘境の地
森と海の玄関口、カナダ・バンクーバー国際空港に到着したら、チャーターの小型機に乗り換えてブリティッシュ・コロンビア州ハイダ・グワイ北部の町マセットへ。さらにヘリコプターに乗り北に向かうと現れるのが、沖合にアラスカを望む北太平洋のランガラ島です。
かつて一帯はクイーン・シャーロット諸島と呼ばれていましたが、2010年に現地のハイダ族の歴史を尊重し「ハイダ族の島」を意味するハイダ・グワイに名称が変更されました。ランガラ島はおよそ150の島々からなるその群島の中でも最北に位置します。そして毎年5~9月の釣りシーズンになると、冬は厳しい自然に閉ざされる島にフィッシングロッジがオープンします。
ランガラ島は魚の宝庫。釣りではサーモン(サケの仲間)とハリバット(大型のカレイ)が特に人気ですが、サーモンは北太平洋に生息するチヌーク(キングサーモン)、コーホー(シルバーサーモン、ギンザケ)、ソッカイ(ベニザケ)、チャム(シロザケ)、ピンク(カラフトマス)のすべてが狙え、中でもキングサーモンの釣り場としては世界屈指の豊饒さを誇ります。
野生動物に囲まれて釣りをする
ランガラ島を訪れて何よりも驚くのが自然のスケール。フィッシングロッジからひとたび外に出れば、そこは大型の野生動物が暮らす生態系の一部です。海にはザトウクジラやシャチなどの大型鯨類が自由に泳ぎ、島々の岩場には大型の海獣であるトドが群れを成して寝そべっています。釣りをする前から息をのむ自然の営みがそこにあります。
ザトウクジラがいてもサーモンフィッシングに影響はありません。一方、シャチがいるとサーモンが怯えて釣りづらくなります。この土地のシャチには魚を専門に食べるものとトドやアザラシを食べるものの2タイプがいるとされています。また、トドは岸際の海に昆布の森が広がっているような場所を好みますが、サーモンが釣れると横取りしようと襲い掛かって来ることもあります。ここでは釣り人も野生と常に隣り合わせなのです。
北米の伝統釣法「ムーチング」にトライ
サーモンの釣り方はムーチングです。ムーチングとはボートでゆっくりエサを引いて魚に食いつかせる方法のことで、カナダやアメリカなど北太平洋の海では昔から盛んに行われています。サオとリールは8~10フィート(2.44~3.05m)のムーチング専用ザオと同じく専用のリールの組み合わせを使い、仕掛けは釣り糸の先にオモリを通したところにエサのニシンを刺したハリを結びます。エサのニシンは頭を落として塩漬けにしたものを使います。
サオは同時に4本ほど出しますが、ポイントに到着するとガイドは潮に逆らわないように時速1~2ノット(時速1.85〜3.70km)でゆっくりボートを動かします。するとハリに刺したニシンがグルグルと回り、弱って暴れる小魚のような動きでキングサーモンの捕食本能を刺激します。
釣った魚のうち持ち帰れるのはキングサーモンが2尾まで、その他のサーモンを含めた全体が8尾までといったように、現地では資源保護のルールが細かく定められていて、ガイドと相談しながら釣りをします。通常、味がよいとされるキングサーモンとシルバーサーモンを持ち帰りますが、キングサーモンが釣れた場合も、その魚をキャッチするのか、次にもっと大きなサイズが釣れると考えて速やかにリリースするかを思案して決めることになります。
ランガラ島のサーモンフィッシングは、大自然の中でゲストを案内するガイドのホスピタリティやロッジの快適さ・食事の美味しさなども大きな魅力。「ここに来られただけで幸せ」というリピーターの方もいらっしゃいます。世界でも屈指のサーモンフィッシングが体験できる島を、ぜひ訪れてみてください。
ランガラ・フィッシングロッジ
- ウェブサイト:ランガラ・フィッシングロッジ(英語)
- ウェブサイトは英語。日本語での問い合わせは、ブリティッシュ・コロンビア州ウィスラーでカスタムツアーを企画・運営するカッセルマン・クリエイティブ社(brad@kasselmancreative.com)が詳しい。
協力:つり人社
- 記載の内容は2025年11月現在の情報です。変更となる場合があるのでご注意ください。
