集魚灯の光でイカを集める
日本海で夏の風物詩となっている漁火(いさりび)。夜の海上で漁船が灯す集魚灯の光を差す言葉です。それらの船が主に狙っているのは、5~11月頃にかけて獲れるようになるイカ。イカは視覚が発達しているため、エサを探しやすい光のある方向に集まる習性があり、そのため夜の海で船の周りを明るく照らし、イカを集めて獲る漁が昔から行われてきました。
その中でも特に人気のイカがケンサキイカです。日本海から東シナ海にかけて漁獲が多く、非常に味がよいことで知られる高級イカで、北陸、中国、九州の各地で水揚げされます。地域によりマルイカ、シロイカ、アカイカと違う名前で呼ばれることも多いのですが、新鮮な身は透き通るような色をしていて、近年、この美味しいイカを狙う夜の船釣りがブームになっています。
人気の船釣り・イカメタル
ブームのきっかけは「イカメタル」と呼ばれる釣り方が生まれたことにあります。名前の由来は「イカをメタルのスッテで釣る」というもの。スッテというのはイカ釣りに使う疑似餌のことです。これを金属にしたものをルアーのように使う釣り方が、若狭湾の周辺で15年ほど前に考え出されました。
仕事が終わったあとの夜に楽しめて、美味しいイカが釣れ、釣りとしても非常に面白い。現在では若狭湾の周辺だけでなく、北陸や九州でも夏の夜釣りといえばイカメタルという状況になっています。
金沢沖でイカメタルを楽しむ
そんなイカメタルを楽しむことができる釣り場の1つが金沢沖です。ANAの飛行機が就航している小松空港から最寄りの金沢港までは車で約30分。同じ市内の金石港も含めて複数の遊漁船がシーズンになるとイカメタルの釣りに出ています。
金沢沖は地形がなだらかなため若狭湾に比べ潮が速く流れますが、釣りをする時はそれに合わせて船長が操船してくれます。「港名、イカメタル」などで検索すると、複数の遊漁船が見つかるので、自分に都合のよいところを選んで予約します。
シーズン中、主に釣れるのはやはりケンサキイカ。ケンサキイカはサオ先に出る繊細なアタリをとらえるところに技術的な面白さがあります。そこに引きの強さが特徴のスルメイカもまじり、日によってはスルメイカのほうが多く釣れることもあります。
2つのスタイルで釣果を伸ばす
イカメタルには主に2つの釣り方(仕掛け)があります。1つはメタルスッテだけで釣る「ひとつスッテ」です。もう1つはリーダーに枝スを設けて浮きスッテや小さなエギをセットで使う2段式の「ドロッパー」(通称「小浜リグ」)です。
ひとつスッテの釣りでは、サオをリズミカルに揺すってキビキビとメタルスッテを躍らせ、近くにいるイカを興奮させて抱き着かせます。逆にドロッパーの釣りでは、仕掛けをあまり動かさず、浮きスッテやエギを自然に漂わせてイカを抱き着かせます。
釣り方は、ひとつスッテであれば、まずメタルスッテを躍らせながらサオを持ち上げていき、そこからテンションを掛けたままゆっくりサオを下げて行ってメタルスッテをフォールさせます。イカはこの落ちる動きに反応し、アタリはスッテをフォールさせきりサオを止めた瞬間に「クン」とサオ先が引き込まれる形で現れます。そのタイミグを見逃さずにすかさずサオをあおるとメタルスッテのカンナ(傘状のハリ)にイカが掛かります。またフォール中に一瞬テンションが抜けるのもアタリです。
ドロッパーの場合も基本的な釣り方は同じですが、仕掛けの抵抗がより大きくなるので全体の操作をゆっくり行います。そして前述のようにドロッパーに付けた浮きスッテやエギを漂わせて抱き着かせるイメージで釣りをします。ただし、ドロッパーの時もメタルスッテにイカが掛かることもあります。
いずれにしてもアタリはイカがメタルスッテやドロッパーに触れた瞬間にサオ先に小さく出ます。その繊細な動きをとらえられると釣果が伸びるので、「釣れた」ではなく「釣った」という達成感を味わえるのがイカメタルの醍醐味になっています。
カウンター付きのベイトタックルがおすすめ
道具についてはやはり専用のものがおすすめ。イカメタルの人気の拡大にともない、現在ではスピニングタックル、ベイトタックル、どちらも専用のものが発売されています。まず1セットをそろえるなら、水深を把握しやすいカウンター付きのベイトリールと組み合わせるベイトタックルがよいでしょう。そのうえで、軽いスッテを使う状況で活躍するスピニングタックルもあると釣りの幅が広がります。
メタルスッテについては金沢沖や若狭湾では20号前後をよく使うので10~30号を中心に用意します。そしてドロッパー用の浮きスッテや小型のエギも忘れずに準備しておきます。
釣りの前後は金沢観光も楽しむ
イカメタルの釣りは夕方に出船して5~7時間ほどで深夜に帰港するのが標準的なスケジュール。そのため日中は加賀百万石の城下町としての歴史を持つ金沢の観光も楽しむことができます。
気軽に出かけられる散策はおすすめのメニュー。日本三大名園の兼六園を見学し、金沢三茶屋街や長町武家屋敷跡を歩けばタイムスリップしたような気分に浸れるでしょう。また、金沢の奥座敷といわれる湯涌温泉は、加賀藩の武将たちも湯治に通った歴史ある名湯で、温泉街にはかつて東洋一とうたわれ昭和天皇や吉田茂元首相も滞在した白雲楼ホテルの跡地や湯涌江戸村、金沢湯涌夢二館などもあります。
さらに見逃せないのがグルメ。観光客にも人気の近江町市場に足を運べば新鮮な海産物に舌鼓を打つことができます。また、近年はハントンライスのようなご当地の洋食メニューも人気。こうした名物をお目当てに金沢を訪れる方も少なくありません。
釣りの前や後もユニークな時間を過ごせる金沢沖のイカメタル釣り。北陸ならではの充実した釣り旅に、ぜひ出かけてみてください。
- 記載の内容は2026年7月現在のもので変更となることがあります。
協力:つり人社
